衆議院議員の選挙が終わった。
選挙結果によれば、自民党・公明党の与党政権を国民の大多数が支持しているということが分かった。内訳は、自民党が281議席、公明党が29議席であり、合計すると310議席となる。野党の方は、立憲民主党が54議席、希望の党が50議席、維新が11議席、共産党が12議席、社民党が2議席、無所属が26議席となった。
私の10月4日時点での予想は、自民党・公明党合計で290議席、立憲民主党が20議席~25議席、希望の党が70議席~90議席であった。10月4日の時点では、希望の党の小池百合子氏が、果たして国政選挙に出るのではないかとの観測が強く、私としても、小池百合子氏が国政選挙に出た場合を前提として予想をしていた。その後、小池百合子氏が都政に専念するという理由で国政選挙への出馬を止めたため、その行動がマイナス効果となって大きく波及し、獲得議席を減らしてしまったと分析している。かたや、立憲民主党は、希望の党が失速した結果、その受け皿となって、私の予想を超える多くの議席を獲得することができたのではないかと分析している。
話題を変える。前回の弁護士日記でも触れたことであるが、テレビ局や全国的な新聞紙による偏向報道は後を絶たない状況にある。地元の中日新聞を見ても、その傾向がうかがえる。
何年か前であるが、中日新聞の夕刊には、各界の著名人が記載するコラム欄があり、たまたま中山千夏という人物が、安倍内閣について「人殺し内閣」あるいは「殺人内閣」と書いていたことがあった。いくら言論の自由があると言っても、事実に反する無責任な記事を紙面に記載させた責任者は中日新聞社であることから、私の方から、中日新聞の読者係に対し、「いくら何でもこれは行き過ぎである」との抗議をしたことがある。
さて、前回も指摘したことであるが、テレビ朝日の朝の番組に、朝の8時から始まる羽鳥モーニングショーという番組がある。
今日も、最初の出だしの部分だけ見たが、火曜日のゲストは、評論家のA氏(ぺらぺらと早口で喋る癖がある、韓国大好きの人物)と、おまけ的存在の女性弁護士、それとテレ朝の社員であるT氏の3人である。そのほかに、政治問題の解説に定評のある元政治記者の田崎史郎氏と、テレ朝の政治記者である細川氏がいた。
羽鳥アナの方から今回の衆議院選挙の結果についていろいろと解説があった。その中で、A氏とT氏は、いつものように、自分の思い込みに基づく意見を熱心に述べていた。
憲法改正の話題について、いつものことではあるが、T氏は理解不可能な発言をした。羽鳥アナが、安倍内閣は憲法の改正について今後具体的に行動を始めるようですと述べたところ、T氏は、「憲法改正については、国民の間でも、意見が半々に分かれており、今すぐに憲法を改正して欲しいという声は、余りない。国会議員は、国民の代表である以上、改正の声が沸き上がっていない現状では、憲法の改正を積極的に進める根拠がない」という趣旨の発言をした。
しかし、憲法論として考えてもこれはおかしい。国会議員は、自分に投票した有権者の代表ではなく、全国民の代表とされているからである。また、全国民の代表であるから、個々の有権者の具体的な指示を受けないのであり、仮に個々の有権者の意見に反するような政策であっても、選挙後に、「その政策は正しい」と信じる限り、法案を提出することも認められているからである。
仮にT氏の論理が正しいのであれば、国民に増税を求める法案を、国民の方から積極的に可決して欲しいという声が各地で挙がるということはあり得ないのであるから、国会議員は、増税法案を国会に提出することも許されなくなる。しかし、そのような不合理な結果を是認する立場は、普通の政治家であれば、誰もとらないはずであり、よって、T氏の意見は完全に間違ったものと断定するほかない。
完全に間違った意見を公共の電波に乗せて、全国に伝達するテレ朝の姿勢は、まさに、偏向報道以外の何物でもない。親会社が悪いということでは済まないのである。
また、A氏は、安倍首相が、記者会見の場で、「政治だから、全ての皆さんに理解をいただけるわけではない」と述べ、憲法改正について、必ずしも立憲民主党の合意を求めないという姿勢を示したことにかみつき、例の早口で「安倍首相がそのような発言をすることには疑問があり、それでは議論を尽くしたことにはならない」との趣旨を述べた。
しかし、これも間違った考え方であり、私としては認めることはできない。A氏の考え方を推し進めれば、国会における各会派ないし政治勢力が完全に一致できなければ、憲法改正の議論を前に進めてはならないという結論に行き着く。しかし、これは、多数決を原理とする民主制の原則に抵触する考え方であり、完全な間違いである。
民主制ないし民主主義とは、異なった意見の存在を認めつつ、議論を経た上で、国会議員の多くが賛成する法案を正当なものとして取り扱おうという仕組みである。したがって、意見に違いがあることは当たり前のことであり、意見が違うからという理由で、最後まで法案の成立を認めない、という考え方を否定するというものである。
したがって、国会において憲法改正の議論を行った上は、早急に改正案を取りまとめ、その内容を国民に提示し、国民の判断に委ねる必要があるのである。A氏や野党の議員は、「強行採決は許さない」という。
しかし、このような言い方自体がおかしい。議論を行っても考え方に溝が残るのであれば、後は、多数決で採否を決定する以外にないのである。そのような民主制の基本中の基本を無視して、「強行採決はおかしい」と声を張り上げるのは、間違った思想を国民に植え付けようとするプロパガンダ(宣伝)に他ならない。
なお、A氏の思想を深く追求した場合、A氏の理想とする国政とは、ひょっとすると、民主制ではなく、異論の存在を許さない独裁制ないし、民主集中制ではないかという疑念に行き着く。
例えば、中国のような共産主義独裁の国家では、異論を述べることは許されず、一部の権力者があらかじめ決めた結論に全員が従うというシステムとなっている。建前上は、何を決めるにも、全員が方向性を一致させる必要があるが、多くの場合、権力者同士の血みどろの権力闘争を経て、一致すべき結論は出ているのである。
また、北朝鮮では、キム・ジョンウンが、全てを決めており、異論を唱えるものは、即時、政治犯用の収容所送りとなるか、あるいは公開処刑の運命が待っている。
私は、このような地獄のような国には住みたくない。その意味からも、自民・公明の与党には、今後もしっかりと国政を運営してもらいたいものである。
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