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弁護士日記

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高齢者ドライバーの事故を減らすための方策

2019年05月14日

 我が国において、近時、高齢者ドライバーによる人身事故が大きな社会問題となっている。
 この問題については、様々な意見がある。
 しばしば議論されるのが、免許の自主返納である。家族が、親族の中に高齢者がいる場合、親族が当人を説得して自動車運転免許を返納させるという考え方である。
 しかし、このような生ぬるい方策に大きな期待を持つことはできないというべきである。なぜなら、そのような方策は高齢者本人の良識に期待するという側面が強いからである。しかし、世の中の高齢者の多くは、他人、特に身内の者の忠告を素直に聞くことが期待できないと考えられるからである。
 そこで、自動車運転免許について規定している法律を改正することを真剣に検討するべきである。
 そもそも人が自動車を適法に運転することができる仕組みとは、行政処分によって行われる。人は、本来、自動車を自由に運転することができる地位を持つが、それでは社会の安全が保たれないので、法律によって規制を行う。
 つまり、一般的に自動車の運転をすることを禁止する。その後、特に法の定める要件を満たした者だけが、自動車を適法に運転することが許容される。自動車の運転免許とは、行政処分のうち、一般的禁止の解除という性質を持つ。このような処分を行政法学では、「許可」と呼ぶ。
 思うに、高齢者の運転が危険であるといわれる理由は、自動車を安全に運転することができない、または安全に運転することが期待できないというものである。であれば、身体的能力の低下が一般に疑われる70歳(又は75歳)以上のドライバーについては、実技試験の実施を全員について例外なく義務付け、実技試験で合格レベルに到達しない者については、免許の更新を拒否する、つまり拒否処分を行うという方法が最も合理的である。
 この方法によれば、年齢に関係なく、実技が優れている高齢者は、全員、運転免許を更新してもらえる。反面、レベルが低下している高齢者については、適法に運転できないようになる。つまり、社会の安全が保たれるのである。
 この意見に対し、地方のように公共交通機関が整備されていない地域では、運転免許がないと社会生活を送れないことになる、それは困る、という意見がある。しかし、誰しも人間には寿命があり、また年齢とともに心身の能力の低下を免れない。
 したがって、仮に、「自分だけは元気であり、車の運転をいつまでも継続したい」という自己中心的な願望があっても、潮時というものがある。その時期が来たら、潔く車の運転から引退するべきである。実技試験に落ちたという事実イコール「引き際」ということである。
 警察庁は、事態を傍観することを止め、至急、法改正に取り組むべきである。

日時:19:57|この記事のページ

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