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弁護士日記

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トップの意識次第ですべてが決まる

2021年08月01日

 本日8月1日は、現時点で、日本が17個の金メダルをとっているという嬉しいニュースがある。
 その一方で、本年7月29日に、福岡県中間市の双葉保育園で、園児T君が死亡したとの報道があった。さっそく事実関係を読むと、同日、5歳の園児を送迎した保育園のバスを運転していたのは、同保育園の園長とのことである。園長は、他の子供と同じようにT君を午前8時頃にバスに乗せたが、保育園に到着した際に、T君がバスから降りたことをよく確認せずに、バスに鍵をかけて、そのままT君をバスの車内に閉じ込めたままの状態でその場から離れた。同日午後、T君の母親から、「子供が帰ってこない」という連絡が保育園にあったため、皆で探したところ、同日午後5時15分にバスの中でT君は発見された。T君は、すぐに医療機関に搬送されたが、死亡が確認されたということである。また、司法解剖の結果、熱中症による死亡推定時刻は午後1時頃と発表された。
 園長の注意義務違反つまり過失によって、尊いT君の命が奪われた。何らの落ち度のない子供の命が奪われたことは、悲劇というほかない。
 ここで、最初に法的な観点から簡単に分析をしてみる。刑事責任としては、業務上過失致死罪が成立するであろう。刑は、5年以下の懲役もしくは禁錮または100万円以下の罰金である。刑罰を受けるのは、自らバスを運転し、保育園に到着した後にT君をバスに閉じ込めたままバスを離れてT君を死亡させた園長である。
 今回の場合、園長の過失の程度は決して軽いとは思えない。したがって、実刑判決を受けることになる可能性が高い。仮に執行猶予の判決が出る場合は、被告とされた園長とT君の遺族との間に民事上の和解が成立し、遺族から嘆願書が出たような場合に限られよう。園長は、自ら辞職することによって死亡事故の責任をとるという誠意ある姿勢を見せなければならないことは当然である。
 これは私見であるが、日本の刑事裁判は、不当に軽すぎる判決が多い。例えば、車を運転中にわき見をして前方を走行中の自転車に激突し、自転車を運転していた者を死亡させたような場合でも、執行猶予の判決を出して平然としている裁判官が現にいる。他にも市民感覚を忘れた裁判官が多いということである。これらの裁判官は感覚がズレているという以外にない。仮に裁判官の身内がそのような非業の死を遂げた場合でも、果たして執行猶予の甘い判決が出せるかどうか、疑問である。
 今後は、より判決内容を厳しくし、たとえ過失であっても、人を死なせた場合は、原則、被告全員に対し実刑判決を下すべきである。
 なお、民事上の賠償金額は、交通事故の死亡事故の場合の算定方法と同じであり、死亡慰謝料や逸失利益が賠償金の大部分を占める。
 今回の事件の場合、なぜ園長が自らバスを運転していたのかという大きな疑問がある。大勢の子供を乗せた送迎バスの運転は、やはりバスの運転に慣れた者(専門家)に任せるべきであろう。園長は、そもそも保育園の最高責任者であり、普通の常識で考えた場合、原則、保育園の中で執務し、全体を統括すべき立場にある。
 ところが、園長自らが送迎バスを運転していたのである。原因は何か?人件費を少しでも節約するため自分でバスを運転せざるを得ないような苦しい経営状態にあったのであろうか?あるいは、保育園を運営している法人のトップ(理事長)に命令されて、不本意ながらバスを運転していたのであろうか?仮に後者の場合は、法人の理事長の責任は軽くない。
 今回の保育園に限らず、組織というものは、トップが良識的でしっかりとした考え方を持っている場合は、その組織で働くスタッフも間違いのない責任のある仕事をする。ところが、トップが、無責任で何らの常識も備えていない場合は、その下で働く者も、同様の低レベルに沈む。法人全体が、ダメな体質を帯びてしまうということである(事なかれ主義の無責任体質)。その意味で、組織のトップ個人のレベル(見識・人柄・心構え)は極めて重要と言えよう。

日時:14:21|この記事のページ

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