本日(2022年2月17日)のFNNニュースによれば、今月15日に、林芳正外務大臣は、ロシアの閣僚とテレビで経済協力についての会合を行ったという事実があるようである。この林外相の動きに対し、自民党の高市早苗政務調査会長は批判を加え、G7(先進7カ国)の結束を乱すものであって、強い懸念を覚えると述べたという。
このニュースは事実である可能性が極めて高い。そうすると、一体、林外相は、何を考えてこの時期にロシアと経済協力に関する協議をしたのであろうか?理由が全く分からない。なぜなら、現時点で、ウクライナをめぐってロシアが軍事行動をとる危険が非常に高くなっているからである。1か月前のブログでも指摘しておいたとおり、ロシアは、ウクライナのNATO加盟を絶対に容認しないという主張を繰り返し行い、ウクライナのNATO加盟を阻止するために、ウクライナへの軍事侵攻を現に企てているのである。つまり、現政権を倒し、親ロシアの人物を傀儡として大統領に据え、自分たちの勝手な要求を実現しようとしているのである。
このような勝手な要求は、絶対に認めるわけにはいかない。ウクライナは主権国家であり、NATOに加盟するか否かはウクライナの国民が決めることだからである。ロシアの行動は、まさにこれから強盗を働こうとしているギャング(暴力団)のようなものである。
ここで、ギャング・ロシアの勝手な行動を阻止するためには、ウクライナが軍事力を増強して自国を守るということが第1である。しかし、軍事力というものは、一朝一夕に整備できるものではなく、時間をかけて徐々に整備する以外にない。緊急事態が発生したからといって、急に整備できるものではないことは、普通の中学生でも分かることであろう。仮にウクライナに日本国憲法9条2項(戦力の不保持)のような憲法があったとしても、戦争を抑止するという観点からは、そのような憲法の条文は紙くず以下の価値もない。むしろ有害である。
そこで、外交の出番となる。外交とは、話合いによる問題(懸案事項)の解決ということである。周知のことであるが、外交で重要なことは、世界の多くの国を味方につけるということであり、とりわけ先進国の結束が重要となる。つまり、米、英、仏、独、伊、日、カナダの先進7カ国の調和・協力が必要となる。7カ国とEUが一致してロシアに圧力をかけることによってロシアの軍事侵攻を阻止しようということである。具体的には経済的な制裁をかけることでロシアの横暴を止めるということである。
そのような状況下で、日本がロシアと経済協力の会合を開いたということは、先進国の結束を乱すものであることは明白である。結果、ロシアによるウクライナ侵攻の危険性が高まるという「悪い事態」をもたらすのである。
なぜ、この時期に会合を開いたのかを問われた外務省は、「前から予定されていた会談だったから」と釈明したと聞く。この話を聞いて、本当に日本の外務省ほどダメな役所はないと改めて思った。既に決まっていることだから、今更変更できないという理屈は、役人根性の悪い面を如実に示している。
外務省には、「臨機応変」という言葉はないようである。霞が関の多くの省庁の中でも、ダメぶりにかけては断トツといえよう(ただし、これは私の主観的評価であり、客観的なものと主張しているのではないことに注意)。そのくせ、気位の高さだけは他を寄せ付けない。大使は、「閣下」と呼ばれるのが普通の取扱いと聞く。大使経験者は、退官後であっても、礼儀上、「大使」と呼ばれるのが当たり前となっているようである。このような古びた不合理な仕来りが今でも堂々と通用しているのが外務省である。
ここでいう「ダメ」とは、日本の国益を真剣に考えていないという意味であり、また、一般の日本国民からみた場合、過去の前例・決定を盾にとって何も解決しようとしない怠慢さであり、さらには、多額の海外在住手当をもらっておきながら、外国にある日本大使館の中で一体どのような仕事をしているのか具体的な中身が不明という意味である(私も昔観光で訪問したことがあるリトアニアの地で、人道主義の立場から外務省本省の意向に逆らって、不眠不休でユダヤ人に対しビザを発行し続けた杉原千畝氏の爪の垢でも煎じて飲んだらどうであろうか。)。また、例えば、戦後の竹島問題についても、客観的事実として韓国が日本の正当な領土である竹島を侵略したことが明らかであるにもかかわらず、強力・有効な対抗策を全く講じてこなかった。このことからも、日本の外務省の無為・無策ぶりは明白である。「遺憾であり、強く抗議する」などという常套文句は、木偶の坊であっても言える。日韓議連というような日本の国益を軽視した政治家の団体が、外交政策に悪い影響を与えたとしても、外務省の無能ぶりは弁護のしようがない。
その外務省の長が林芳正氏である。林氏をみていると、学歴・経歴には確かに素晴らしいものがあるが、その発言内容は、「生ぬるいお茶」のような感じであり、尖ったものが全くない。つまり、迫力が全く感じられない。また、外見上は態度が落ち着いているといえば聞こえが良いが、別の見方をすれば、何か茫洋としたイメージがあり、腹の中では何を考えているのか容易に推測できないという不気味さがある。かねてより林氏は親中派であることでも知られている。こうなってくると、親中・親ロ派の人物ということになりそうである。岸田総理がなぜ林氏を外相に起用したのか、全く理由が分からない。岸田氏も人を見る目がないものである。
私が見たところ、林氏は何事も無難に足して2で割るというようなタイプではないかと考える。平時の霞が関の実務はこれでも済むかもしれない。しかし、今後、自分の身を捨てても日本を立て直そうという気概はないと感じた。将来、日本国の首相になる可能性はきわめて低いと予想する。
(追記)今回、林外相に対しマイナス評価を下したが、林外相よりも酷いのは、前外相・現自民党幹事長の茂木氏である。茂木氏は、外相時代に中国の外相王毅と会談したことがある。その際、王毅は尖閣諸島の領有問題について、日本の立場を否定するとんでもない発言をした。その際、茂木氏は、へらへらと笑って済ませた(少なくとも、その場で直ちに横暴な発言をした王毅に対し強く抗議したという事実は確認されていない。)。このような卑屈な態度は、国益を守る気概がもともと希薄であることから生じたものと推測される。茂木氏だけは、絶対に日本国の首相にしてはならない。
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