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弁護士日記

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新型コロナ改正特措法の可決を急げ

2020年03月10日

 新型コロナ特措法の改正について、本日、閣議決定がされたとの報道を聞いた。
 また、与野党は、今月12日に法案の採決をすることを合意したという。
 何でも反対の野党といえども、今回ばかりはさすがに採決反対という態度はとれなかったようである。仮にそのような態度をとった場合、野党は、国民から大バッシングを受けかねず、支持率が急落するおそれがあったということであろう。
 ただ、緊急事態宣言の発令要件として、左翼野党は、発令に当たって事前に国会の承認を必要とする内容とすべきであると主張しているようであるが、実に、考え方が浅い。というよりも、知恵がなさすぎる。
 なぜなら、緊急事態を宣言するという場面を想定すれば分かる。緊急事態が発令される場合とは、国家が新型ウイルスの蔓延によって重大な局面を迎えている時期に限られる。一刻を争う事態だということである。
 そのような緊急事態において、行政権が迅速に機能し、国民の生命・健康・安全を守るためには、国会などが口を挟む根拠を作っては絶対にダメである。国会の事前承認などを要件にしていたら、「何でも反対」の野党の妨害に遭って、迅速かつ効率的な行政活動が阻害され、結果、国民に多大の被害が生ずる危険がある。いわゆる「小田原評定」ということになってしまうおそれがある。
 ところが、テレビに毎日顔を出している(反日マスメディアの覚えが良い)元新聞記者などのコメンテーターは、「そんなことをしたら、国民の人権が侵害されるおそれがある」と宣う。
 では、ここでいう「人権」とは何を具体的に指すのか?公に発言する前に、言葉の定義を正確に示しておくべきである。普通、「人権」といえば、思想・信条の自由、表現の自由、身体の自由などを想起する人が多い。
 ところが、今回の緊急事態宣言によって制限される権利は、主に財産権に関するものである。具体的にいえば、所有権や営業活動の経済的な自由権である。国民に対し所有権や営業活動の制限が課されるということである。
 しかし、所有権や営業活動の自由が制限される法律は、従来から数多くある。例えば、農業を営んでいない者が、財産を蓄積する目的で、農地を所有しようとしても、農地法が厳しく規制をかけている。つまり、所有が認められないのであるから、財産権に対する規制ということになる。この場合、農地法を無視して取引をした者には、かなり重い刑罰も課せられるのである。ところが、国民の99パーセントは、おそらく農地法について、「人権を規制するから廃止しろ」などとは主張しない。
 また、車を運転しようとすれば、道路交通法で自動車運転免許の取得が義務付けられている。仮に運転免許を取得しないまま、自動車を運転した場合、無免許運転を実行したとして、警察に検挙されてしまう。しかし、国民の99パーセントは、おそらくこの道路交通法の規定について、「国民の移動の自由を侵害するものであり、けしからん。誰でも運転免許なくして自由気ままにに自動車を運転できるようにすべきである」などとは主張しない。
 このように、国民の自由を規制する法律は、これまでにも無数あるのである。ところが、今回は、緊急事態の発令を可能とする法律が成立するという話題が出た途端に、「人権が制限される」などと声高に主張する輩が出ている。まさに「受け」を狙っただけの、浅はかな発言にすぎない。
 私は、緊急事態宣言の発令に当たっては、国会の事前関与など全く無用であり、せいぜい国会に対する事後報告で十分であると考えている。事前承認の要件は、むしろ有害であると判断している。今の国会(議員)は、現実には、その程度の軽い存在にすぎないのである。
 仮に法律が想定する緊急事態宣言発令の要件を満たさないにもかかわらず、間違って政府が発令してしまった場合、時の内閣は、いいさぎよく総辞職すべきである。つまり政治的責任をとって、野に下る覚悟を持たねばならない。それが健全な議会制民主主義というものである。
 しかし、受け皿となるはずの今日の野党には、政権を担う能力もなければ、その覚悟もないように見える。少なくとも私の評価は、そのようなものである。
 野党は、些末な問題を取り上げて、クレームをつけてさえいれば、国会議員としての歳費つまり給料が貰え、生活できるというケチな考え方を改めるべきである。野党は、来るべき日には政権の担当者となれるよう、間違った考え方(例 憲法9条改正反対)や行動原理を一から見直し、国民の期待に沿うべく努力をするほかない。

日時:17:12|この記事のページ

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