お問い合わせ電話番号
受付時間:午前10時~午後5時

052-211-3639

電話でのお問い合わせ
メール相談申し込み

弁護士日記

弁護士日記

最新交通事故判例紹介(その9)  中学生が起こした人身事故について、その親の責任を否定した判例と肯定した判例

2018年04月24日

 中学生が、自転車に乗って走行中に、自分の自転車を他人に衝突させ怪我を負わせるという交通事故が全国的に多発している。
 今回、親の責任を否定した判決と、反対に親の責任を肯定した判決が、ほぼ同時期に出たので、紹介させていただく(交民50巻2号337頁・502頁)。
 まず、親の責任を否定した判決から紹介する。
 横浜地裁平成29年3月29日判決は、中学生の親の責任を否定した。横浜地裁が判決した加害中学生は、信号機による交通整理が行われていない交差点において、たまたま北から南に向かって走行中の被害女性が乗った自転車を追い越した上で、さらに交差点を左折しようとした際に、被害女性の運転する自転車に衝突したという事故であった。この事故について、本田知成裁判官は、被害女性において、衝突回避措置をとることが困難であったことを理由に、その女性の落度を認めなかった(つまり、加害中学生が100%責任を負うという判断である。)。
 そして、加害中学生の親の責任については、中学生が、事故当時14歳11か月の中学3年生であり責任を弁識する能力があったこと、親の子に対する日頃の指導監督は、「ある程度一般的なものとならざるを得ず、自転車の運転においても、日頃の運転態度において、事故を惹起する具体的な危険性を予見可能であるなどの特別の事情が認められない限り、子に対する指導監督義務を尽くしていなかったということはできない。」と判決し、親の責任を認めなかった。
 次に、親の責任を肯定した判決を紹介する。
 大阪地裁平成29年4月26日判決は、加害中学生の親の責任を認めた。この事故を起こしたのは、同様に自転車に乗った中学生であり、かたや被害者は交差する幹線道路を無灯火のままバイクを運転していた。この加害中学生は、事故当時は、中学1年であり、13歳になったばかりであった。同中学生が幹線道路を横断しようとした際に事故が発生した。この事故の過失割合について、三村憲吾裁判官は、バイク運転者に60%、加害中学生に40%の過失を認定した。
 そして、加害中学生の親の責任について、一般論として、両親には、加害中学生が自転車を運転するに当たっては、交通ルールを順守するだけでなく、前方左右を注視する等自転車運手者として基本的な注意義務を怠らないように指導監督する義務があったと述べた。
 その上で、今回の加害中学生の道路横断行為について、①本件事故現場が危険な場所であったこと、②加害中学生が、学習塾から帰宅するに当たっては、あえて本件事故現場を横切る理由がなかったことから、両親が、「指導監督義務を果たしていたとは到底考えられず、同義務を怠ったものと認めるのが相当である。」と判示し、両親の責任を認めた。
 ここで、同じような中学生による自転車事故であるのもかかわらず、なにゆえ判断が分かれたのかという点が問題となる。二つのポイントがある。
 第1に、中学生の年齢である。同じ中学生であっても、年齢が低いほど親の責任が認められやすくなる。年齢が高くなればなるほど、その分、大人に近くなるわけであるから、逆に親の責任は否定される方向に行く。
 第2に、事故に至った原因である。人間誰しも、不注意で事故に遭ったり、逆に事故を起こしたりする。しかし、同じように事故を起こした場合であっても、自分から危険な行動を起こして、その結果、事故を起こし、他人に被害を及ぼしたときは、非難のレベルが高くなる。親についても同様であり、危険を冒して事故を起こした中学生については、親が監督を怠ったためそのような事故を起こしたのであるとの非難が集まる。つまり、法的な責任を問われるということである。分かりやすい例をあげれば、親の言うことを聞かないヤンチャな中学生が起こした事故については、親は監督責任を免れないということである。
なお、昨今、街の中で、自転車に乗って通学・通勤する学生や勤労者の姿をよく見る。私が危ないと思うのは、イヤホンを耳につけて自転車を運転する行為である。これは、道交法でも禁止されていたと記憶するが、依然として目につく。
 当人は、イヤホンをしていても、外の音は聞こえるから「自分は大丈夫である。」と考えているのかもしれない。しかし、それは間違いである。
 イヤホンを耳につければ、その分、外の音が聞こえなくなることは確実なのであるから、その分、外から聞こえてくる音を頼りに危険を察知する力が低下し、極めて危ない。仮にそのような危険行為が原因となって事故を起こした場合は、どのように言い訳をしようとも、責任を免れることはできない。
 万が一に備えて個人賠償責任保険に加入すると同時に、イヤホンを耳に入れたまま自転車を運転することを、即時、止めるべきである。

日時:14:36|この記事のページ

カテゴリー

月別バックナンバー

最近のエントリー


ページの先頭へ

Copyright (c) 宮﨑直己法律事務所.All Rights Reserved.