本年10月7日、日弁連の人権擁護大会が福井市で開催され、「2020年までに死刑制度の廃止を目指し、終身刑の導入を検討する」との宣言が可決された。
しかし、私は、この宣言には大きな違和感を覚える。到底賛成できない。
昔から死刑制度をめぐっていろいろな議論があった。死刑を肯定する論者、反対に死刑の廃止を理想とする論者、いろいろな理屈があっても不思議ではない。
しかし、問題は、外国ではこうなっているということではなく、我が国の国民が死刑制度をどう考えているかが問題なのである。世論調査によれば、9割の日本人は、死刑制度を肯定している。廃止論者は1割程度にすぎない。したがって、国民感情を尊重するという立場からは、死刑制度は今後も存置されなければならない。
死刑制度の本質は、国家が被害者から、加害者に対する復讐をする個別の権利を奪った代償として置かれたものであると、私は理解する。残虐な犯罪者によって被害を受けた被害者は、復讐をしたくてもできないということである。その代わり、国家が被害者に代わって加害者に対してけじめをつけさせる(死をもって償わせる)というのが本質ではないかと考える。
日弁連は、弁護士であれば全員が強制的に加入させられる団体である。そのような性格を帯びる団体が、国民の大多数が支持する死刑制度に対し、あえて反対する宣言を出したことは、本当に余計なことをしたものだという感慨を覚える(違法ではないが、不適当であるということである)。
私自身は、死刑が確定した死刑囚であって、死刑確定後において特に無実を訴えていない者については、すみやかに死刑を執行するべきであると考えている。むしろ死刑推進論者であるといってもよいのである。
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