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弁護士日記

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中川俊男会長の言動は理解できない

2021年05月27日

 本日、ネットのニュースを見て、驚いた。それは、昨日5月26日に、日本医師会の会長である中川俊男氏が記者会見を行い、「東京の一日当たりの感染者数が100人以下になるまでは緊急事態宣言を安易に解除してはいけない」、「感染防止対策は経済対策である」、「緊急事態宣言の延長に同意する」という趣旨の発言を行ったことである(JNNニュース)。
 発言の内容自体は、別に目新しいものではない。問題は、そのような発言を中川会長が公的に行ったということである。以下、何が問題かという点について、やや細かく分析する。
 第1に、中川氏は、このような発言を、一体誰に向けて行ったのかという点である。つまり、自分の発言を誰に聞いてもらいたいと思ったのか?という点である。その場合、普通に考えられるのは、国民である。
 しかし、以前にも指摘したことであるが、中川氏は、国民一般に対しては、厳格な行動制限を求めておきながら、自分だけは別と考えたのか、自民党の自見議員のために政治資金を集める目的で100人規模のパーティーを開催し、多くの国民から批判を浴びた。また、最近の週刊誌の報道によれば、都内の高級寿司店で日本医師会の職員である女性と「寿司デート」をした事実もあったようである。
 このような行動を自らとっておきながら、国民に対し、上記のような上から目線の注意喚起を行っても全く効果はない。国民の信用を失い、国民から「あんたの話だけは聞きたくない」と思われているにもかからわず、中川氏は、性懲りもなく、わざわざ記者会見を行い、国民の反感を買うような不合理な行動を行っているのである。また、後記のとおり、中川氏は、国務大臣、都道府県知事、市町村長などのような行政機関の長ではないのであるから、国民に対して、公的に物を言うべき立場にない。
 ここで、このような不遜な態度をとる人物がほかにもいないかと自問すると、すぐに頭に浮かぶのは、世界の独裁国の大統領である。独裁国の大統領は、おしなべて自信過剰であり、自制心が皆無であり、一般国民の庶民感覚が全く分かっていない(また、頭から理解しようともしない。)。まともな意見を言う者に対しては、武力で弾圧し、力で抑え込む。例えば、ミャンマーの軍事独裁政権の幹部や、中国共産党の傀儡と化した香港の女性行政長官がこれに当たる。
 今回、中川氏が、聞き手(国民)に対し全く効果を生まない記者会見をあえて行ったという姿勢は、非難されても文句は言えないであろう。中川氏は、今後、国民の前に公然と顔を出さないこと、また、偉そうな発言は一切慎むことが一番である。
 なお、国民向けではなく、菅政権に向けて発信したのであるという解釈も成り立たないわけではないが、しかし、その場合は、何も記者会見を開く必要はなく、日本医師会から政府に対し、会としての意思を示した文書を送付しておけば済むことである。
 問題点の第2であるが、感染症対策は経済対策であるという中川氏の発言は、非常に違和感がある。なぜなら、中川氏は、確かに昨年、激烈を極めた日本医師会の会長選挙で勝利し、結果、日本医師会の会長の座を射止めた野心家であることは認めざるを得ない。
 しかし、前にも触れたが、日本医師会は、民間の単なる一公的団体にすぎず、行政機関ではない。行政機関でない日本医師会は、国や地方公共団体と違って、国政や地方行政を直接動かす立場にない。また、経済の専門知識を持った団体でもないから、経済対策として何がもっとも有効かを分析する能力に欠け、この点は素人同然のレベルにすぎない。
 このような私的な一圧力団体(利権団体)にすぎない日本医師会は、国民や地方の住民に対し、あれこれ物を言う権限など最初から全くないのである。ところが、いつもながらの中川氏の厳しい表情を見る限り、自分は、当然に国民や地方住民に対し、物を言うことが許される特別の地位にあると勘違いしているのではないかと写る(そのくせ、コロナ患者を民間の開業医が受け入れるという方法には消極的であり、ヤル気がない。)。これは、まさに傲慢な姿勢そのものである。
 日本では、多くの医師は、余り世間が分かっていない若年の頃から、周囲の者から「先生」「先生」と呼ばれることが多く、そのような環境に何十年も身を置いていると、知らないうちに、何か自分が一般大衆とは違った特別の尊敬を受ける立場にある人間と勘違いするようになるのではなかろうか。
 これはおかしい。医師は、単に医学の専門知識を持つ技術者(技師)にすぎず、「先生」という表現以外に適当な呼び名がないため、世間の人々は、便宜上「先生」と呼んでいるにすぎないことに留意する必要がある。このことは弁護士にもあてはまる(私個人は、先生という呼ばれ方は好きでない。〇〇さんで十分である。)。
 これは将来予想であるが、おそらく中川氏は、今後も記者会見を頑固に継続すると予想する。理由は簡単である。仮に記者会見を当分の間は行わないと公表した場合、これは、権力者である中川氏にとっては、屈辱以外の何物でもないと推測されるからである。また、日本医師会会長の周囲の取り巻き連中に、「会長、今は記者会見を開くべき時ではありません」と注進する勇気のある人物が一人でもいるとはとうてい思われないからである。

日時:13:24|この記事のページ

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