058-338-3474

お問い合わせ電話番号
受付時間:午前10時~午後5時

電話でのお問い合わせ

弁護士日記

弁護士日記

真実は一つ、とは?

2022年08月11日

 本日(2022年8月11日)の岐阜新聞を見ると、「夫の上告棄却『真実は一つ』」という見出しの記事が掲載されていた。同記事によれば、週刊文春と週刊新潮の記事によって名誉を毀損されたとして、野田聖子議員の夫である人物が、発行元の文芸春秋社と新潮社を訴えた民事訴訟で、夫側の上告を棄却する決定をしたとのことである。
 週刊誌の記事によれば、野田聖子議員の夫が野田氏に依頼して、仮想通貨関連会社と金融庁の面談を設定させ、金融庁に圧力をかけたとされた。なお、野田聖子議員の夫の経歴についても、下記民事訴訟の判決において、一定の事実が認められた(経歴の詳細は、ネット記事に委ねる。)。
 これに対し、野田聖子議員の夫が、自分の名誉を毀損された(つまり、事実無根の記事を掲載されて自分の名誉が毀損された)と主張した民事訴訟において、東京地裁、東京高裁とも、名誉毀損の事実はないと認定した。さらに、最高裁も同様の判断を下した。つまり、民事訴訟において、一審(東京地裁)、二審(東京高裁)、最終審(最高裁)の3つの裁判所で、名誉毀損はなかったと判断した。
 野田聖子議員の夫は私人であるが、野田聖子議員は、現時点で衆議院議員であり、また、第1次岸田内閣においては閣僚も経験していることから、同じ政治家であっても、国政または社会に対する影響力は特別大きい部類に属する。したがって、野田聖子議員の家族である夫が過去にやったことについても、単なるプライバシーに属することと無視することはできない。つまり、その点について週刊誌等が公表することは、公共の利害に関わる事実となる。
 日本においては法律問題を最終的に解決する、つまりケリをつけることができるのは、裁判所である。普通の公的な立場にある人間の場合、判決が確定した以上、仮に内心では大いに不満であったとしても、確定した判決を公の場で否定したり、批判することはしない。仮にそのようなことが許されたら、社会が混乱し、社会秩序が破壊されてしまうことになる(このような態度は、判決を無視するという行動につながる。)。まさに、反社会的な思想を持つ団体(暴力団のような反社団体)や人物(暴力団員)が跋扈する社会になってしまう。絶対にいけない。
 ところが、岐阜新聞の記事によれば、野田聖子議員は、「今後コメントする」、「真実は一つしかない」と発言したという。これは、とんでもない発言である。野田聖子議員のいう「真実」とは、週刊誌の記事は虚偽であり、夫に対する名誉毀損が成立するという内容であることは、ほぼ疑いないからである。まさか「判決のとおりでございます。申し訳ございませんでした」と言うはずがない。
 憲法99条は、「天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負う」と定める。そうすると、国会議員である野田聖子議員は、憲法を擁護・尊重する義務を負うのである。三権分立の国家にあっては、法律問題についての最終的判断権は、司法府つまり裁判所にある。裁判所が自分の身内である夫に対して下した判決に対し、少なくとも国会議員が、公然と異を唱えることは許されることではない。
 しかし、現時点でそのような行動をにおわせている野田聖子議員には、国会議員としての資質が欠けていると断定するほかない。野田聖子議員の選挙区は、私が住む岐阜1区である。選挙のたびこの人物の選挙活動を横目で見ているが、どうしてこの人物が連続当選できるのかよく分からない(岐阜という「長いものには巻かれろ」という保守的風土が幸いしているのか?)。まして、一国の総理が務まるほどの見識とリーダーシップが備わっているとは到底思えない。一日も早く政界から引退し、一民間人となり、後は家族3人で東京で仲良く平穏な日々を送ってもらいたいものである。
 
 

 

日時:12:07|この記事のページ

ページの先頭へ

Copyright (c) 宮﨑直己法律事務所.All Rights Reserved.