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弁護士日記

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もはや「司法試験」の名に値しない司法試験

2019年10月25日

 本日、私の事務所にFAXが届いた。近い将来に行われる日弁連会長選挙の有力候補者であるk弁護士が代表を務める団体からのものであった。表題は「大きな危機の克服を目指して」とあった。
 内容を読んでみると、2019年の司法試験合格率は33.6パーセントだったと書かれている。この程度の数字であることは、私も知っていた。
 次に、2007年の弁護士登録者数は2万3119人であったのが、2019年時点では、ほぼ倍増し、4万1050人であったと書かれていた。私も、最近、弁護士の登録者数が4万人を超えたという話は知っていた。
 弁護士が増加しても、それに見合った数だけ依頼者が増加してゆけば、全く問題はない。ところが、現実はそのような生柔しいものではなく、弁護士一人当たりの国民数は、2008年の時点では5115人であったのが、昨年2018年では3157人へと激減している。率にすると、約38パーセントの減少率であった。
 ここで止まれば、まだ何とかなる。しかし、その先があり、2028年の時点では、何と2420人になると予想されている。2008年との比較では、約53パーセントもの減少となる。つまり、半減するということである。依頼者が半減するということは、原則として、報酬ないし所得も、昔と比べて半減するということである。
 それに加え、日本社会の高齢化がいっそう進むことになるため、弁護士に対し事件の解決を依頼する可能性のある日本国民の数は、もっと減少することになる。
 2008年の当時は、弁護士の人数が、ある程度適正に維持されていたため、ほとんどの弁護士が日々の生活に余り心配をすることなく、仕事に打ち込むことができた。現在の司法試験合格者数は、年間約1500人である。このままペースで行くと、将来は上記のような悲惨な事態に陥ることはほぼ間違いない。
 つまり、歯科医師と同様の現象が起こるということである。弁護士の人数が、不合理なまでに増加すると、限りのあるお客の奪い合いが発生する。お客を効率的に獲得できるのは、宣伝に長け、資金力がある法律事務所となる。半面、いくら真面目に依頼者のために努力しようと考えていても、多額の宣伝費を投入できない中小法律事務所には、依頼者がほとんど来なくなるため、早晩、経営に行き詰まり、結局は廃業の途を辿ることになる。
 優秀な学生は、そのような実態であることを在学中に知るに至るため、積極的に法曹を志そうとはしなくなる。貧困生活を嫌って別の途を選ぶことになる。
 その証拠に、2018年の法科大学院の入学者数は僅か1621人にまで減ったのである。2006年は5784人であったが、年々減少してきた。まさに、右肩下がりのトレンドが続いている。株式市場に例えれば、リーマンショック級の非常事態に陥っているのである。
 そのため、上記の資料によれば、2019年の司法試験においては、最終合格者者の得点が平均点を下回ったという。仮にこれが事実だとしたら、非常な驚きである。昔だったら、絶対にあり得ないことが起こっているのである。
 一般の大学入試を参考にしても、受験生全体の平均点を下回る点数で、入試に合格できて、入学することも可能な大学は、決して難関大学とは言わない。むしろ入学が容易な二流大学と言うことができるであろう。
 言葉は悪いかもしれないが、私が合格した当時だったら「箸にも棒にもかからない」ような受験生であっても、今では、司法試験合格者として扱われる可能性を否定することはできない
 現在の司法試験は、もはや伝統的な、天下の難関司法試験のイメージは全くなく、例えば、「法曹資格認定試験」とでも名前を変えた方が良い。誰でも真面目に努力すれば報われる試験になったということである。しかし、反面、質の低い法曹が大量に生産されたツケは、一般国民が負わされることになろう。
 現状を改善するためには、斬新な考え方を持つ弁護士が将来の日弁連会長となる必要があろう。小泉純一郎元首相ではないが、「日弁連をぶっ壊す」というくらいの改革派弁護士の登場が望まれる。

日時:16:18|この記事のページ

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