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弁護士日記

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賠償金が5.7倍に増えた

2016年01月15日

 昨年の4月に交通事故の被害者の方からご相談を受けた。被害者である丹羽さん(ただし、仮名です)は、バイクに乗って信号待ちをしていたところ、後ろから車に追突され、頸椎捻挫の傷害を受けた。病院に通って治療に務めたが、頚部に痛みが残り、また、手指にも痺れが残ったままであるという説明だった。
 私の方から、「後遺障害の等級の認定は受けましたか?」と質問すると、加害者側の損保会社を通じて等級認定の手続きをとってもらったが、「非該当」との結果であり、提示を受けた賠償金は57万円と、微々たるものにすぎない、これでは納得できない、というお話しであった。
 丹羽さんから、障害等級が付かないか、異議申立をして欲しいという要望が出た。
 確かに、異議申立をするという方法はあるが、異議申立をすれば必ず通るということではなく、実際には、通らないことが多いという説明をした。しかし、異議申立をして欲しいという依頼が重ねてあったので、私としても、依頼を了解し、早速、自賠責保険に対し、昨年の7月に、異議申立を行った。
 しばらくして、昨年の10月に自賠責保険から、14級の障害等級が認められた旨の通知を受け取った。そこで、私は、14級の障害等級を基に、昨年の11月に日弁連交通事故相談センター愛知県支部に対し、示談斡旋の申立を行った。
 今年になって示談斡旋の第一回目が愛知県弁護士会の中で開催された。当日、加害者側の損保会社の担当者も出席した。当方の申立に対し、加害者側の損保会社の担当者は、示談斡旋担当弁護士に、いろいろと意見を述べたようであり、私も、示談斡旋の担当弁護士から、「損保の担当者は、このように言っていますよ」と伝えてもらったが、私は、いちいち「そのような意見は通りませんね」と全部否定した。
 私がそのときに感じたのは、そのようなおかしな意見を述べるということは、何も実務が分かっていないな、ということであった。
 例えば、その担当者は、慰謝料の算定に当たり、「青い本」の数字を用い、低めの金額を提示していたが、示談斡旋の場では、そのような数字は全く問題にもならないことは、多少なりとも実務を知っていれば分かることであった。
 示談斡旋の場では、いわゆる弁護士会基準又は裁判所基準が適用されることは、いわば常識であり、その常識を知らない「素人」が、示談斡旋の場に顔を出す資格は、そもそもないのである。
 示談斡旋の結果、第一回目で示談が成立した。加害者側の担当者は、示談斡旋担当の弁護士から聞いた話では「苦渋の選択だった」と発言していたようであるが、見当違いも甚だしい。
 私が、仮に、少しばかり物分かりの悪い人間であったとしたら、「示談斡旋はもう結構です。訴訟で決めましょう」といって席を立っていたことになっていた。仮に訴訟になったら、賠償金額は、示談斡旋の金額よりも、1割から1割5分程度増えていた可能性が高い。
 案の定、賠償額が決まって、示談斡旋の行われている部屋に入ると、加害者側の担当者も入室したが、その担当者は、年齢の若い男性であった。やはり、私が想像したとおり、若葉マークを付けた初心者とお見受けした。
 さて、賠償額は、示談斡旋の結果、丹羽さんが当事務所に来られた時点の57万円から、250万円に増額した。また、丹羽さんは、障害等級14級が付いたことで、既に75万円を受け取っておられたことから、これを加算すると、合計で325万円となる。ご相談時から僅か9か月後には、賠償金額が5.7倍の増額となったのであった。

日時:10:40|この記事のページ

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