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弁護士日記

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さもしい根性の立憲民主党岐阜県連

2023年01月12日

 本日(2023年1月12日)の報道によれば、2021年の衆議院選挙で立憲民主党から立候補し、落選した今井瑠々氏(26歳)が離党届けを出したことに対し、立憲民主党の岐阜県連は、「次の衆議院選挙に向けて2021年の12月から支給してきた活動費650万円の返還を求めるよう党本部に上申した」という。これは実にさもしい態度である。金銭に執着する卑しい根性のあらわれである。
 第1に、立憲民主党岐阜県連が、今井氏に支給したとされる650万円であるが、原資はどこにあったのか?お金の出どころという問題である。政治活動の資金として岐阜県連がプールしてきたお金から出たものなのか、あるいは誰か個人が自分の資産の中から用立てたものなのか?この点は明かとされていない。
 第2に、当該資金を供与する際に、何らかの約定(借用証書)があったのか?例えば、純然たる貸金という性格を持つお金であれば、通常、返済期限の定めがあり、また、利率も明記されているはずである。貸金の場合は、法的には消費貸借契約ということになり、融資を受ける際に双方の間で返還の合意があったことが要件となる。
 これは、あくまで推測であるが、そのような約定(返還の合意)はなかったのではなかろうか。そうすると、この650万円のお金は通常の贈与ということにならざるを得ない。つまり、今井氏に対し無償であげたお金ということになる。したがって、この場合、今井氏は、650万円を返す必要はない。
 ただ、法律上は負担付贈与という場合も考えられる。負担付贈与とは、受贈者が対価とはいえない一定の債務を負担する場合の贈与をいう。ここでいう負担は、法的には「債務」である必要がある。この場合、今井氏は負担の履行をする法的責任が生じる。しかし、一番の論点は、果たして今井氏が、立憲民主党の候補者として次回衆議院議員選挙に立候補するという期待ないし役回りが、民法上の「債務」に該当するかという点である。
 常識的な法解釈に従えば、そのような期待は、民法上の「債務」には該当せず、今井氏が立憲民主党の候補者として立候補することを拒否したとしても、債務であるところの負担を履行しなかったということにはならないと解される。つまり、憲法19条で個人の政治的自由(どの政党から立候補するかは、全く個人の自由である)が保障されている以上、何人もその政治的自由を侵害することはできない。どの政党の候補者となるかは本人の自由であり、特定の政党の候補者となるという期待は、債務ではないという結論になる。したがって、仮に「資金援助するから、今後、今井氏は立憲民主党の候補者となることを約束する」という協定ないし念書があっても、そのような約束は、法的な債務に当たらないため、結局、普通の贈与契約があったと認定することになる。仮にそのような約束も債務にあたると解する立場に立ったとしても、そのような約束は、民法上の公序良俗に反したものであって、無効である。
 このように考えてくると、今回の立憲民主党岐阜県連の判断は、憲法・民法の初歩的知識も弁えない幼稚な結論であり、さもしい根性には、ただただ失笑するほかない。よって、単なる嫌がらせ発言という以外にない。
 知識レベルが、岐阜県連よりも若干高いのではないかと推測される東京の党本部としては、今井氏の除名(除籍)をもってこの一件はおしまいとするとの判断を下すことになろう。仮に万が一にも、今井氏に対し650万円の返還を求める訴訟を起こすというような判断をした場合、いわゆる「恥の上塗り」という最悪の結果を見ることになろう。度量が狭すぎるという悪印象を残すだけで終わることになろう(しかも、裁判はほぼ負けることが、現時点で既に予想できる)。
 思うに、今井氏が、立憲民主党という将来に希望の持てない「暗い政党」に見切りをつけて、政策を実現できる自民党に鞍替えしたことは英断であり、賢い選択であったと評価する。
 立憲民主党の泉代表は、「処分を検討する。今井氏の行動は政治の道から外れたものである」と語ったと聞く。つける薬がないとは、このことである。泉氏に、果たして「政治の道」を語る資格があるのであろうか。
 立憲民主党は、なぜ今回のような事態が生じたのか、その原因を真剣に自己反省することが必要となろう。政府に対しクレームを付け、国会内で目立つパフォーマンスをすることを議員本来の仕事(職務)と勘違いする輩の多い立憲民主党は、国民が支持しないため、いつまでたっても少数党に留まり政権に復帰できない。未来永劫、国家の運営に携わることができない「冷や飯食い」の状態に置かれる。そのストレス(不平不満)から、例のごとく恒例の内部対立を起こし、やがて消滅することになると予想する。

日時:21:17|この記事のページ

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