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弁護士日記

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犯罪抑止には厳罰化が必要だ

2024年11月03日

 本日(2024年11月3日)は日曜日である。私は、産経新聞と地元の岐阜新聞を長期間にわたって購読している。岐阜新聞の21面を開いた。見出しに「ピットブル襲撃、岐阜地裁が有罪判決」とある。内容を読むと、今から2年前の2022年11月27日に岐阜県各務原市の交差点を自転車で通行中の84歳の高齢女性が、雄のピットブルに右腕をかまれ、転倒した後、左耳の半分をかみちぎられたという。さらに、2023年8月31日早朝、同じ犬が、自転車で走行中の高校1年生(17歳)の足をかみ、高校生は全治1か月半の重傷を負ったという。
 ピットブルという犬種はもともと闘犬用の犬であり、人間に例えれば狂暴な暴力団員のようなものである。もともと市中を自由に散歩させられる犬ではない。この危険な犬を飼っていたのは、新聞記事によれば、28歳の女である。上記の事件のうち、前者の事件はこの女が犬を散歩中に起こした事件であり、後者の事件はこの女の祖父(80代)が散歩させていた際に発生したものである。
 この2つの事件を引き起こした飼主の女(28歳)に対し、岐阜地裁は、今年の7月、刑法211条が規定する重過失傷害罪(重過失致傷罪)の成立を認め、禁錮6月、執行猶予4年の判決を言い渡したという。この判決に対する私の感想は、「ダメな刑事裁判官だ。法令を根本的に変える必要がある」というものである。理由は以下のとおりである。
 第1に、この女は、ピットブルという危険極まる犬を飼育していたのであるが、そもそもこのような危険な犬の飼育を禁止すべきである(より正確にいえば、犬の販売・譲渡を禁止すべきである)。新聞記事によれば、札幌市などでは、ピットブルについて、条例で人に危害を加える恐れのある「特定犬」に指定し、錠のついた檻での飼育などを推奨し、不適切な場合は罰金を科すとしている。
 しかし、古田肇氏が知事を務める岐阜県にはそのような条例はないという。古田知事は、「清流の国」なる意味不明のイベントを開催することにはきわめて熱心であるが、一方で、県民の安全を保持する政策には余り関心がないようである。これはいかがなものか。国または地方自治体は、今後、危険を防止するための法令(法律、政令、省令、条例等)の制定を積極的に行うべきである。
 私見によれば、危険な犬を飼うこと自体を禁止すべきである。ペットとしての犬には多くの種類があるのであるから、犬を飼いたい者は、危険でない犬種から選択すれば済む。これは当たり前のことである。ところが、このようなまともな意見に対しては、必ずといってよいくらい、「個人の自由の侵害であり、憲法違反であって反対する」などというおかしな意見が出る。そのような間違った意見を吐くのは、私の感想によれば、おおかた左翼勢力(いわゆるリベラル勢力)である。
 第2に、岐阜地裁の判決が甘すぎる。話にならない不当判決である。被害者のうち、84歳の女性の場合、「治療を受けたが耳鳴りがやまず、当時のトラウマもあり妄想や幻聴にさいなまれ、入院が続く。趣味だった友人とのカラオケも楽しめなくなった」という悲惨な状況が生まれている。一体、甘すぎる判決を下した裁判官は、この現実をどう感じているのであろうか?自分の職責をどう捉えているのか。仮にこの裁判官の親族(身内)が、この84歳の女性と同じ被害にあったとしたら、果たして、他の裁判官が下した執行猶予付き判決に納得するであろうか。大いに疑問といわねばならない。
 そもそも刑法211条は重過失致死傷罪の法定刑として、5年以下の懲役・禁錮または100万円以下の罰金刑を定めている。したがって、今回の場合、最低でも1年の実刑判決を下すべきであった。執行猶予付き判決では意味ないし効果がない。
 以下は想像であるが、この女被告人の弁護士は、裁判(公判)でいろいろと被告人に有利な事情を述べたであろう。そのこと自体は弁護士の職責であるから、法的にも道義的にも全く問題ない。おそらく、本件でも「被告人も心から反省している」と述べたであろう。しかし、私の狭い経験によれば、過去、数十件以上の刑事事件に関し、私個人が警察の留置場または法務省が管轄する拘置所に接見に行った際、被疑者または被告人の方から「私が悪かった。被害者に謝りたい」と言われたことは皆無である。全件にわたって表面的には反省など全くしていないように感じた。もともと規範意識が低い人々が多いのであるから、当然といえば当然であろう。
 刑事被告人が執行猶予を得るということは、要するに、これまでどおりの生活を送れるということであり、深い反省を生むきっかけにはならないということである。岐阜県内では、隣人の自宅の壁に卵を多数回にわたって投げつけた女に対し、最近になって実刑判決が出た。こちらの事件では、隣人の受けた被害は、人的被害ではなく財産的被害にとどまっている。にもかかわらず、実刑という妥当な判断が下された。
 以上、よりよい社会を実現するためには、他人に被害を与える犯罪者には厳罰を下し、もって、「犯罪を起こしたら、大変な目にあう。割に合わない」ことを周知徹底すべきである。
 折しも、ヤミバイトに絡んだ凶悪な強盗事件が関東地方で毎日のように発生し、地域住民の脅威となっている。このような悪しき現象の発生を防止するためにも、出来る限り重い判決を初犯者であっても科すべきである。執行猶予付き判決など問題外である(なお、執行猶予が付けられるのは、刑法25条によって宣告刑が3年以下の懲役刑・禁錮刑または50万円以下の罰金刑に限られるため、5年以上の有期懲役刑が法定されている強盗罪については、原則として、最初から適用が問題とならない)。裁判官も日本国民の一員である以上、より安全で平和な社会の実現に尽力する義務がある。

日時:11:27|この記事のページ

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