058-338-3474

お問い合わせ電話番号
受付時間:午前10時~午後5時

電話でのお問い合わせ

弁護士日記

弁護士日記

レベルが低すぎる国会

2020年02月13日

 最近の話題の大半は新型コロナウイルスに関するもので占められている。
 そのような中、国会中継の様子が出ていたので、少し見た。そこには立憲民主党の辻本議員が写っていた。私はその姿を見て、「また、国民の不安を煽るパフォーマンスをするつもりか」と思った。すると、辻本議員は、「総理、仮に憲法改正案を提出して、国民投票で否決されたらどうするのか」「国民投票をすることで国民が分断され、悪い影響が出る。英国がその例である」という趣旨のことを述べていた。
 この辻本質問を聞いて、辻本議員を国会の予算委員会に送り込んだ立憲民主党のレベルは、どうしようもないほど低下し、もはや回復の余地すらない段階まで落ちたと思った。国会議員など全員要らないと感じたくらいである。
 理由は以下のとおりである。
 憲法改正案を国民投票にかけて、否決されたらどうするのかという質問は、実に馬鹿げている。仮に否決されたら、後日、様子を見て再提出すれば済むだけの話だからである。ちょうど、大学受験生に対し、「受験して第1志望校に落ちたらどうするのか」と質問をしているのと同じだからである。普通の感覚では、第2志望の大学に入学するか、あるいは第1志望校にあくまで挑戦するため浪人を覚悟するという話になる。
 だいたい、受験生に対し、受験の前から、「仮に落ちたらどうする」などという馬鹿げた質問をする社会人はいない。仮にいたとしても、まともな人間(大人)とは評価されない。
 次に、社会が分断されるという話もおかしい。米国では、国民投票(正確には選挙人の数を多く獲得した政党)によって大統領が決まるが、その場合、接戦になるのが当たり前である。しかし、大統領選挙によって「米国民が分断された」という声は余り聞かない。わが国の国会議員選挙でも、接戦の末に当選者が決まる選挙区も多いが、そのような地域について、選挙によって住民が分断されたという話は聞いたことがない。
 さて、わが国では、三権分立制度をとっている。しかも、憲法41条は、国会は国権の最高機関であると規定する。
 しかし、3権のうち、行政権と司法権は、国民にとって不可欠の機関であるが、立法権=国会は、国民にとっては、実はあってもなくてもよい機関である。
 行政権の役割とは、法律に則り各種の権限を行使し、日本国を運営することである。今回のコロナウイルスの問題についても、テレビで報道しているのは、ほぼ行政権の活動に関するもので占められている。例えば、外国クルーズ船の入港を認めるのか拒否するのかは、行政判断である。
 司法権も国民生活にとって必要不可欠である。仮に裁判所が機能を停止した場合、例えば、相続問題の解決が進まず、関係者は非常に困ることになる。あるいは、犯罪者を逮捕し、起訴しても、刑事裁判が開かれないという事態になれば、事件処理がストップしてしまい、警察も検察も弁護士も、全員が困ることになる。
 一方、国会は法律を作成つまり議決するのが、憲法が期待する役割である。
 ところが、現在の国会の様子を見る限り、野党議員は、何を心得違いしているのか知らないが、立法活動にエネルギーを注ぐことをやめ、与党のゴシップ探しばかりしている。法案は、行政府つまり内閣ほか各省庁で作ってくれる。国会議員は、国会議事堂内の椅子に座って、ただ賛成のボタンを押す、あるいは反対のボタンを押すだけである。考えようによっては、こんな楽な仕事はない。誰でも出来る仕事である。AIに任せておけば足りるかもしれない。
 与党の活動が法令に違反するというのであれば、刑事事件の場合は、検察庁が捜査をすれば済むことである。国会議員がそのような活動をする必要はない。また、民事事件であれば、被害を受けた国民が国を相手取って訴訟を起こせばよいだけのことである。
 このように野党が、くだらない作業に専念する理由を考えると、結局のところ、自民党政権を倒して、野党の連立政権を立てるという目標に行きつく。国家権力を奪い返したいということである。しかし、私は、そのようなこと(政権交代)は、今後何十年もの間は起こらないと見ている。
 理由は、あらためて述べるまでもないであろう。過去に民主党の政権下では、政党内の足の引っ張り合いが頻発していたことを想起せざるを得ない。左翼政党というものは、原理原則に過度に囚われる傾向が強く、政権内部で、多数決を経た上であっても、少数派は政権運営に非協力的である。これでは、国政の円滑な運営など望むべくもない。政権運営における各党の共闘(協働)などという事態は、あり得ない現象なのである。
 ある人物が私に言った。「自分の理想は野党議員になることです」と。私が理由を聞くと、「野党議員になれば、国から多額の歳費つまり給与を貰え、しかも国会では、与党の攻撃材料を探しているだけで済む。政策実現のための難しい勉強も何もしなくてよい。細かいことは秘書に任せておけばよい。自分は当選することだけ考えていればよい。こんな、おいしい職業はないです」と。私もなるほどと思う以外になかった。

日時:13:18|この記事のページ

ページの先頭へ

Copyright (c) 宮﨑直己法律事務所.All Rights Reserved.