本日の産経新聞を読んでいたら、一面で「戦後75年 第5部 領土の記憶」という記事が載っていた。内容を読んでみると、わが国固有の領土である北方領土が「ソ連」という共産主義を掲げた強盗によって奪われた事実が書かれていた。北方領土がソ連によって強奪された事実については、これまで、多くの学者などによっていろいろな論評が加えられている。
しかし、以下のような動かない事実があることを忘れてはいけない。
(1) 北方領土である択捉島、国後島、色丹島、歯舞群島の計4島は、1855年の日魯通好条約で日本領と確定された以降、一度も、外国の領土になったことはないという事実である。日本固有の領土だということである。
(2) 日本は、昭和20年(1945年)8月15日に戦争をしていた相手方である連合国に対し、無条件降伏をした。したがって、理屈からは、この時点で日本は、以後の戦争を継続することはできなくなる。
(3) ところが、共産主義国家ソ連の独裁者であったスターリンは、それに先立つ8月7日に、日本に対する宣戦布告を行い、満州方面に侵攻を開始した。このようにして、日ソ中立条約は、ソ連によって一方的に破棄された。
(4) さらに、昭和20年8月28日、日本固有の領土である北方領土に対し、ソ連軍が侵攻を開始し占領を行った。
ソ連による日本の北方領土の不法占拠については、一部に、これに理解を示す立場があるようであるが、論外である。
なぜなら、もともと日本は、当時のソ連とは戦争を行っていなかったのに、昭和20年の8月上旬になって急に日本に対し宣戦布告するのは、非常に汚い手口であるというべきだからである。日本は、8月6日には広島に原爆を投下され、客観的にみる限り日本が連合国との戦争を継続する能力がなかったことは一目瞭然だからである。まさにボロボロの状態にあった。
このように日本が絶対的窮地に陥っている機会を狙って、スターリンが、宣戦布告をしたのは、ここで参戦すれば100パーセント戦争に勝てると確信したからにほかならない。戦争に勝利できることが100パーセント保証されたので、「この際、日露戦争で日本に負けた借りを返そう」と考えたわけである。今のテレビドラマ的にいえば「倍返し」をしてやろうと考えたのである。
その方法として、日本から北方領土を奪おうと計画し、昭和20年の8月下旬に侵略を開始した。その結果、令和2年を迎えてもソ連=ロシアによる不法な侵略状態が継続している。
さて、私の見方は次のようなものである。
(1) 国際社会においては、他国を信用することは自国の破滅につながる危険がある。安易に他国を信用することはしてはならない。特に、共産党が権力を握っている全体主義国家は信用の対象外である。また、連合国が日本に押し付けた憲法9条は、酷いの一言に尽きる。日本をバカにした条文であり、すぐに改正する必要がある。
(2) 国際社会においては、力は全てである。ただし、ここでいう「力」とは、主に軍事力と経済力である。力のない国は、その国よりも強い他国の指図を受ける運命が待ち構えている。自由を奪われるということである。
反日報道番組などをみていると、盛んに「外交努力を行うことが大切だ」とか「日本の外交力が試されている」などと発言する勘違い解説者にお目にかかることがあるが、「考え方が浅はかだ」という言葉しか出て来ない。外交力がその威力を発揮するためには、前提条件があることを忘れているからである。
外交力を発揮するためには、第1に、その国に力があることが必要である。
第2に、相手国が言論の自由という概念を認めていることが前提となる。「中国共産党のいうことが全部正しい。それ以外の考え方は強く否定する」という国を相手とした場合は、外交力もへったくれもない。意見の相違を、法の支配と民主主義をベースにした議論を通じて平和的に調整するという基本がないのであるから、最終的には力によってすべてが決まることになるからである。
話を戻すが、ロシアが、交渉を通じて北方領土を日本に返還するという結論は、100パーセントあり得ない。ロシア人の腹の底にある考え方とは、北方領土の返還を餌として、日本と平和条約を締結し、自国が経済的に発展することを目的としている。平和条約さえ締結してしまえば、後は、「領土問題など知らない。後世の政治家の知恵に委ねよう」という、人を見くびった態度に出てくることは間違いない。
したがって、ロシアとの平和条約は絶対に締結してはならない。安倍首相は、プーチン大統領との個人的信頼関係を深めて、北方領土を取り返そうとする戦略を持っていたようであるが、最近になって、そのような戦略は全く効果的でないことに気が付いたようである。最近安倍首相に元気がないようにみえるのも、北方領土問題の解決案がないことも原因しているのかもしれない。
ならず者国家ロシアに対しては、今後、ロシアが弱体化して、日本に対し「北方領土を返す用意がある」と泣きついてきた際に交渉のテーブルに着くだけでよい。それまでは、仮にたとえ1000年待つことになっても、四島無条件一括返還の態度を貫くほかない。
それにしても、安倍総理大臣に対し適切なアドバイスをしてこなかった日本の外務省の歴代官僚の無能ぶりは、強い非難に値する。霞が関において、外務官僚ほど日本の役に立たない組織はないのではなかろうか。彼らは、単に外務官僚として華麗な人生を送ることができればそれで満足と考えているのであろうか。「阿呆」と一喝する以外にない。
日本の外務省を一度解体し、国益追求型のより強固な組織に作り上げる必要がある。
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