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弁護士日記

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最新交通事故判例紹介(その2) 人身傷害補償保険について

2016年03月02日

 今回は、人身傷害保障保険を取り上げる。今回紹介する判例は、大阪地裁平成25年1月24日判決である(交民46巻1号103頁参照)。
 人身傷害補償保険については、既に、最高裁の平成24年2月20日判決が、裁判基準損害説を採用することを明言したことから、決着が付いている。この最高裁判決は、保険会社の保険代位の範囲について判断を示したものであるが、被害者の立場からすると、人身補償保険会社が、どの範囲で損害賠償請求権を代位取得できるかの問題は重要でなく、被害者側としては、人身傷害補償保険(以下「人傷保険」という。)と、損害賠償金の受領の先後(順番)によって、受け取れる金額に変動が生ずるか否かに絞られる。
 この点については、法曹会発行の「最高裁判所判例解説平成24年度(上)」で調査官が解説しているとおり、原則的に、人傷保険を先に受け取った方が、被害者が受け取れる賠償金額が多くなるという結果が出ている。
 今回の大阪地裁の判決であるが、金額の端数を切って数字を簡略化して説明すると、次のようになる。判決が認めた被害者の過失割合は30%である。判決が認定した損害額の合計(ただし、弁護士費用を含まず。)は、過失相殺を行わない場合、2794万円である。これが、裁判基準損害額となる。
 また、損益相殺として、被害者に対し、自賠責保険から461万円の支払があった。さらに、被害者に対し、人傷保険から1926万円の支払があった。ここで、判決は、こむつかしい議論を経た上で、被害者の損害額は、407万円であるとした。
 しかし、この点を単純に考えると、裁判基準損害額が2794万円なのであるから、被害者としては、ともかく総額2794万円を受領すれば満足することになる。したがって、2749万円から、自賠責保険の461万円と、人傷保険の1926万円を控除した残額さえ、判決で認められれば足りるという話に落ち着く。すると、2794万円-461万円-1926万円=407万円となる。
 大阪地裁は、これに弁護士費用1割相当額を加算して、被害者である原告の損害額は、最終的には446万円であるとした。なお、本事故における被害者の過失割合は30%であったが、仮に、数値に変動が生じても(例えば、過失割合が10%であっても20%であっても)、上記金額(407万円)に変動はないと考えられる。
 また、判決は、保険会社の代位取得額についても、人傷保険1926万円と過失相殺後の損害賠償金額1956万円の合計額である3882万円が、裁判基準損害額2794万円を上回る場合に限って、上回る額に相当する額の範囲内で代位取得するとして、1088万円となるとした。
 以上のように、被害者が、先に人傷保険を受け取っておれば、被害者としては、人傷保険1926万円、自賠責保険461万円、判決額446万円の合計2833万円を手にすることができるわけである。ただし、被害者に過失が全くない場合は、人傷保険を先に受け取ると、かえって不利な結果となる。
 なぜなら、上記の場合、裁判基準額2794万円から自賠責保険461万円を控除した正味2333万円について、弁護士費用233万円(ただし、名古屋地裁の場合はより少額となる。)を加算すると、計2566万円となり、これに既に受け取っている自賠責保険461万円を足すと、合計で3027万円となるからである。つまり、先に人傷保険を受け取った場合と比較して、より高額となるからである。
     

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