福田首相の突然の政権投出しを受けて、今、自民党では5人の候補者が自民党総裁選を行っている。しかし、総裁選といっても、世間の多くの人々は、麻生候補の総裁指名を確実視している。したがって、この総裁選は、実質的には、来るべき衆議院議員総選挙を見越した自民党の宣伝活動であると考えて間違いない。かたや民主党をはじめとする野党も総選挙モードに入っている。いよいよ、天下分け目の戦いが始まるわけである。
さて、衆議院議員の総選挙は、一体何のためにあるのかと自問すると、第1に、民意を問うためであるという答えが返って来る。時の政権党の方針と民意との間に齟齬がある場合は、政権党の方針ないし考え方を、民意に合わせる必要がある。
第2に、総選挙には、霞が関の官僚たちの独善と怠慢を防止する作用もある。どういうことかと言えば、長期政権が継続すると、自然に政権党と官僚たちとの癒着が起こる。癒着は、官僚の汚職とか無責任行政の蔓延などの腐敗を招く。双方の癒着関係が継続する限り、政権党(内閣)の官僚に対する厳格な指導・監督など無理だからである。しかし、政権が変わることで、癒着が断ち切られる。官僚が今までひた隠しに隠してきた自分たちに都合の悪い事実も白日の下にさらされ、国民の強い批判を受けることになる。
第3に、政権つまり権力を失った政党(政治家)は、なぜ選挙で負けたのかという点について、真剣に反省する機会を与えられる。政権の座から野党に転落することによって、冷や飯食いの悲哀を味わうことになり、本当に心を入れ替える契機となる。かつて、イギリスの思想家であるアクトン卿は、「絶対権力は絶対に腐敗する」と言い切った。したがって、定期的に政権が交代する必要性は絶対にあるのである。
私は、民主党の個々の政治家が自民党の個々の政治家よりも優れているなどとは思わない。また、小沢代表に特別に大きな期待をもっているわけでもない。しかし、旧態依然たる自民党・公明党の連立内閣が今後も継続する限り、日本国民にとって好ましくない状況が増大して行くことは、ほぼ疑いない。
とにかく政権が交代すること自体が一番重要なのである。
日本は、今後、深刻な少子高齢化社会を迎える。それだけに、政治家には、しっかりと国政を担ってもらう必要がある。仮に民主党に政権を取らせて、やはり政治がうまく行かないのであれば、再び総選挙を行って、また、自民党政権を作ればよいのである。日本は独裁国家ではないのであるから、でたらめの政策を行った政党が、そのまま政権の座に居座ることはできないのである。
とにかく、来るべき総選挙に大いに注目している。
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