8月9日のテレビ報道をみていて驚いた。
名古屋市の公立守山東中学校の校庭で、中学2年生が、学校が主催する林間学校で披露するファイアートーチの練習中に腕に大やけどを負った。このことに対し、同中学の教員が「バチが当たった」という信じがたい暴言を吐いたという。
この事故は7月26日に発生したが、これに対し、学校は、名古屋市の教育委員会に事故の発生報告をせず、8月7日、不信感を覚えた親御さんからの通報によって、市の教育委員会も初めて事故のことを知ったという。
私もテレビの画面で、生徒たちが事故の当時、先端に火がついた棒を両手でぐるぐると回している光景をみて、「何でこのような危険な行為を学校公認の下で行っているのか」と思った。ファイアートーチというおかしな学校行事は、日本でも愛知県下でしかみられない奇習という。私も地元である岐阜市では聞いたことがない。
このような危険きわまる奇習・悪習は、直ちに中止すべきである。少なくとも中学生に行わせる行動ではない。テレビニュースの画面を見る限り、事故に遭った生徒はその場をすぐに離れたが、一緒に練習しているほかの多くの生徒は練習を中止することもなく、危険行為を教員の指導の下で行っていた。
普通の感覚で考えれば、右腕に大やけどをした生徒が出たのであるから、全体練習も中止し、8月初旬に行われた林間学校でも、このような危険な行為は中止するよう、徹底すべきであった。
また、指導に当たった教員は、(生徒は)「バチが当たった」と発言したという。この発言が事実だとしたら、許し難い暴言である。当の教員からすれば、おそらく生徒は練習に気合が入っていなかったから、怪我をしたのだ、だから、生徒が悪い、自己責任だということが言いたかったのであろう。
どうして、学校の教員には、このような阿呆が少なくないのか?これは、私の持論であるが、人間誰しも、日ごろ、周囲から「先生、先生」と呼ばれていると、いつの間にか、自分が偉い人物になったと勘違いし、結果、大きな間違いに気づかないような常識外れの人間になってしまうということではないのか。このことは、何も教師だけに限らず、医師、弁護士などにも当てはまる。
ところで、守山東中学の校長は、市の教育委員会に報告をしなかった理由を質問され、「大したことが起きたとは思っていなかったので、教育委員会に報告をしなかった」と釈明したそうである。
この校長も、上記した教員と同程度の頭の持主であるとみてようであろう。一体、生徒の怪我の程度について、学校の教員からどのような報告を受けていたのか?これは私の推測であるが、教員からは何も報告がなく、教育委員会からの通知よって、初めて事故のことを知ったというのが真相に近いのではなかろうか。
少なくとも、この校長は、自分の学校で、教員の指導の下、生徒がファイアートーチの練習をすることは知っていたはずである。校長がまともな感覚の持ち主であれば、「待てよ、このような火を扱う危険な練習をあえて生徒にさせる必要があるのか?」と気が付き、練習の中止を指示していたかもしれない。京都アニメーションの放火事件があったのであるから、なおさら「火による事故の発生」には敏感にならなければならない。
しかし、この校長は、何も行動を起こさなかった。危機管理の面から考えても、この校長は落第生である。法的にいえば、学校は、生徒に対する安全配慮義務を欠いていた。仮に被害者である生徒が、信頼できる弁護士に依頼し、名古屋市を相手取って損害賠償請求訴訟を起こせば、ほぼ100パーセント勝てると予想する。もっとも、訴訟を起こすということは、時間も費用もかかることになるため、和解によって名古屋市に責任を認めさせるという方法が一番望ましい。
なお、安全配慮義務を怠った教員および校長に対しては、何らかの懲戒処分を下すべきである。
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