令和7年も1月10日を迎えた。一時、コロナが猛威をふるい、日本の観光地では内外の観光客の姿が大幅に減少したことがある。当時は、必要以上に事態を深刻にとらえ、「ゴーツー〇〇」などという観光振興策が大いにもてはやされた。マスコミの流す情報は、ほとんど付和雷同的なもので占められており、当時は、ともかく観光を盛んにすることや付随する産業を救うことが善であるという間違った考え方が世の中を支配していた。
しかし、私はこれには全く賛同できなかった。理由はいくつかある。第1に、コロナという疫病は合理的に考えた場合、永遠に継続するはずがなく、勢いを増したり失ったりすることを繰り返しながら、やがて終息に向かうことが予想できたからである。換言すれば、世間(より正確には、日本政府)が大騒ぎをしていただけのことであった(もちろん、当時、治療に当たった医療関係者の努力は高く評価する必要がある)。第2に、誰も観光に出かけないという事態は、逆に、静かに観光をしようと考えている者にとっては大変ありがたいことであった。
さて、ここ1~2年の状況を見ると、どこの観光地も観光客が増えて、ゆっくりと観光を楽しむことができなくなってしまった。これは大変不幸なことである(少なくともプラスの評価にはならない)。特にいけないのは、外国人観光客の増加である。しばらく前に、岐阜県の高山市に観光に行ったが、市内では日本人よりも外国人の方を多く見かけた。このように日本国の外からやってくる観光客(訪日旅行者)を、マスメディアでは、「インバウンド」という。英語では、inboundとなる。この単語は、これまでは難関大学の入学試験でもみかけない難語であった。本来の意味は、辞書で調べると、「本国行きの」とか「上りの」という意味らしい。
時折、今よりも外国人観光客を増やすと数兆円以上の黒字が上乗せされるという話を聞かされる。しかし、このような拝金主義とも言い得る思想はおかしい。私見によれば、少なくともまともな考え方ではない。理由は以下のとおりである。第1に、数兆円の利益を享受するのは誰か?観光業者、旅行業者、土産物屋、飲食店等の一部の者にすぎないのではないのか。多数の日本国民には全く関係のない話である。むしろ、ゴミのポイ捨て、交通ルールの不遵守、私有地に勝手に入ることなどの観光公害と呼ばれる由々しき事態が各地で起きている。最悪なのは民泊である。料金の安い民泊ができることによって、マナーをわきまえない低劣な外国人旅行客が安宿に押しかけ、結果、地域の平穏と平和が害されるという話はよく聞く話である。金さえ儲かればよいという自己中心的な考え方に染まった悪質業者を徹底して取り締まる法律を整備する必要がある。
第2に、外国人旅行客が増えることによって宿泊に要する費用が高騰したこと、日本人観光客が交通手段である電車やバスに余裕をもって乗れないことなどの弊害が生じている。第3に、上記のとおり、本来の旅の醍醐味である、ゆっくりと観光地(または自然)を楽しむことが難しくなっていることがあげられる。これでは日本に生まれた甲斐がなくなる。たかが数兆円の外貨を獲得するために、昔から日本人が享受することができた観光旅行を手軽に楽しむことが阻害されているのである。これは重大問題である。
折しも、石破内閣は、中国人向けのビザについて緩和措置をとることを発表した。まず、富裕層向けに10年間有効なビザを新設した。次に、団体旅行向け観光ビザについて日本に滞在することが可能な期間を従来の15日から、30日に延長した。まさに暴挙と言っても過言でない愚策を打ち上げたのである。一体どのような思惑をもってこのような無茶苦茶な施策を打ち出したのであろうか?国益の観点からは合理的な説明ができない。戦後の保守系内閣でダントツで最低のランクに位置する内閣が石破茂内閣であることの証明でもある。とにかく、石破茂という人間は、小理屈をネチネチとひねくりまわすことにかけては一流であるが、実行力と問えばゼロである。また、昨年の総選挙の結果、少数与党に転落したにもかかわらず、依然として総理大臣の椅子にしがみついており責任感もゼロである。
頭を冷やして考えれば分かることであるが、そもそも中国は、中国共産党という一党独裁の国であり、わが国が採用する自由な民主主義および3権分立制度を完全に否定する国である。したがって、このような国と友好関係を結ぶことには何のメリットもない。むしろ弊害が多い。中国人と聞くと、「うるさい。ルールを守らない。傍若無人である。自己主張が強い。誤りを決して認めない。日本でスパイ活動をしている者がいる」などの印象が強い。多大の欠点だけが目につく。できる限り日本には来て欲しくない人間たちである。彼らとは、できるだけ距離をとるのが正解である(ただし、日本に利益をもたらす限度でうまく利用することは考えてもよい)。要するに、中国という国は、基本的にわが国とは共存できない敵であることを踏まえた上で、警戒心をもって交渉する必要があるということである。
ところが、左翼(リベラル)系の新聞には、「相互理解を深めることもわが国の安全保障に資する」などという根拠薄弱な論説が登場することがある。しかし、現に中国は、わが国固有の領土である尖閣諸島を奪おうとして常時、中国海警局の船を尖閣諸島の周囲に航行させている。また、不良中国人が日本に来て、都内の靖国神社の施設に被害を及ぼしている。さらに、中国にある日本人学校の生徒が中国人によって刃物で殺される事件も起きている。恣意的に嫌疑をかけ、日本人を不当に拘束している(拘束の理由も明らかにしていない)。そのような異常事態が起きているにもかかわらず、国益を全く考えない石破内閣は、上記のとおり、中国に対し異常ともいえる気の遣い方をしている(中国当局に何か個人的な弱みを握られているのであろうか?)。
政治家にもいろいろな者がいるが、こと対中政策において、まともな政治家かそれ以外の2流・3流政治家であるかの判別法は簡単である。日本国の国益を第1に考える者は、中国の嫌がることをどしどし実行(発言)する。これはまともな政治家である。他方、事あるごとに「中国を刺激するな、融和が大切だ」と説く者は、間違いなく2流・3流・4流の部類に入ると見て間違いない。
ところで、上記の間違った方針を公表したのは、外務大臣であり、岩屋という胡散臭い人物がこのポストに就いている。この岩屋という人物については、一部で悪い噂がある(アメリカの捜査当局が関心を持っている事件と聞く。今後真相が解明されることが望まれる)。岩屋外相は、歴代外相の中で、ダントツでダメ(考え方がまともでないという意味)である。このような無能な人物を閣内に置くことにより、近い将来、わが国の国益に多大の損害を与える事態を招くのではないかと危惧する。とにかく1日でも早く辞めさせる必要がある。以上、私は、石破茂総理、村上総務相、岩屋外相の3名は全く評価していない(国益を損なう人物である点において、むしろマイナス評価である)。早く行政府から消えて欲しいものである。
話をまとめる。日本政府は、インバウンド需要を高めるなどという基本的に間違った政策に国家予算を投入することは止めるべきである。目指すべきは、真に国力を高めることである。他力本願的な皮算用をするのではなく、地に足のついた力を向上させることである。例えば、新しい通信技術・エネルギー技術・宇宙技術の研究開発、食料自給率100パーセントを目ざす農業振興策の実行、少子化現象のストップ策、公共交通網の全国整備、国土強靭化策、理系大学院生(理系研究者の卵)に対する経済的優遇策の実施などを実行することである。まかり間違っても、インバウンド需要の期待などという蜃気楼のような現象に期待してはいけない。
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