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弁護士日記

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名古屋高裁で和解が成立した

2010年07月05日

 私が2年半余りの間お世話をさせていただいた交通事故被害者の方の和解が名古屋高裁で成立した。三浦さん(女性。ただし、仮名)が最初に当事務所に相談に来られたのは、平成20年1月のある寒い日のことであった。愛知県の東三河地方(ただし、地方名は変えてある。)に住む三浦さんは、平成17年夏に、パートを終えて会社から自宅に車で帰る途中に大型車と衝突して大怪我を負った。三浦さんは、すぐに救急車で近くの病院に搬送され治療を受けた。重傷ではあったが、長期間の入院を経て、何とか回復した。しかし、症状固定にはいまだ至っていないということで相談に来られたのである。その際、私の方からは、「症状が固定したら、すぐに自賠責保険に対して被害者請求を行って後遺障害等級の認定を受けましょう。」と助言した。
 その後、平成20年3月にようやく症状固定し、主治医から、後遺障害診断書を書いてもらうことができた。そこで、三浦さんは、私に対し、正式に後遺障害等級認定手続の依頼をされたのであった。私は、さっそく三浦さんの後遺障害等級の認定手続に入ったが、同年夏に最初の結果が出た(併合10級)。しかし、この認定には間違いがあると判断し、同年9月に自賠責保険に対し、異議申立を行った。後日、異議が認められて、障害等級は併合9級に訂正された。
 他方、三浦さんの事故は、平成17年の8月に発生したものであったために、事故日から3年で損害賠償債権が時効消滅してしまう危険があった。もちろん、後遺障害から生ずる損害については、症状固定日から3年の時効期間を計算するのが普通の考え方であるから、時効のことは全く心配する必要はないというのが大方の意見であろう。しかし、事故日から3年で全部の賠償債権が時効にかかるという理屈もあり得ないわけではなく、「石橋を叩いて渡る主義」の当事務所としては、平成20年の8月までに訴訟を提起して、完全に時効を中断しておくべきであると判断した。
 ところが、今回の事故は、加害者が交通事故を起こしてから死亡したという珍しい事件であったため、相続人が被告となった。私は、事故を起こした加害者の住所を自分の目で確認する必要があると判断し、自分で現地を調査した。せっかく訴状を裁判所に出しても、加害者の相続人に送達されない限り、原則的に裁判は始まらないからである。訴状が確実に送達される見込みがあるかどうかを、よく確かめる必要があったのである。
 現地調査の結果、加害者の妻および子が相続人となっていることを知り、さらに戸籍などで確認をした上で、平成20年8月に、名古屋地裁の某支部に提訴したのであった。裁判は、1年半継続した。裁判も終盤にさしかかった平成22年1月初旬には、裁判官から、和解勧告が書面で行われた。しかし、和解金額は、1060万円という全く問題外の低額であった。そこで、原告としては、この和解金額は認め難いと裁判官に回答した上で、和解金額の増額を図っていろいろと主張を追加した。
 そして、最終的には1400万円という線での和解を被告側に打診したが、被告側弁護士の対応が遅かったので、結局、原告は、その金額での和解提案を取り下げた。そのために判決となって、平成22年3月、名古屋地裁某支部は、おおよそ1106万円の支払いを命じた。
 原告は、このような低い金額ではとうてい納得できないとして、平成22年3月に名古屋高裁に控訴した。そして、名古屋高裁では、1500万円という和解案が裁判所から提示された。控訴人つまり三浦さんは、これを検討した結果、決して満足する金額ではないが、しかし了解できない金額ではないとして、最終的に受け入れることを決断されたのであった。そして、先日、裁判所内で正式に和解が成立した。
 この一連の裁判から得た教訓は、裁判官の提示した和解案については、あらゆる角度からその内容をよく検討し、理屈で説明が付かないようなおかしな点があった場合は、きっぱりと和解を拒否する必要があるということである。今思えば、一審裁判官が最初に示した和解案は、どう考えても説明が付かない不合理な案であった。仮に、一審裁判官が、最初から、和解案として1500万円程度の金額を提示しておりさえすれば、当事者双方とも無用な訴訟活動を省くことができたのであった。

日時:17:24|この記事のページ

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