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弁護士日記

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大阪府農業会議から招待を受けた

2018年03月01日

 先月の27日(火)に、一般社団法人大阪府農業会議から招待を受けて大阪に行ってきた。用件は、大阪府農業会議が、大阪府下の市の農業委員会職員のために研修会を開くので、講師として来て欲しいというものであった。
 今回のテーマは、「時効」と「遺贈」であった。これらのテーマは、農地法に基づいて農業委員会が許可処分を行う際に問題となる。そのため、たとえ弁護士であっても農地法と民法の双方について深い知識がないと、講師は到底務まらないのである。
 私がお話をした時間は90分であった。その際、テキストとして使用したのは、拙著「設例農地民法解説」(大成出版社。3,000円)であった。この本を、わざわざ大阪府農業会議の方で、当日の受講者50数名分を用意していただいた。
 また、当日、大阪府農業会議の方から、「農業委員会日常業務Q&A」という小冊子をいただいた。帰りの列車の中で読んでみたが、内容は、農業委員会が農地法に基づく事務を処理するに当たって生ずる法律問題を取り扱っており、最高裁判例の掲載もあり、充実した内容のものであった。大阪府農業会議の法令順守の意識の高さに驚かされた。
 ここで想い起こすと、かなり以前に岐阜県各務原市の行った不許可処分に対し、不許可とされた申請者がこれを不服として、岐阜県に対し行政不服申立を行ったが、県の担当者が長年にわたってこれを放置していたところ、新たな担当職員が、昨年になって放置に気付いて明るみになったという一件があり、先日の地方紙に掲載されていた。
 このようなことは決してあってはならないことである。しかし、現実には発生したのであるから、岐阜県の農地法担当者の法的レベルないし法令順守の意識の低さに問題があったといえよう。
 法的レベルの低さを生んだ原因はいろいろと考えられようが、私は、岐阜県職員の大卒者採用試験に問題があると考える。岐阜県職員試験では、一次試験こそ専門知識が問われるが、一次試験をパスした二次試験においては、一次試験の成績は原則的に問題とされず、今度はもっぱら人物本位の試験となる。
 したがって、大学で学んだ専門知識が低レベルの受験者であっても、人物評価が高ければ合格することができるわけである。
 しかし、行政の大原則である「法律に基づく行政」を実現しようとした場合、素人同然の職員だけを増大させるこのような試験システムには大いに問題がある。
 話を戻す。日本全国には各都道府県に一つの農業会議があるが、大阪府農業会議のように法律面の研修に力を入れておられる農業会議は珍しいのではなかろうか。まことにお手本としたい存在である。

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