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弁護士日記

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農地法相談室(その2) 転用許可後の事業続行不可能の場合について

2016年03月15日

 前回取り上げた事案は、転用事業者Bが、D県知事の農地法5条許可を受けて、所有者Aから農地を購入したが、Bはその直後、経営不振に陥って許可申請にかかる転用事業を行うことができなくなった。近所に住むCから、当該農地を買い受けて転用したいという希望が出ている。この場合、Bとしてはどうすればよいか?という事例であった。
 今回取り上げるのは、Bは、D県知事から5条転用許可を受けたが、諸般の事情のため転用事業を自ら行うことができなくなった。ところが、誰も転用事業を引き継いでくれないという場合である。
 この場合、D県知事としては、5条転用許可処分を受けたBに対し、すみやかに申請にかかる転用事業を行うか、あるいは事業を引き継いでくれる第三者との間で転用事業計画変更申請を出すように行政指導を行うことが通常である。
 問題は、転用事業を引き継いでくれる第三者が不在の場合である。その場合、Bは、転用事業を行う法的な義務を負うか?答は、法的な義務は負わないということである。なぜなら、Bが受けた転用許可処分は、Bが転用事業を適法に行うことができるための要件にすぎないからである(さらに、5条許可の場合は、権利設定又は権利移動を有効とする効果もある。)。転用許可処分を受けたからといって、Bとしては、何が何でも転用事業を行う義務を負わされるものと考えることはできないのである。
 仮に、D県知事がいったん出した5条許可を取り消しても、その処分は、取消処分ではなく撤回処分の性格を持つため、前回解説したとおり、遡及効はない。撤回時点から将来に向かって処分の効力が失われるだけである。
 したがって、例えば、Bが前者Aから譲り受けた所有権は、依然としてBにとどまる。Bは転用許可にかかる農地の権利を有効に保持することができる。ただしこの場合、Bとしては、以後、事情が変わって転用事業を行うことができる状況になったとしても、もはや取消済みの過去の5条転用許可処分に基づく農地転用を行うことはできない。
 仮に、新たに転用事業を行いたいときは、新たに4条転用申請を行うべきである。ただし、この場合、過去に5条許可の取消前歴のあるBについて、D県知事としては、農地を転用事業の用途に供する確実性がないなどの理由で、容易に4条許可を出そうとしない態度を示す可能性が高いであろう。

日時:11:38|この記事のページ

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