最近のニュースで一番驚いたのは、ビッグモーターの事件である。最初は保険金の不正請求疑惑から始まり、前日あたりからは公道に植栽された樹木に対し、除草剤を故意に撒いて樹木を枯らした疑惑が浮上している。これには本当に驚いた。真実の話なのか、あるいは単なる噂の域を出ないのか、現時点では確証がない。
私は、地域社会に対し、潤いと安らぎを与える効果を持つ緑(樹木)の存在を重視する考え方を昔から持っている。仮にビッグモーターが、地方公共団体によって植栽された公道上の樹木を故意に枯らそうとしていた事実があったとすれば、これは絶対に許すことができない。まさに反社会的行為という以外にない。
数日前に辞任した社長は、ゴルフボールを入れた靴下を振り回して車のボデーに傷を付ける行為は、「ゴルフを愛する人に対する冒とく」というような発言を公的な記者会見の場で行ったが、感覚が完全にズレているというほかない(なお、自分はゴルフという遊びには興味がない)。
ゴルフボールは、もともと地面に置かれて、プレーヤーが振り回すクラブによって飛ばされる運命にある。また、靴下に入ったゴルフボールを人が振り回して車のボデーに当たったとしても、そのことが原因でゴルフボールが破損することは考えられない。
それに対し、車はそもそもボデーに傷があってはいけない。ボデーに対し傷を付ける目的で何かをぶつけることもしてはならない。前社長にとっては、たかがゴルフボールと、顧客から預かった車のいずれが大切だったのか?この男の上記発言を聞く限り、前者の方が、より大切なものだったのかもしれない。
この人物が社長を務めていたビックモーターの店舗については、上記のとおり、全国的に車の展示場前の歩道上にあった樹木が多数本枯れた事実が出ている。ビッグモーターの社員が行った行動と樹木が枯れた事実との因果関係があるのかないのか。単なる偶然の一致にしては発生頻度が通常よりも多いと思われ、変である。また、除草剤を故意に撒いたという情報も多く出てきている。
仮に本当に故意に除草剤を撒いていたとしたら、とんでもないことである。刑法上の器物損壊罪に該当するからである。除草剤を撒いた理由は、推測するに、秋の枯葉が落ちる季節になった場合、その枯葉が北風に乗って展示場の車の上に落下し、展示物である車の見栄えが悪くなることを懸念したためであろう。
仮に故意に除草剤を撒いていた事実があった場合は、刑法上の犯罪が成立するという問題以前に、自分の商売のために公共用物である樹木を枯らして無くするという、どす黒くゆがんだ根性(自分さえ儲かれば、社会の一般人が不利益を受けてもかまわないという考え方)の存在が浮上する。これには、あきれ果てるほかない。テレビのニュースで、経済同友会の最高幹部である新浪氏が「このような会社は淘汰される運命にある」と述べていたが、全く同感である。この会社はもう長くないと感じた。その結果や如何に。見ものである。
Copyright (c) 宮﨑直己法律事務所.All Rights Reserved.