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弁護士日記

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ゴーンの保釈を許可した裁判官は万死に値する

2020年01月03日

 ゴーンという男は、われわれ日本人の常識を超えた悪知恵を備えた人間である。ゴーンが逃亡に成功した原因は、専門家と呼ばれる職業にある人々の考えもつかないことまで秘かに計画する力があったということである。具体的に言えば、次のとおりである。
 第1に、ゴーンの財力である。ゴーンがどれほどの金を貯め込んでいるのかを知る者は、おそらく本人以外には知らないのではなかろうか。ゴーンは、日産自動車に来る前にも世界的に有名な企業の役員を務めていた。その時点で相当額の金を貯めていたはずである。さらに、日産自動車のトップを務め、さらに蓄財した。ゴーンという男は、多額の報酬を貰っていながら、それでも足りないと考えていた守銭奴である。ゴーンが逮捕された時点で、ゴーンが貯めていた現金、価証券類、金などを合計すると、少なくとも数百億円に達していたのではなかろうか。大富豪ということである。なぜ、そのような推測が成り立つかと言えば、日本で有名な企業家を思い浮かべた場合、しばしばマスコミに登場する「小物」と言える人物でも数百億円の財産を持っているとされているからである。
 そうすると、地裁が保釈条件として示した15億円など、ゴーンにとっては、はした金にすぎないことが分かる。ゴミのような金である。つまり、逃亡が成功した場合に、15億円を没収されても、痛くもなければ痒くもないということである。15億円という保釈保証金は、逃亡を抑止する効果など最初からなかったのである。そのことが、保釈を許可した東京地裁の世間知らずの裁判官には全く理解できていなかった。桁をひとつ増やしておくべきであった。
 第2に、ゴーンの社会的地位である。新聞報道(3日付け産経新聞24面)によれば、真偽のほどは不明であるが、ゴーンは、レバノンに入国した昨年12月30日のうちに、レバノンのアウン大統領と面会したという。逃亡犯が、故郷に到着した日に国の大統領と面会できるという事実は、ゴーンが非常に大きな政治力を持っていることを示している。また、世界を股にかけてきたという経歴から、いろいろな組織とのコンタクトも可能であったと考えるのが普通である。ゴーンの保釈を許可した裁判官は、そのようなことは全く分かっていなかったに違いない。仮に少しでも知識があれば、より慎重に保釈申請の審査をしていたはずだからである。
 第3に、パスポートである。新聞報道によれば、ゴーンは、全部でパスポートを4通持っていた。フランス政府発行のものが2通、レバノンのものが1通、ブラジルのものが1通の計4通である。今回、なぜゴーンがヨルダンに入国できたたのかの点が謎であった。
 ところが、ゴーンは、フランス政府が発行したパスポート2通のうち、1通を何と自分で所持していたという。昨年5月に、外国人であるゴーンがパスポートを持っていないと入管難民法違反になるという理由で、弁護人が、裁判所に保釈条件の変更を申請し、裁判所がこれを認めた結果、そのパスポートを「鍵付きの箱」に入れてゴーンに渡し、鍵は弁護人が預かったという。
 これには心底驚いた。どのような箱に入れていたのかは知らないが、本人が所持できる箱であるから、重くて頑丈なものとは考え難い。また、鍵を破壊すれば、中にあったパスポートをすぐに取り出すことも容易である。つまり、パスポート1通をゴーンに渡したということと同じである。これでは、国外逃走を防止することはできない。小学6年生でも分かることである。
 一体、保釈条件の変更を許可した裁判官は、何を考えてこのような「やってはいけないこと」をやってしまったのか?裁判官は、法律や訴訟制度についてはよく知っているが、社会常識に欠けると言う。全くそのとおりのことが起こっていまった。この裁判官のミスジャッジは万死に値する。自発的に辞職して混乱の責任を取るべきである。
 子供の頃から進学塾に通って、その結果、試験における偏差値だけが高い人間が、大人になって裁判官になると、世間からすると首をかしげるような判決を量産することになる。令和の時代を迎え、司法権に対する民主的な統制についても大いに議論し、どしどし制度改革するべきである。

日時:11:48|この記事のページ

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