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弁護士日記

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前原清隆著「孫子が指揮する太平洋戦争」を読んで

2015年07月09日

 私は、戦争ものに関する本が比較的好きである。そのため、第2次世界大戦、太平洋戦争などを分析した書物や、兵器に関する解説書を読むのが好きである。
 たまたま本屋で、上記の本を見つけた。早速購入して読んでみた。
 この本は、古代中国の優れた戦略家ないし思想家であった孫子の眼からみた太平洋戦争が描かれている。この本は、孫子の説く戦争の基本を踏まえ、現実に日米が戦った太平洋戦争をあれこれと論ずるものである。
 例えば、孫子の言葉で一番有名な言葉とは、「彼を知りて己を知れば百戦して殆うからず」というものであろう。この言葉は、情報の大切さを説いたものである。戦争をする場合、敵方に関する情報をよく把握し、同時に、味方に関する情報を的確につかんでいれば、100回戦ったとしても、100回とも勝利することができるという意味である(逆の場合は、100回とも負けるということである。)。
 ここで、前原氏は、具体例としてミッドウエー海戦を取り上げる。ミッドウエー海戦において、日本とアメリカの海軍力は、実は、我が方がむしろ有利な状況にあった(日本は、戦艦11、空母6、重巡10その他350隻であった。他方、アメリカは、空母3、重巡5その他合計57隻であった。)。しかし、連合艦隊の司令官山本五十六は、アメリカ太平洋艦隊の動向をつかむことなく、やみくもにミッドウエー島を目指し、そこでアメリカ太平洋艦隊の空母部隊を撃滅しようと考えた。
 また、日本の連合艦隊は、その戦力を二つに分け、一部をアリューシャン方面に向かわせた。決戦においては、兵力を分散することは非常にまずい作戦である。当時は、専門家が、それなりの理由があってそう決めたのであろうが、仮に、兵力を分散することなく全戦力をミッドウエーに向かわせていたら、戦果に違いが出たのではないだろうか。
 前原氏の分析によれば、日本が負けた最大の原因は、敵であるアメリカ機動部隊を発見するのが遅れたからであるという。確かに、ミッドウエー島には、アメリカ軍の基地があって、日本が攻撃してくるのを待ち構えていたのであるから、真珠湾攻撃のような不意打ちは期待できない。
 とすれば、何が何でも先にアメリカ太平洋艦隊の機動部隊を発見して先制攻撃を行う必要があった。しかし、現実にはそれに失敗したのであるから、直ちに作戦を中止し、出直すべきではなかったのかと考える。
 いずれにしても、日米の国力は、相撲に例えれば、大学生横綱(日本)と大相撲の横綱(アメリカ)くらいの格差があるのであるから、戦争を続ける時間が経過すればするほど分が悪くなるのは当然である。したがって、日本としては、開戦と同時にアメリカに大損害を与え、アメリカ国民に厭戦気分を惹き起こさせ、和睦に持ち込むほか勝機はなかったのである。
 ところで、世の中では、「戦争反対」「平和が一番」「軍備拡大反対」という声をしばしば耳にする。当たり前のことである。戦争が好きな者は余りいない。しかし、重要なことは、自分たちは戦争を起こさないと決めていても、世界には、そうは考えていない連中がいるということをしっかり認識する必要がある、ということある。
 現在でも、堂々と、自分から他国に対し戦争をしかけ、占領した地の住民を虐殺して何とも思わない組織がある。例えば、イスラムステイトがその例である。
 「戦争反対」、「軍備拡大反対」を叫ぶ者たちに聞きたい。仮に、イスラムステイトのような連中が、我が国に侵攻した場合、どう対処するつもりなのか、と。まさか、「話せば分かる」などと考えていたら、問題外である。そのような空念仏を唱える暇もないうちに虐殺されていまうであろう。
 したがって、我が国に対する他国の侵略行動を思いとどまらせるためには、十分な軍事力を備え、平時において法整備をしっかりと行っておく必要があるのである。備えあれば憂いなしということである。

日時:10:43|この記事のページ

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