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弁護士日記

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中露による威嚇行動を許すな

2021年10月26日

 中国とロシアは、最近、共同で軍用艦10隻を連ねて日本列島の周りを一周した。特に津軽海峡と大隅海峡は日本の領土に極めて接近した位置にあり、いわば日本の庭先において軍艦10隻を通過させたに等しい。これは防衛省が23日に公表した情報である。
 津軽海峡は、北海道と青森県に挟まれた海域であり、海峡の幅はおおよそ22キロメートルである。テレビニュースなどで大間のマグロ一本釣りの様子が紹介されることがあるが、あの海域が津軽海峡である。
 では、なぜ中露は津軽海峡を航行することができるのか?航行しているのは大きな軍艦であるから、その軍艦からいつミサイル弾が飛んでくるかも分からないのである。近くの漁師などは、10隻もの巨大な軍艦が並列して海上を航行する姿を見て非常に心配したのではなかろうか。
 そもそも、近代国家の領域は、領土、領空、領海の3つから構成される。国家領域において国家は主権を行使することができる。そのうち、領海は、沿岸国の基線(干潮時の海岸線)から、原則12カイリ(なお、1カイリ=1.852キロメートル)以内とされており、12カイリとは約22キロメートルである(国連海洋法条約)。我が国も22カイリを採用している。
 そうすると、例えば、津軽海峡の場合、海峡全体が日本の領海になってしまう。領海において外国船舶は、無害通航権(innocent passage)といって一定の要件を満たせば他国の領海であっても通行することができる。ここで、「無害通航」の意味が問題になるが、無害通航とは、沿岸国の平和、秩序、安全を害さないことをいう(国連海洋法条約19条参照)。
 特に問題になるのは軍艦の通航である。世界の国の中では、軍艦については事前許可制度を採用している国もある(防衛実務国際法95頁参照)。例えば、イラン、中国、ベトナムなどがこれに当たる。
 今回、中露の軍艦がなぜ津軽海峡を堂々と通航することができたのかといえば、日本は、特例として宗谷海峡、津軽海峡、対馬海峡東水道、対馬海峡西水道、大隅海峡の5つの海域については、日本政府において1977年以降、「特定海域」として当分の間、領海幅を3カイリにしたためである。そうすることで、北海道の方から3カイリ、青森県の方からも3カイリの領海になる。すると、双方の地域の中間に位置する海域は、領海から公海に戻ることになるのである。公海であれば、公海自由の原則が適用され、今回のように、中露の軍艦も通行することができるようになる。
 ここで、問題は、日本がなぜ上記の5つの海域を特定海域としたのかである。テレビ報道などのによれば、日本には、非核3原則というものがあり、仮に津軽海峡を日本の領海にしてしまうと、アメリカの核ミサイルを搭載した原子力潜水艦が津軽海峡を航行した場合に、「核を持ち込ませない」という原則に抵触し、野党などが批判を始める事態になるから、それを回避するためという説明がされる。
 しかし、これは全く不合理で本末転倒の議論である。第1に、核を持ち込ませないという原則自体が不合理なものであり、今日の世界情勢に適合していないことがあげられる。非核3原則を作った当時と比べると、中国は化け物のように強大な軍事力を保持するに至っているのであるから、それに対応するには、非核3原則のうち、「核を持ち込ませない」という原則は、今日においては完全に廃止すべきである。現実に即さない原則は直ちに改めるべきである。また、現に、核兵器を搭載している可能性がある同盟国アメリカの軍艦が日本の港(領海)に寄港することもあり、現実にも合っていないのである。非核3原則を堅持せよと叫ぶ論者の意見には説得力が全くないということである。
 以上のことから、特定海域の特例は早急に廃止し、専制国家である中露が、日本の庭先ともいうべき海域で、二度と、威嚇行動をできないよう条約の内容を改定すべきである。中露という危険な体質を持った国によるやりたい放題をこれ以上許してはならない。仮にこれを放置すると、毎年のように恒例行事化する可能性がある。津軽海峡を通航するということは当然、海底の地形などの情報も入手できるということである。その情報は、万が一の際に役にたつはずである。中露は、日本にとって基本的に敵であることを正しく認識しておく必要がある。断じて友好国ではない。
 なお、中国について、近い将来、アメリカの軍事力を上回るという見解が多数を占めているように思えるが、私は違う見解をとる。中国は、今や世界の各国から警戒され、嫌われる国となった。このままでいけば、今後10年以内に中国は成長を止め、次第に衰退に向かうのではないかと予想する。
 非核3原則の改訂を政治日程にあげた場合、中国のエージェント(または工作員・スパイ)となっている左翼政党の議員(親中派の一部与党議員も含む。例 福田康夫元首相)やマスメディアに登場するコメンテーター、新聞記者などは、改定に猛反対するはずである。改定されてしまっては、中国共産党に不利になるからである。彼らの究極の目的は、中国共産党の利益を図ることだけである。
 しかし、責任ある政治家は、これらの反日活動家による反対を押し切っても、正しい方向に国を持ってゆき、国益を実現する責務があるのである。それにしても、日本の外務省はつくづくダメな官庁だと思う。何もやる気がなく、ただただ保身と現状維持に汲々とする姿は見苦しいの一言に尽きる。

日時:20:56|この記事のページ

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