最近のテレビ報道を見ていると、目につく話題の第1は、旧統一教会がらみの法案に関するものであり、第2に、防衛費の増額に関するものである。その他は、独裁国の中国で、国民の反発を恐れて、習近平が新型コロナの拡大予防対策を緩和する兆しがあるというニュースくらいである。国内における新型コロナの感染者の数の増減については、多数の国民にとっては、余り関心がない話題となっている。
さて、防衛費であるが、今後5年以内に、GDP比2パーセントにまで増額するという政府の方針は、当たり前のことであり、特に異論はない。憲法9条という天下の悪法の下、遅まきながら日本もようやく普通の国(国際標準の国)に一歩近づくことができることになった。「一歩前進」という評価である。
今般、防衛費の増額が具体的に政治課題にあがった主な要因は、これまで長年にわたる故安倍元首相の先見の明による、防衛力強化を図ることが国民の生命・財産を守るためには不可欠という政策が根底にあることは間違いない。
しかし、より直接的には、2022年の2月に始まった傲慢な独裁者プーチンのウクライナ侵略がきっかけになっていることも疑いない。プーチンによる隣国ウクライナへの侵略が始まる前、これまで左翼系の新聞社は、盛んに「外交的努力が必要だ」という全く空虚なキャッチフレーズを、常時、社説等に掲載し、間違った方向に岐阜県民(国民)の世論を誘導しようと躍起になっていた。実に暗愚な姿勢である。
各国が主権を持つ国際社会においては、国の大小または国力には無関係で、各国は平等であり、それぞれ国家主権というものを持っている。したがって、ある国Aと他の国Bの間に紛争が生じた場合、当事者国A・Bは、まずは平和裏に話合いを重ねることによって紛争を解決すべく努力を払うことは、基本中の基本である(そのようなことは誰でも知っている)。
しかし、紛争というものは、国内の紛争を見れば分かるとおり、話合いまたは協議で全部が解決するものではない。仮にすべての紛争が、当事者間の話合いで解決するのであれば、裁判所など不要となる。しかし、日本国にも外国にも現に裁判制度があり、裁判所が存在する。という普遍的事実から、公平な立場にある第三者(国家権力)の力によって紛争を法的に解決する必要が生まれる。
ところが、国際社会においては、確かに司法裁判所などの司法機関があるが、国際司法裁判所の場合、強制管轄権がないため、A国が提訴しても、相手方のB国が司法裁判所による解決を拒否することができ、結果、裁判にならない。つまり、実効性が欠ける。そうすると、最後は、実力を行使して紛争を解決するほかない。これが戦争である。かつて戦争論を書いたクラウゼヴィッツが言っているとおり、戦争とは、問題解決のための政治的行為なのである。
この真理を日本に当てはめた場合、隣国には、中国という好戦的な共産主義国家がある。その中国は、「尖閣諸島は、中国の領土であり、これは中国にとって死活的な問題である」と何回も繰り返して述べている。つまり、尖閣諸島の領有権をめぐる問題で、中国は譲歩する意思がゼロであると公言している。一方、尖閣諸島は、日本古来の領土であり、紛れもない日本領なのである。この問題で日本が譲歩する余地はゼロである。
そうすると、中国が、自国であると主張する台湾に対し、様々な世論工作を仕掛けた上で、突然、軍事侵攻する可能性が相当程度あるところ、同時に、尖閣諸島に対する攻撃を開始することも十分にあり得るのである。
このような未来予測ができる現時点で、左翼新聞は、相変わらず「外交的努力が必要だ」とお経のように唱え続けるつもりか?バカバカしいの一言に尽きる。
中国は、日本にとっては最大の脅威である。中国の脅威に対し、日本国の国土・日本人の生命・財産が破壊されないようにするためには、「目には目を」という古来からの思想が有効となる。
敵である中国が、日本領を侵略し、日本人の生命・財産に損害を与えた場合、直ちに反撃を行い、敵である中国のミサイル基地、空軍の基地、武器弾薬庫、武器弾薬の製造工場などを破壊するような実力を事前に備えておく必要がある。そのような実力と意思があることを中国に知らしめることが、中国による侵略行為を未然に防ぐ有効な方法となる。
ところが、2022年12月10日付けの岐阜新聞社説の見出しは「国を危うくする予算膨張」とあった。共同通信社の誰が書いているのかは知らないが、不見識の誹りを免れない。この表現では、防衛費を総額すること自体を否定的に捉える内容となるからである。防衛費の大幅増額は基本的に正しいことであり、また、GDP比2パーセントの予算を確保するためには、あらゆる手法を駆使して経費を調達する以外に、日本が生き残る道はないのである。私流に表現すれば「国民を守るための予算の確保を目指せ」という見出しになる。
なお、上記岐阜新聞の記事(3面)によれば、安保3文書の中国に関する記述に公明党は神経をとがらせているとの記載があった。そして、「国家防衛戦略に『脅威』の表現を入れる案が示されると、北側一雄副代表は怒って部屋を出ていった」と明記してあった。
この状況を知って、私は、一体、公明党は、なぜ中国の顔色を必要以上に気にするのか、何か深い原因があるのか、表に出せないヤミのようなものを感じた。中国が日本にとって脅威であることは、平均的な日本人にとっては、当たり前の常識と言ってよい。公明党は、昔から親中派の議員が多いと聞く。最近において宗教団体一般に対する献金規制法が成立しようとしている状況が大きなストレスとなって、北側氏を感情的にイラつかせたのかもしれない。
岸田首相は、国益の何たるかを理解しようとしない偏狭な公明党とは縁を切って、よりまともな野党との連携を模索すべきではなかろうか。もっとも、岸田首相にはそのような胆力はないと見るから、この構想が実現することは期待できないが。
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