058-338-3474

お問い合わせ電話番号
受付時間:午前10時~午後5時

電話でのお問い合わせ

弁護士日記

弁護士日記

話にならない岐阜新聞社説

2021年11月28日

 私が定期購読している新聞は、産経新聞と岐阜新聞である。
 記事や社説の内容には相当の相違がある。岐阜新聞は、地元の細々としたニュースを知るには便利である。半面、社説の内容は、反共産主義の立場をとる自分には納得できないものが多い。
 本日(2021年11月28日付け)の社説もその一例である。もちろん、憲法で保障された言論の自由があるから、公序良俗に反するもの、民法上の不法行為に該当するもの、あるいは犯罪行為に当たるものを除き、何を書こうと自由である。
 補正予算の防衛費について、本日の社説は「抜け道の膨張、慎むべきだ」とある。「慎むべきだ」というフレーズは、中国共産党の機関紙がよく使う表現である。他国が採用しようとする正当な政策に対し、もっぱら中国共産党の利益を図る意図で、上から目線で横槍を入れようとする場合によく使われる表現である。
 さて、本日の岐阜新聞社説が、なぜ話にならないのか、以下、根拠を示す。
 第1に、「防衛費の膨張を続ければ際限のない軍拡競争に陥る。『聖域』とせず、厳しく精査する必要がある」と主張する。しかし、防衛費は、時代の変化を無視した一定額に固定されたものであってはならず、その時点における国際情勢や防衛環境に照らし最も適切な金額であるべきである。これが基本原則である。現時点で、GDP比2パーセントを目指すとした岸田総理の判断は妥当なものである(中国にとっては、日本の防衛費が増えることは、国家戦略上はマイナス要素となる)。
 ところが、岐阜新聞社説は、上記のとおり、「際限のない軍拡競争」に陥るという。この認識は間違っている。世界の歴史は、常に軍事技術の改良、新しい兵器の開発を目指してきた厳然たる事実を全く忘れている(あるいは無視している)。
 敵である中国が日本の安全保障を脅かすような兵器あるいは軍事力を整備した場合、日本としても何もしないわけにはいかない。対抗策を講ずる必要がある。仮に何も対策を講じないでいれば、中国の我が国に対する攻撃を引き起こすことになるからである。
 多くの場合、戦争が起こるのは、パワーバランス(戦力の均衡)が崩れた場合である。そのことは世界史を見れば分かる。多くの場合、例えば、ナチスドイツによる周辺国への侵略にみられるように、攻撃力において優位に立っている国が、「今なら勝てる」と考えて自国よりも弱小な国に対し侵略を開始するということである。
 したがって、兵力の均衡こそが、実は世界平和を維持する有効な手段ということになる。中国が毎年のように軍事費を膨張させてきたという事実がある限り、我が国も相応の防衛予算を整備することは全く道理に合ったことなのである。それを岐阜新聞社説は「軍拡競争」というような的外れの表現をもって主張している。岐阜県民の能力を低く見て、たぶらかそうとするのも、ほどほどにした方が良い。
 第2に、岐阜新聞社説は、「防衛力の強化だけで周辺国の脅威に対処できるわけではない。逆に不測の衝突の恐れも生じる。何よりも取り組むべきは脅威を減衰させる外交的な努力だ」と主張する。
 これも間違った考え方である。岐阜新聞社説のいう「周辺国」がどの国を指すのかは明確でないが、推測するに、主に中国と北朝鮮を指していると推測できる。
 防衛力の強化が中国や北朝鮮の攻撃を抑える第一の手段であるというべきであり、この点で既にこの社説は間違った考え方に陥っている。真の外交力とは、軍事的な実力を背景としてはじめて効力を生ずると考えられるからである。
 次に、社説のいう「不測の事態」とは、一体どのような場合を想定しているのか?全く意味不明である。中国の人民解放軍と我が国の自衛隊が衝突するような事態をいいたいのか。仮にそうであれば、そのような事態が生ずる危険は、過去何十年も前から一貫して継続しているはずであり、全く意味不明というほかない。
 さらに、「外交的努力」の意味も不明である。まともな考え方に立てば、アメリカ、オーストラリア、イギリスなどの西欧民主主義国との連携を意味する。いわゆる中国包囲網の構築である。ところが、岐阜新聞社説の場合、過去の記事を読む限り、中国との外交的な交渉を意味するとみてほぼ間違いない。しかし、中国のような国際法を無視する独裁国家とは、日本が誠意をもってまともな外交交渉をしても全く無駄である。せいぜい、我が国としては、表面上は友好平和をうたいながら、実は中国の国益が増大しないよう対策を講ずることくらいしかすることはない。
 毎回、岐阜新聞社説を執筆している人物(噂では共同通信社の論説記者と聞く)は、親中国派の人物とみてよいであろう(いわゆるリベラル勢力に属する人物である)。このような性格の記事が日常茶飯事の如く出るのも、中国共産党による巧妙な情報操作ないしプロパガンダの結果といえよう。簡単にいえば、この社説は、当の執筆者が意図しているか否かを問わず、結果として中国共産党の利益を狙った宣伝記事に成り下がっているということである。しかし、岐阜県民は、このようなものに惑わされるほど低レベルではないことは、先の衆議院総選挙の結果から明らかである。

日時:11:19|この記事のページ

ページの先頭へ

Copyright (c) 宮﨑直己法律事務所.All Rights Reserved.