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弁護士日記

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渡邉正裕著「10年後に食える仕事食えない仕事」(東洋経済新報社)を読んで

2012年09月07日

 ある雑誌に、上記の本が紹介されていたので、興味を感じて買ってみた。著者の渡邉氏によると、現在世の中にある数多くの職業が、4つに分類されていた。渡邉氏の命名によれば、①「重力の世界」、②「無国籍ジャングル」、③「ジャパンプレミアム」、④「グローカル」の4つである。いずれの言葉も渡邉氏がネーミングした言葉であるから、普通の読者にとっては、言葉の説明を受けるまではその意味は分からない。
 ①「重力の世界」とは、地球規模の最低賃金が適用されるような職業を指す。典型例は、タクシーの乗務員である。タクシーの乗務員は、特に日本人でなければ勤まらない職業ではない。もちろん、そのタクシーが営業をしている地域の詳細な地理が分からなければ、勤まらない職業であるが、地理さえ覚えてしまえば、日本人でなくても構わない。現に、賃金水準の高い外国では、その国の国民以外の貧しい移民がタクシードライバーをしていることが多い。渡邉氏によれば、「重力の世界」に分類される職業からは一刻も早く逃げる必要があるという。なぜなら、近い将来、安い外国人労働者が参入してくると、賃金は加速度的に低下し、まともな生活ができないからだという。全く同感である。
 次に、私の職業である弁護士がどこに分類されているかというと、④「グローカル」に分類されていた。この分野に入る職業とは、日本人としての強みを生かしつつ、高度の知識を備えた職業ということになる。例えば、裁判官、弁護士、税理士、医師、薬剤師、建築士、不動産鑑定士、中央省庁のキャリア官僚、記者などがこれに入る。この分野に、外国人が参入することは困難である。
例えば、外国人が日本で弁護士資格をとっても、大衆が相談に訪れるような普通の弁護士として成功することは難しい。なぜなら、日本人は、日本の文化が分かっていない外国人に法律相談をする気持ちにはなれないし、また、外国人弁護士から的確なアドバイスを受けることも余り期待できないからである。さらに、外国人弁護士では、紛争相手とうまく交渉できるかどうかも不安がある。相手方と交渉をうまく進めるためには文化的な背景が同じであることが重要である。しかし、文化的素養は、日本に生まれて日本で学校教育を受け、日本社会で大人になった者しか習得することはできない。その意味で、弁護士をはじめとする士業は、10年後、20年後にも確実に職業として存続するであろう。
 なお、キャリア官僚を除く一般職の公務員は、③「ジャパンプレミアム」に属する。公務員は、原則的に国籍条項というものがあって、日本国籍を有しないと公務員試験を受けて、その職に就くことができないことになっている。
 私も、かつて公務員の経歴があるので、公務員の生活というものが分かっている。とにかく、競争がないことが最大の特徴である。中央省庁のキャリア官僚を除き、普通の公務員の場合は、定時から定時までを無事過ごせば1日が終わる。特に、ノルマというものがないため、ガツガツする必要がない。職場の上司や同僚とうまく人間関係を保っていけば、定年まで穏やかに過ぎてゆく。余暇を楽しみ、平凡でも安定した人生を送りたいと考えている人には最高の職業である。私個人としては、他人に対し推薦するに足る職業であると思う。
 反面、やる気が満々の人々には、実に物足らない職業である。公務員という職業は、自分の能力を最大限に試してみたいと考えている人々には向かない職業なのである。公務員という職業を通じて自己実現を果たすことは困難と考えた方がよい。
 要は、どのような人生を送るかは、各自の選択に任されているということである。その意味で、職業選択には、まさに自己責任という言葉が当てはまるといえよう。

日時:15:37|この記事のページ

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