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弁護士日記

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340万円で和解した

2015年07月22日

 高橋さん(女性。ただし、仮名です。)は、75歳を超える後期高齢者の方であった。その高橋さんが、当事務所に来られたのは、今から1年8か月も以前の平成25年の秋のことであった。
 高橋さんの話では、自転車に乗って横断歩道を渡ろうとしていたところ、左の方から車がやってきて、自分が乗っている自転車に衝突し、そのはずみで、自分は道路に投げ出されて怪我を負ったとのことであった(障害等級は14級が認定された。)。
 高橋さんは、既に別の弁護士に交渉を依頼して損保会社との示談を進めているとのことであった。その弁護士の話では、損保会社は賠償金としては、今後、170万円くらいしか出せないと言っているとのことであった。
 しかし、高橋さんは、その弁護士の自信を欠いた交渉ぶりに危惧感をいだき、当事務所に相談に来られたのであった。私が、賠償額を計算したところ、過失相殺が問題になることから、私が代理人になっても、320万円ほどの賠償金にしかならない可能性が高い、とお伝えした。
 その後、高橋さんは、「弁護士特約を利用したいと思います。先生に依頼します。現在委任している弁護士さんには降りていただきます」という方針をとられた。
 私は、高橋さんが高齢であることも考慮して、翌平成26年1月に、日弁連交通事故相談センターに示談斡旋を申し立てた。示談斡旋の結果、斡旋担当弁護士であるK弁護士から、「398万円でどうか?」という斡旋案が示された。
 高橋さんは、高齢でもあり、その金額を拒否する方針ではなかったが、同年3月下旬に、損保会社から、K弁護士に電話があり、「損保会社としては、250万円くらいまでしか出せない」との結果が伝えられた。
 どのような思惑で、そのような低額の金額を斡旋担当弁護士であるK弁護士に伝えてきたのかは分からない。損保会社の担当者が、仮に、強く出ておけば、申立人代理人の宮﨑弁護士もあきらめて引き下がるであろう、と考えてK弁護士に電話をした、ということであれば、それは全く見込み違いである。
 なぜなら、弱い立場にある被害者の救済に全力を投入するのが、これまで一貫した私の流儀であって、私の場合は、加害者が横暴であればあるほど、また、非常識な主張を行えば行うほど、逆に、事件処理に力が入るというタイプの弁護士であることが全く分かっていなかったことになるからである。
 したがって、私が、示談斡旋の不調を受けて、すぐに訴訟を提起したことは当然の結果であった。名古屋地裁に対する訴訟の提起は、平成26年4月下旬であった。その後、裁判は、7回継続し、8回目には、高橋さんに法廷に来ていただき、原告本人として、事故の様子などを語っていただいた。
 その後、裁判官から、「和解で解決してはいかがでしょうか?」という提案があり、本年4月下旬に、340万円という金額が提示された。交通事故訴訟は、結局のところ、賠償金をいくらもらえるかという裁判であるため、金額で折合いがつけば、解決も難しくはない(これに対し、名誉毀損を理由とする賠償請求事件などの場合は、事件の性格上お金で済む問題ではないため、示談で解決することはほとんどなく、原則として判決で決着させるほかない。しかも、負けた方は、さらに高裁に控訴するケースが多い。強者が、弱者を苦しめる構図の公害訴訟も同様である。)。
 話を元に戻す。裁判官から提示のあった340万円という金額について、高橋さんは、これを了解され、また、今度ばかりは損保もこれに同意した。そこで、和解が成立し、高橋さんは、損保会社から340万円を受け取ることができた。なお、私の報酬金は、高橋さんの弁護士特約で全額賄えた(高橋さんの自己負担は0円であった。)。
 思い起こすと、平成25年の秋に、損保会社が提示していた金額は170万円であったことから、ちょうど2倍の賠償額で事件が終わったということになる。
      

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