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弁護士日記

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新型コロナワクチンの国内開発・製造を急げ

2021年04月26日

 私は、産経新聞を数年以上前から定期購読している。地元岐阜(および東海地方)の記事が全く見当たらないことが欠点であるが、記事の内容は、おおむね日本の国益を第一に考えた上での記事となっており、参考になる。地元のニュースは岐阜新聞で補っているが、記事のレベルは産経新聞と比べかなり劣る(ただし、この点は私見である。)。特に、立憲民主党の機関紙に載っている主張をそのままコピーしたのか?と疑われる社説の内容は、全く話にならない(近隣の横暴な独裁国家の影響を直接・間接に受けているのではないかと感じられるため、読んでも時間の無駄となる。)。
 さて、本日(2021年4月26日)の産経新聞の6面に、塩野義製薬社長の手代木功氏が寄稿した「コロナの次に備え司令塔を」という記事が載っており読んだ。なるほどと思った。
 手代木氏の主張の骨子とは、「今回、新型コロナがもたらした危機は、国家レベルの危機であり、かつ、安全保障の問題である。感染症の司令塔を防衛省内に設置し、防衛という考えの中で対処したらどうか。少なくとも、内閣の下に、医学、医療の危機が起きたときの指揮命令系統を作るべきである。感染症は、いつ流行するか分からないのであるから、平時から戦時に備えなければならない。アメリカには緊急使用許可という制度があり、今回、迅速な対応をとってワクチンの承認に至った。ところが日本では、今回のようなコロナの危機が起きても、医療や産業界、また承認をする国において平時の意識が強く、緊急時という理由で即応しようとする意識が薄い。仮に国内の製薬会社がワクチンを製造した場合、患者のデータをかかりつけ医と共有することが可能となり、また実際のデータの蓄積も可能となる。現状、年内のワクチン供給開始を目指しているが、大規模な臨床試験の実施が困難となっているため、有効性と安全性を確認する新しい手法について国と協議を進めている」というものである。
 手代木氏のこの考え方には全面的に賛成したい。
 とにかく、今後も人類に脅威を与える感染症は、必ず出てくると見てよい。そのような事態に備え、日本は、「安全保障」の問題として、日本(日本国民)を防衛するための効果的な制度を整備する必要がある。例えば、国内の有力製薬会社と防衛省(防衛医大)および国内の有力大学が連携して、仮に新たな感染症が生じた場合に備え、常に、基礎的な研究を恒常的に行い、万が一に備えるという程度の制度設計は必要であろう。
 ただ、手代木氏もいうように、司令塔が必要である。その場合、司令塔は民間企業のトップではとうてい務まらず、大臣クラスの有能な政治家がなるべきである。現在は、大臣が3人いて(田村、西村、河野の各大臣)、事務を分担しているのあるが、迅速性に欠ける。
  現在の大臣(特に、西村大臣)は、常に二言目には「専門家のご判断を参考にしつつ」というが、予防線を張るというか、何か逃げ口上のような印象がある。決断するのは、あくまで国政に責任を負う政治家であって、専門家ではない。政治家が最終的に判断し、責任を負うのである。その意味で、司令塔となる大臣は、一人でなければならない(大臣が複数では責任の押し付け合いになり、結局、無責任という事態に陥る。)。
 司令塔の大臣が間違った判断をした場合は、いさぎよく辞職すれば良いのである(しかし、現実には政治家という仕事を「家業」として子孫に代々伝えようとする小物政治家が多すぎるため、辞職=政治家を辞めることを恐れて、安全運転に徹している。したがって、抜本的な改革が進まない。)
 ここで、同日付けの産経新聞社説「主張」に目が移った。ここには「反省なき組織に未来はない」とある。日本学術会議が、かつて菅総理が任命の見送りを行った6人の学者について、総会として即時任命を要求する声明を出したということを批判する社説である。この批判には、私も同感である。
 日本学術会議の会員の任命権は、総理大臣にあると法律で明記している以上、菅総理が、任命するか拒否するかの裁量権を持つことは明らかである。また、日本学術会議の会員は、特別職の国家公務員である以上、内閣によって一定のコントロールに置かれる法的仕組みが必要であり、その方法が、任命権(任命拒否権)なのである。仮に日本学術会議の構成員である会員が、特別職の国家公務員でなければ、総会で、自由に会員を選任すればよいのである。その代わり、会員の人件費や事務局の運営費について、当然に国費を投入せよと要求する権利は認められない。
 また、日本学術会議は、総理大臣がどうしても任命しないというなら、任命拒否の理由を明らかにせよと要求しているようであるが、最初から無理を承知でそのような世迷言をいっているとしか思えない。本当に心底頑迷な組織である(「学者〇〇」という言葉があるが、まさに至言である。)
 例えば、ある大学で、教授になりたい准教授がいたが、教授会で、どうしても教授に推薦できないと決議された場合、その准教授から、「その理由を明らかにせよ」といわれても、まさか「あなたは能力が欠けているので、教授にすることはできません」などと告げるはできまい。他方、その准教授が大学から解雇されたような場合、つまり不利益処分を受けた場合は、裁判で、解雇理由を明らかにせよと要求することは認められる。
 何がいいたいのかというと、私見によれば、日本学術会議の会員に任命するか否かは、総理大臣の合理的裁量に委ねられており、また、任命拒否は「不利益処分」には当たらないということである。換言すると、国に対し、任命を法的に要求する権利は、推薦を受けた会員候補者にはないということである。たとえ、任命を拒否されたとしても、それまでの学者としての待遇はそのまま維持され、それまでどおり自由に学問研究に励むことが保障されているのである。一体、任命を拒否されると、どのような不利益が具体的に発生するといいたいのか?
 折から、多くの国民がコロナで苦しんでいるこの非常時において、軍事科学研究を極端なまでに忌避する日本学術会議として、ここ1年の間に何か積極的にコロナ禍克服に資する提言を行ったことはあったであろうか?テレビのニュースや新聞記事を読んでも、日本学術会議が、少しでもその存在意義を発揮したことがあるという印象は皆無である。実は何もしていなかったということである。まさに「盲腸」のような存在であると考えざるを得ない。このような無用の長物化した組織は、早く解体し、自助の精神を持った純粋な民営組織として再出発させるのが一番ではないか(後は、内部で好き勝手にやればよい。)。

日時:18:55|この記事のページ

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