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弁護士日記

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安易な停戦合意は、かえって危険だ

2022年03月18日

 本年2月24日に始まった、ならず者ロシアによる隣国ウクライナへの侵略から3週間が経過した。
 日々、テレビなどを通じ戦況が刻々と報道されている。大方の見解によれば、当初、ロシアはウクライナの首都キエフを3日程度で陥落させることができると想定していたようである。しかし、その想定は全く外れ、今や、ロシア軍の動きは遅々たるものとなっている。また、停戦に向けた交渉も始まっていると聞く。
 しかし、次のようなことを忘れてはならない。
(1)ロシア人は、とんでもない大嘘つきだという事実である。日本人は、子供の頃から「嘘つきは泥棒の始まり」などと言われ、嘘をつくような人間になってはいけないと教育されてきた。あるいは、人に迷惑をかけるような人間になってはいけないという社会常識も定着している。
 しかし、ロシア人の考え方は、根本的に我々日本人とは違う。そのことが、そもそも日本人には分かっていない。テレビでもしばしば顔を見せるロシアの専門家である筑波大の中村逸郎教授は、2021年2月5日に「ロシアを決して信じるな」(新潮新書)を出した。昔から政治・外交に興味がある私は、当時その本をすぐに買って読んだ。
 すると、次のような文章が書かれていた。ここでは、中村氏と昔からの友人であるロシア人の会話が書かれている。そのロシア人(名前はミハイールというらしい。)は言う。「相手を信じやすく、騙されやすい人は、すぐにロシア人の恰好の的となり、騙されてしまう。このタイプの人間には、嘘の約束をするのが一番だ。逆に、頑なに相手の要求を拒否する人よりもずっと扱いやすい。だって嘘だとわかっても、相手は『そんなはずはない。なにかの誤解でしょう』と勝手に信じ込んでくれるからね。だから、ロシア人はどんどん嘘の約束を重ねていけばいいだけのこと。実際には何も実行しなくてすむし、失うものはないので、こんな楽な相手はいない」と(72頁)。
 このロシア人の言葉を、中村氏は次のように解釈している。「問題解決にむけて互いに真っ向から冷静に話し合っても、そう簡単に埒が明かないものだ。だから、まずは相手を油断させるために嘘の約束を交わす。その内容が相手方にとって、不利なものにならないのがコツのようだ」と(73頁)。
 しかし、嘘はやがてばれることになるが、ロシア人は、さらに新たに嘘をつくことで相手を安心させる。「まさにロシア人に毒を盛られる」わけである。しかし、最終的に嘘がばれても、ロシア人は、「悪いのは嘘をついた自分たちではない。気づいた相手に非がある」と開き直る(同頁)。このように、「ロシアの流儀は、交渉のはじめに嘘をついておく、つまり、嘘から交渉をスタートさせるというものだ」と断言する(同頁)。
(2)G7の国々のうち、ロシアによって領土が侵略されている国は、日本だけである。ロシアつまりソ連は、1945年(昭和20年)8月18日に日本の領土である千島列島に侵略を開始した。日ソ中立条約を一方的に破棄し、千島列島の北端(カムチャッカ半島の南)にある占守島(しゅむしゅとう)に侵略を開始し、今日の北方領土の不法占拠につながる。
 日本は、同年8月15日に連合国に対し無条件降伏をしたのであるから、その時点で戦争は終結し、関係国は戦争行為を停止する義務があった。しかし、ロシア(当時のソ連)はそのようなルールを一方的に無視し、日本領である千島列島の強奪を開始したのである。まさに夜盗のような野蛮な行為を行ったのである。
 強盗ロシア(当時のソ連)は、同年9月5日までに日本固有の領土である北方領土(択捉島、国後島、色丹島、歯舞群島)まで侵略を行った。ただし、当時の日本陸軍は現地で、まさに自衛のための戦いを行い、強盗ロシアの侵攻を食い止めた事実があった。仮に「戦争は終わった。軍人ではなくなった俺たちにはもう関係がない」と無抵抗でいた場合、北海道まで強盗ロシアに占領され、現在に至るも、有史以来の最悪の独裁者であるプーチンの支配下に置かれていた可能性もある。
 ヒットラーを擁護する気は全くないが、第二次世界大戦において、仮にヒットラーが憎きロシアを倒していた場合、今日に至るまで千島列島全部が日本領として保全され続けていた可能性もある。歴史とは、このように、何が良くて、何が悪いか分からない複雑なものである。
 さて、本題に戻る。悪魔プーチンは、今や純粋の民間施設をも故意に標的にしてロケット弾などを打ち込み、多数のウクライナの子供や民間人を虐殺している。国際司法裁判所も、3月16日、ロシアに対し、ウクライナへの侵略を直ちにやめるよう命令を出している。しかし、悪逆無道のロシアは、その命令に従う意思がないことを公言した。国際社会では、強大な軍事力のある国については、法の支配など関係ないという無法ぶりが通ってしまうのである。
 結果どういうことになるかと言うと、ウクライナがロシアと停戦交渉をしても、上記のとおり、ロシアの言うことは全部嘘だということであり、そもそも合意をする意味など最初からないということである。ロシアの言う「停戦合意」とは、最初からウクライナを騙すための工作であり、本心は、停戦などする気はないということである。そのことをウクライナもよく分かっているはずである。
 例えば、停戦合意がまとまって、文書で「ロシアはウクライナ国内から兵を退く」という条項が定められたとする。しかし、「いついつまでに、どこから撤退する」という期限や地域は明記されないことになろうから、ロシアは、後100年後に撤兵するという屁理屈を言うことが可能である。つまり、ロシア軍は依然としてそのままウクライナの国土を占領を継続することになるのである。これでは、ウクライナにとっては何も利益がない。とにかく、ロシアの言うことは絶対に信用してはならない。
 このように一事が万事そのようなことであるから、結局のところ、真の解決法は、一つしかない。悪魔の軍隊であるロシア軍を徹底して壊滅させ、事実上、戦争を遂行する能力を奪うことである。場合によっては、悪のプーチン体制を転覆させることである。これしかない。
 そのためには、アメリカとNATO諸国が連合して、装備を整えた軍隊をウクライナに派遣し、ロシア軍と正面から戦い、その戦力を徹底して破壊することしかない。ここで、「ウクライナ人よ、とにかく逃げろ、逃げろ」というだけの一部の無責任な似非平和主義者から「そんなことをしたら、核戦争になる」から絶対にダメだという意見が出よう。
 もちろん核戦争になってはいけないが、仮に認知症を発症しているプーチンが核戦争のボタンを押してしまった場合(ただし、発狂したプーチン以外の政権幹部は、自分たちも一緒に破滅して一文無しになることは嫌であろうから、最後は、悪の源であるプーチンを暗殺し、核ミサイルのボタンが押される事態は回避されると予想する。)、人間はそのような愚かな生き物だったということで諦観する以外にない。
 人間の生産活動が完全に停止し、CO2の排出が極端に減った地球上に、1000年後には「サルの惑星」が誕生することになるかもしれないがこれも仕方がない。地球(人間以外の生物)自身から見た場合は、「結果良かった」ということかもしれない。
 冗談はさておき、今後のウクライナ情勢であるが、気が狂った大悪党プーチンが、仮に国際条約で厳に禁止されている化学兵器をウクライナ国民に対して使った場合、アメリカもNATOも黙っていることはできず、上記のとおり、人類の共通の敵であるロシア軍(正体はプーチンの私兵である。)を討伐するための軍が結成されると見ている。いずれにせよ、ウクライナが勝利すること(負けないこと)が一番重要だ。

日時:13:33|この記事のページ

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