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弁護士日記

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中村逸郎著「ロシアを決して信じるな」を読んで

2021年02月27日

 2月の25日(木)に大阪府内の自治体の関係者から招かれてT町を訪問した。T町は、関西空港に近い場所にある。目的は、T町ほかの自治体の農業委員会の職員のために農地転用に伴う問題点について話をするためであった。その日は、T町農業委員会事務局長のK氏が公用車で泉佐野駅まで迎えに来られた。
 研修は、T町内の公共施設の会議室で実施された。会場内には、15,6名ほどの農業委員会関係者が来られ、皆さん熱心に受講をされた。T町内における90分間のセミナーが終わった後に、私は、K氏にお礼を述べて、すぐに南海電車で和歌山市内に移動した。
 その日は、和歌山市内のビジネスホテルに泊まったが、ちょうど1階にM書店があったので、夕方に気になった本を数冊買い求めた。そのうちの1冊が、中村逸郎氏が書かれた「ロシアを決して信じるな」(新潮選書)である。
 中村氏は、大阪朝日放送に毎週土曜日の朝9時半から同11時まで「正義のミカタ」という番組があるが、その番組に何回も登場し、ロシアをめぐる諸問題について解説をされている。筑波大学教授という肩書からは想像もできないほど、面白い人物である。
 しかし、中村氏は、モスクワ大学などに留学の経験もあるそうであり、ロシア政治の専門家としてテレビでの解説もそれなりに信ぴょう性が感じられた。そこで、この本を買って読んだわけである。平易な本であるため、一日か二日で読める。読んだ結果、ロシアという国は、全く信用できない国であるということが再認識できた。信用してはいけないのである。
 本の第4章のタイトルは「決して信じるな-ロシア人は噓八百」である。この章を読む前から、私は、安倍晋三前首相が、長年にわたってロシアのプーチン大統領によっていいように騙されてきた事実を思い浮かべた。
 安倍前首相は、在任中に、プーチン大統領と個人的信頼関係を築くことを通じて、北方四島のうち、歯舞諸島と色丹島が先に日本に引き渡されることが実現されるが如く発言をしてきたが、全く期待外れであった。
 より正確にいえば、首脳間の信頼を深めることで、島が返ってくることなど期待する方が無理である、ということが全然分かっていなかった。もともと政治家の家系に生まれた世襲政治家であり、「お坊ちゃん」である安倍前首相には、ロシア人の本質が全く分かっていなかったようである。
 中村氏が、2019年、ロシアの友人と会って話をした際に、そのロシア人は、「相手を信じやすく、騙されやすい人は、すぐにロシア人の恰好の餌食の的となり、騙されてしまう。このタイプの人間には、嘘の約束をするのが一番だ。ロシア人はどんどん嘘の約束を重ねていけばいいだけのこと。実際には何も失うものはないので、こんな楽な相手はいない。」と述べたという(72頁)。
 プーチン大統領の人間性について、中村氏は、相手が自分との関係を友達の関係にしたいという下心をもっていると見抜くと「それを突いてくる。相手をお人よしの政治家と捉え、子供扱いする。容赦なく揺さぶり、嘘の約束を連発する。」と観察する(91頁)。私も全く同意見である。安倍前首相は、現にプーチン大統領に完全になめられていたのである。
 そして、中村氏は、北方領土交渉について、「まずは仕切り直しする勇気をもち、永久に存続するはずのないプーチン政権の行く末を見定めてからでも遅くない」と説く(92頁)。私も同じ考え方である。四島の不法占有を長年継続するロシアに対し、あくまで四島の一括返還を求めるべきである。
 本の最後の方で、中村氏は、やむなくロシア人と付き合う際には、「なるべくロシア人とは約束しないのが正しい付き合い方である。相手を信頼しても、最終的には裏切られ、悲惨な結末に落胆することになる。」と結論付ける。
 それにしても、日本とロシアでは国民の基本的な考え方(文化)が違いすぎる。つまり、日本の常識でロシア人の行動を予測ないし判断すると、合理的な説明ができない場面が起こるということである。日本では「信用を失うと、回復は容易でない」というが、ロシアの場合、信用を重んじる文化自体がない。騙される方が悪いという考え方であり、そこは中国と共通する。
 日本の外交を担っているのは外務省であるが、本当に頼りない役所である。外交とは、国益の実現をかけた武器を使用しない戦争という定義がある。日本の外務省の姿をみていると、優柔不断というか、いうべきことも言わずにお茶を濁して平然としているというか、信頼感が全くない。実に情けない役所である。このような存在感のない役所は、むしろ、廃止・解体してはどうか。
 そのトップを務める茂木外相というと、怒るべきときにも怒らず、いつもヘラヘラとした表情を浮かべている姿が目に浮かぶ(先日中国の王毅が来日して、尖閣諸島についてとんでもない暴言を吐いた際の茂木氏の対応は最低であった。将来の国家指導者の資質はない。)。
 日本は、その穏やかで誠実な国民性の伝統を継承しつつ、こと外交になったら、狡猾で悪賢い外交を得意とする外国(中国、北朝鮮、韓国、ロシア)に対抗するため、あらゆる方法を駆使する必要がある。いつも優等生のような、クソ真面目な態度をとっていてはダメである。
 それには、おかしな憲法9条を改正し、法体系を根本的に見直し、また、軍事・非軍事両面の科学・工学技術を大いに発展させ、もって、国力をいっそう充実させることが肝要と考える。
 

日時:14:26|この記事のページ

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