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弁護士日記

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世襲政治を打破せよ

2022年05月11日

 昨日の新聞記事を読むと、元国会議員であった山下八州夫容疑者(79歳)が、愛知県警に逮捕されたという事件が報道されていた。昨日5月10日付けの産経新聞及び岐阜新聞によれば、岐阜県中津川市に住む山下容疑者は、現職の国会議員だけに与えられる「JR無料パス」を悪用し、東京・名古屋間の新幹線の往復特急券とグリーン券を騙しとったという。本人は、容疑を認めているとのことである。
 犯罪が発覚したのは、山下容疑者が、国会議員用の申込書に他人(現職)の名前を勝手に記入し(これは私文書偽造罪に当たる。)、それをJR東海(?)の東京駅の駅員に提示して、東京・名古屋間の東海道新幹線特急券とグリーン乗車券を詐取した(これは詐欺罪に当たる。)が、駅員が間違えて片道の切符を2枚発行したため、山下容疑者は、未使用の1枚を名古屋駅で東京行きの切符に交換した。ところが、名古屋のJR東海の駅員が、念のために国会議員用の申込書に記載された国会議員に確認の連絡をしたところ、当該議員は身に覚えがないと回答したようであり、そのため今回の悪事が発覚したというものである。仮に東京駅の駅員が、間違えて切符を発行していなかったとしたら、山下容疑者による小賢しい悪事は、闇のまま見過ごされていたことになろう。
 ここで、報道を見てもひとつ不明なのは、JR無料パスと、特急券・グリーン乗車券の相互関係である。JR無料パスだけを不正使用して得ることができるのは、乗車券(普通乗車券)だけなのか?つまり、特急券とグリーン乗車券を入手するには、別途、申込をする必要があるのか?という点である。仮にそうだとすると、今回、山下容疑者は、申込書に他人の国会議員の名前を記入して新幹線の特急券とグリーン乗車券を手に入れたということになる。
 山下容疑者は、1983年に国会議員となり、2010年の参議院選挙で落選した。すると、落選時から10年以上も経過していることになる。5月10日付けの岐阜新聞によれば、本人は、「落選後も継続的に使っていた」と供述しているようである。不正乗車を長年にわたって続けていたと推測される。
 山下容疑者は、逮捕が明らかになる時点まで、立憲民主党岐阜県連の常任顧問を務めていたようである。今回は、身内が不祥事を起こしたということで、日頃、口やかましい蓮舫議員なども、ほとんど口を噤んでいるように見える。このようなセコイ人物が立憲民主党の岐阜県連の大幹部を務めていたことから、立憲民主党の体質が明るみになったと言えよう。
 思うに、山下容疑者であろうと、あるいは自民党の国会議員であろうと、誰でも表では「国のため、郷土のため奉仕する」「有権者のご支援を得て国政に出させていただいた」などと立派な発言をするものであるが、内心は分かったものではない。特に政治経歴が長くなればなるほど、表と裏の顔に違いが生じてくるのではなかろうか。
 しかも、国会議員には経済的な特権がいろいろと付与されているため、長くやればやるほど「こんなうまみのある商売はない」と、内心ほくそえんでいるのではなかろうか。その証拠に、国会議員という人種は、当選した後は、当選を継続することだけが最大の目標となっていることをあげることができる。なぜ、最大の目標になるかといえば、政治家を継続することが自分個人の(精神的・経済的・社会的)利益になるからである。 
 これが、世襲政治の最大の弊害である。過去数十年にわたり日本社会を停滞させている最大の原因は、世襲政治の蔓延である。自分が現職にとどまり、また、自分の息子に政治家を継がせることが一番の目標となっているため、国家・国民の利益を増進することを可能とする思い切った改革が全くできないということである。
 下手に目立つと偏向マスコミから個人攻撃を受け、次回の選挙で落選させられる危険が生ずる。したがって、正論を主張して落選の憂き目を見るよりは、「黙っていよう」、「余分なことは言わないようにしよう」という保身の論理がまかり通るのである。結果、妖怪のような古だぬきの政治家が幅をきかすことになる。しかし、政治家などという職業は、もっと新陳代謝があってもよい職業である。常に新しい人が出てくるという方が良い。たとえ政治家の経歴が短い者であっても、非常時に、卓越した指導力・政治力を発揮する人間もいる。ウクライナのゼレンスキー大統領がその例である。
 以上のことから、日本を停滞させている世襲政治を打破するためには、国会議員の特権を廃止し、議員報酬も半減させるべきである。仮にそういうことができれば、政治家になってもうま味を得ることがほとんどできなくなるため、真剣に政治を志す青年・壮年層の者だけが、政治家を務めることができる環境が整う。生命エネルギーが枯渇し、国民にとっては毒にも薬にもならない状態に陥った年寄政治家には、一刻も早く完全に引退してもらいたいものである。
 どのような職業でも同じであるが、一定の職業を長く継続することは、芸術家のような一部の例外を除き、良くないことが起こる。良い見本が中・露のような独裁国家である。独裁者は、長期にわたって権力を握っている。そして、大きな顔して死ぬまでその権力にしがみつこうとする。人間として実に醜悪な姿である。老人は、さっさと一線から退場した方が良い。
 以上、国会議員の特権を廃止し、日本国憲法を改正し、衆議院議員の任期は、連続で5期までとするべきである。なお、無用の長物となっている参議院は廃止を検討すべきである。
(追記)
 現在も、全てを嘘で固めたロシアの悪党プーチンによる隣国ウクライナへの侵略が継続している。プーチンの嘘に比べれば、山下容疑者の詐欺行為など問題にもならない些末な出来事である。逆に言えば、侵略者プーチンの所業がいかに悪質で残虐なものであるかを物語っている。戦争の帰趨を予測する上で、5月中旬から数か月間は、世界にとってもまさに正念場である。自由と人権を尊重する国は、ウクライナを最大限に支援する必要がある。とにかくロシアが戦争に大敗北し、ウクライナの国土から完全に放逐され、後世に至ってから「侵略国ロシアの没落」の歴史が刻まれることを願うだけである。
 

日時:13:56|この記事のページ

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