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弁護士日記

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難事件をどう解決するか

2019年09月24日

 私は仕事柄、いろいろなトラブルの相談を受ける。トラブルの種類はいろいろあるが、大きく分けると、金銭だけで単純に解決できる問題と、金銭が重要要素ではない事件に分かれる。
 例えば、交通事故の相談の場合、被害者側の要望とは、おおむね、加害者から受け取れる賠償金の金額を多くして欲しいというものである。特に、事故の加害者に対し、被害者が強烈な復讐心を持っているというような場合はほとんどない。要は、賠償金の額さえ保険会社の提示額よりも増えれば特に不満はないということである。このような事件は、事件が解決し、賠償金を受け取ることで一件落着ということになる。
 これに対し、人間関係がからんでくる事件は、人間の感情が複雑にからむので、解決が難しい。難事件の場合が多い。例えば、遺産の相続の問題の場合、単に、遺言書のとおり相続人が財産を取得すればよいではないか、という単純なものではない。過去のいろいろな経緯が作用して、簡単には解決できないことが少なくない。
 また、騒音公害事件のような場合、加害者の方は、「営業活動の自由である」という大義名分を掲げ、被害者の要望や不満に誠意をもって応えようとする者は少ない。ところが、被害者の方は、大変な迷惑を受けているという事情もあって、「加害者は何も対策をとってくれない」と不満を強める。このような場合、お金で完全解決することは難しい。
 この場合、騒音に違法性があるか否かを判断する基準が、以前も取り上げたことがあるが、「受忍限度論」というおかしな基準となっている。この基準は、被害者に我慢を強いるという結果をもたらすことが多く、非常に問題のある間違った考え方である。
 基本的に行政法令が定める騒音レベルを超えた騒音を出した場合は、違法とされる(例 「深夜においては、境界線上で、50デシベルを超える騒音を出してはいけない」)。しかし、「行政法令が定めた基準」というのが曲者であり、騒音が、行政法令で明文で規制されていない発生物から生じた場合は、適用を免れるという抜け道がある。例えば、犬の鳴き声が、これに当たる。
 このような場合、社会通念に従って、地域の普通の常識をもって、当事者双方の話し合いによって問題が解決することができれば一番良い。
 ところが、例えば、「ゴミ屋敷問題」に象徴されるように、問題を発生させている人間に常識が欠けている場合、あるいは他人の意見を聞く心を持っていない頑固者のような場合、周りの住民としては、なかなか対処の方法がなく、大きな迷惑を受けたまま異常な状況が長く続くということになる。
 もちろん、裁判所に訴訟を提起して問題を解決することも可能であるが、普通の人々にとっては、弁護士費用が大きな負担となるし、また、裁判を起こしても必ず勝てる保証はない。そのため、多くの人々は、騒音公害が起こっても、いわゆる「泣き寝入り」となってしまう。
 しかし、これはおかしい。例えば、数十年前は、非難することが難しかった迷惑行為が、今では法的に規制されるようになっていることが非常に多い。一例として、数十年前は、職場でタバコを吸うことは、原則自由であった。当然のことのように、仕事用デスクの上には、灰皿が置かれていた。
 働いている者の多くは、隣の席で同僚がタバコを吸っていて、内心では「迷惑だな」と思っていても、それを表立って、注意しようと思うような者は誰もいなかった。しかし、現在では、そのようなブラックな職場は、ほぼ100パーセント見かけないのではなかろうか。「セクハラ」、「パワハラ」、「イジメ」なども、昔と今では、問題の捉え方が全く違う。
 騒音公害問題も同じである。今後、被害者が泣き寝入りをしなくてもよい、環境尊重型の社会をつくるため、加害者の責任を認めやすくするような法律を早急に作るべきである。また、裁判官の旧態依然の間違った思考方法(判例第一主義)を改善する必要もある。
 
 

日時:19:36|この記事のページ

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