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弁護士日記

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損害賠償金が5.1倍に増えた

2011年03月14日

 このたび、3月11日に、東北地方で我が国の災害史上最悪ともいえる地震と津波が発生した。被害に遭われた多くの方々に対し、心よりお見舞い申し上げる。
 さて、地震や津波は天災といわれる。自然が引き起こす災害だからである。この天災と並んで、人間が引き起こす災害の典型例は交通事故であろう。交通事故によって日々、多くの人が命を失い、あるいは怪我の治療のために苦しんでおられるのである。
 我々弁護士は、そのような交通事故の被害に遭われた方々のために、持てる知識と経験を生かす必要がある。まかり間違っても、その反対方向に知識と経験を悪用することは強く戒めなければならない。
 今回の被害者の方は、東海地方のある地方都市にお住まいの女性であった。交通事故の被害に遭われた女性は、自転車に乗って帰宅する途中で、後ろから来た自動二輪車に追突された。
 追突によって、頭部を強く打ち付け、結局、高次脳機能障害と判断されたのであった。しかし、高次脳機能障害と判断されたきっかけは、事故被害者自身が、治療を長年受けているのにどうも調子が元に戻らない、変だと自覚されたことであった。
 どうもおかしいと思って、従来治療を受けていた病院ではなく、インターネットで調べた専門病院で診察・検査を受けた結果、高次脳機能障害が判明したのであった。被害者は、その際、損保会社の担当者に「別の病院で診てもらいたいのですが」と打診したことがあったが、損保会社の担当者はこれに難色を示したという。仮に、被害者がその時点で諦めてしまっていたら、正当な賠償金を受けることもできず、泣き寝入りの状態に陥っていた可能性が極めて高い。
 さて、被害者の方は、専門病院の医師によって高次脳機能障害の診断を受け、自賠責保険で後遺障害の等級は9級10号と判断された。これを受けて、損保会社は、約2年前に652万円という損害賠償金の提示を行った。
 被害者は、その金額が妥当なものかどうかが分からず当事務所に相談を依頼されたのであった。私がみたところ、いつものことではあるが、問題外の低い金額提示であった。そのため、訴訟で決着させることをお勧めしたところ、御本人も訴訟を決断されて提訴に至ったのであった。
 裁判期間は、提訴から1年数か月であった。今年1月に判決が下り、双方とも控訴せず判決が確定した。損保からの入金額は、事故から相当長期間を経過したこともあって3350万円ほどであった。損保会社の提示額の5.1倍の金額となった。

日時:17:05|この記事のページ

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