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弁護士日記

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需要が利益を生む

2020年05月03日

 たまたま定期購読している経済雑誌を家で読んでいたら、航空業界の苦境について特集されていた。記事によれば、新型コロナウイルス(正確には武漢ウイルスである)の影響で、航空機に人が乗らないため、キャッシュ流出が、JALで毎月600億円から700億円、ANAの場合は、毎月1000億円近いという。
 会社から毎月巨額の資金が流出しているということであり、これは大変なことになっていると感じた。記事は、「移動のない世界で、航空業界はいつまで持ちこたえることができるのか」と深刻な状況を伝えていた。
 ここで、はたと気付いた。ビジネス(商売)というものは、人々が何かを求める気持ちがあって初めて成り立つという基本中の基本である。つまり、人々の需要(欲望)があり、その需要を満たすために供給を行うのが事業者であり、その事業を運営する過程で利益が生まれるということである。
 人間を移動させることで利益を生む航空業界、旅客業界、海運業界などにとって、人間の移動が制限されている現状では、事業を運営し、利益を生むことが基本的に不可能となる。おそらく観光業もこれに含まれるであろう。
 しかし、今回のような人為的な要因による移動制限が、未来永劫続くはずはなく、近い将来、需要が回復してくることは間違いない。すると、需要の増加に伴って、利益も次第に増大し、会社の運営も正常化される可能性が高いと考える。
 ここで、弁護士業について考えてみた。わが国の法律は、年々、そのボリュームを増やしており、法律の数が増大することはあっても、減少するとは考え難い。しかも、昔から人の住む社会において紛争やトラブルが起こることは避けられない。
 その場合、社会の紛争を解決するに当たって機軸となるのは、裁判官、検察官および弁護士の法曹三者である。法曹三者が、今後、消滅することはあり得ない。ただし、紛争の解決といっても、いきなり民事訴訟を起こして、判決で白黒をつけるという考え方は、日本では支配的ではない。まずは話し合いによる解決を探ることになる。
 かつて、弁護士の一部には、次のような意見があった。弁護士の数を増やせば、それなりに民事裁判の件数も増えるに違いない。だから、司法試験の合格者を大幅増員しても、大丈夫である。食いはぐれなど起こるはずがないというものである(当時、「法化社会云々」というタイトルの本まで出す著名弁護士もいた。)。私は、当時から明確に反対の姿勢を貫いていた(私見を示した冊子もある)。しかし、上記の声が大きくなって、司法試験の合格者をバブル並みに増やした。その結果、一転して、弁護士の平均年収が低下し、また、かなりの弁護士が窮乏する事態が生じた。私の懸念は的中したのである。
 そのため、昨今では、日弁連の会長選に立候補する弁護士も、異口同音に、司法試験の合格者を減少させる必要がある、あるいは適正な数に抑える必要がある、などと述べるようになった。
 冒頭で述べた「需要が利益を生む」という言葉であるが、弁護士に対する国民の需要が今後なくなることはあり得ない。したがって、将来も職業として十分に成り立つ。しかし、問題は、需要と供給のバランスである。法曹人は、通常は経済学に疎い者が多いため、この点があまり分かっていないようである(「人権擁護」とは、まずは弁護士が自分の生活を維持した後で言うべきものであろう)。
 日本人の年齢が全体的に高齢化し、かつ、全体の人口が減少に転じた場合(現在では減少に転じている)、供給もそれに応じて調整する必要がある。司法試験の合格者の数を、仮に一時的であっても、1000人以下に抑制する必要がある。できれば、ひと昔前のように、合格者数を500人程度に止める必要がある。
 しかし、私の見たところ、政府は、今後もしばらくの間は、司法試験の合格者を1500人程度(1500人~1300人)で推移させようと考えているのではなかろうか。だが、これではダメである。弁護士の平均年収1000万円を確保するためには、人数が多すぎる。
 仮に政府がこのような不合理な司法政策を続けた場合、たとえ弁護士になっても、貧富の差が拡大し、都心部の一部の儲けられる弁護士は、ほぼ2000万円~1500万円の年収を得ることができようが、その他、地方の大半の弁護士は、平均年収900万円~600万円程度で我慢せざるを得ないと予想する(一例として、優遇されている給料50万円の勤務弁護士の場合、賞与3か月分を加算すると、年収は、税込みでおおよそ750万円となる。また、弁護士が自分自身で事務所を経営している場合は、その腕次第ということになろう)。なお、ここで掲げた数値は、私の推測にすぎず、客観的な統計数値ではないことをお断りしておく。
 それでも全く構わないと考える者は、司法試験を受験し、弁護士になれば良い。

日時:13:23|この記事のページ

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