特殊詐欺の被害がいっこうに減らない。
原因はいろいろとあろう。
特殊詐欺とは、主に電話を使って、高齢者を騙して金銭を詐取しようとする手口をいう。具体的な方法はいろいろあろうが、一番目につくのは、金融機関の職員や警察官をかたって、被害者宅に電話をし、被害者の預金が犯罪組織に狙われているなどと嘘を告げ、その嘘を信用した高齢被害者から、通帳やキャッシュカードを受け取り、また、暗証番号を聞き取り、預金からお金を下して奪い取るというものである。
テレビなどを見ていると、ときどき「特殊詐欺に遭わない方法」が紹介されることがある。内容は様々であるが、多くの場合、不審な電話には出ないことが推奨されている。また、電話に出ても必ず録音をし、そのことを電話の相手にも告げることが薦められている。
確かに、高齢者が電話に出なければ、特殊詐欺には遭わないわけであるから、一定の効果はあると思われる。しかし、この方法も、警戒心の弱い高齢者には無力である。つまり、うっかりと電話に出てしまい、言葉巧みに高齢者を騙す犯罪者によってついつい騙されるという事態が起きてしまうことも十分考えられる。
ではどうすればよいのか?答えは実に簡単である。
特別の立法をするということである。つまり、特殊詐欺犯罪者だけを特に重く罰する法律を作ればよいのである。そして、特殊詐欺の罪を実行した者は、たとえ初犯者であっても執行猶予を付けることを法律で禁止する。
また、刑罰を重くして、初犯者であっても、3年から5点程度の実刑を下すことを、通常の運用とするような厳しい法律を作るのである。まして、主犯格の場合は、10年から20年程度の実刑判決が下されるようにするわけである。
例えば、「特殊詐欺の罪を犯した者は、3年以上の懲役刑に処する」、「特殊詐欺を犯した者には、執行猶予を付することができない」というような法律を作るのである。
折しも、本日、フィリピン国内で、日本人36人が拘束されたというニュースを見た。これらの日本人は、フィリピン国内のアジトから、日本に電話をかけ、高齢者を騙すという、とんでもない悪事に専念していた。私としては絶対に許すことができない恥ずべき悪人どもである。
以上、高齢者を騙そうと考え、国外に渡航してまで悪事を重ねる者たちは、特別立法をした上で、厳罰に処する必要がある。もし、そのような法律ができれば、悪党どもも、さすがにビビることは間違いない。そうすれば、特殊詐欺犯罪も目に見えて減少するであろう。
日頃から感じることであるが、日本の刑罰は軽すぎるのではないか。換言すると、裁判官は、余りにも犯罪人の「人権」に配慮しすぎているのではないか。これは実におかしい。
テレビなどを見ていても、アメリカでは、犯情の悪い殺人罪には、死刑、無期懲役刑はもちろんのこと、有期懲役刑であっても、当たり前のように懲役50年程度の判決が下されることもあるようである。
今後、外国人が日本国内でも増加する時代を迎える。「信義を重んじる、社会常識を守る」という古くからの良き日本の伝統も薄れる危険がある。治安の維持または社会防衛の見地からも、刑罰を重くする方向で、刑法改正のための作業を開始する必要がある。
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