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弁護士日記

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令和5年正月の新聞を読んで

2023年01月03日

 新年明けましておめでとうございます。
 ただし、この表現は慣習に従ったものであり、現実を直視する限り、2023年に起こるであろう世界の動向には厳しいものを感じざるを得ない。そこで、年始に当たって、まずは、二種類の新聞を読んでみた。
 手に取ったのは、現在定期購読中の、全国紙である産経新聞とローカル誌である岐阜新聞である。2023年の1月3日付けの産経新聞の1面には、20212年2月に公表されたEU世論調査の結果が示されている。国民が、政府を信頼しているか、また、同じく、国会を信頼しているかを国別に対比したものである。
 政府の信頼度について、英国、フランス、ドイツ、イタリア、スウェーデンの5カ国について、信頼度が高い順に並べると、➀スウェーデン61%、➁ドイツ48%、➂イタリア33%、➃フランス27%、➄英国22%となっている。
 高福祉・高負担のスウェーデンでは、国民が政府を信頼している割合が相当に高い。国に所得の相当割合を税金としてガッポリと取られても、安心して人生を送ることができる福祉国家である方が幸福を感じる可能性が高いということであろうか。やはり、国民の感じる「生活安心感」は、政治において重要と言える。
 かたや、多くの英国民は、政府を信頼していないようである。議会制民主主義の発祥国であるから、歴史的にみて英国民は自由と人権が最大限に保障されているはずである。しかし、不満が高い。かつて、「自由とは、自分が高収入を得ることができるかもしれない自由であると同時に、自分が貧困状態に陥るかもしれない自由でもある」という話を聞いたことがある(これは容易に分かる理屈である)。このように自由が完全に保障される社会には、反面、怖いものを感じる。では英国民の不満の原因は何か?この点は、国際政治学を専門とする研究者の公正な分析に委ねたい。なお、私自身は、なるべく格差のない社会を理想とする。
 次に、国会に対する信頼度である。高い方から掲げてみると、➀スウェーデン64%、➁ドイツ53%、➂イタリア29%、➃フランス27%、➄英国26%の順番であり、政府に対する信頼度と同様の結果となった。
 気になるのは我が国である。日本の場合、国民の政府または国会に対する信頼度は、どの程度なのか。イデオロギーに影響されていない公正かつ客観的なデータが知りたいものである。枝葉末節的なスキャンダルだけに食いついてくる左翼野党議員の姿を見ていると、本来の国会議員としての任務を放棄していると感じる。したがって、あくまで推測であるが、日本の国会に対する信頼度は、せいぜい20%から30%台程度であろうか?この点もデータとして公開してもらいたいものである。
 さて、産経新聞の社説(「主張」)を読むと、エネルギーと日本という見出しがあり、「原発活用で安定供給の確保を」という結論が示されている。
 私の考え方も同じである。国民生活あるいは産業の正常な運営のためには、電気は必要不可欠なものであり、地球温暖化の防止という観点から見ても、今後、石炭に期待することは難しく、co2を出さない原発の再稼働または新規建設(建替え)はあってしかるべきである。ただし、原発稼働の際において安全性が確保されることが最優先ではある。
 ここで「海外から液化天然ガスを輸入すればよいではないか」、「太陽光パネルを設置して太陽光発電で賄えば済むのではないか」という浅薄な反対意見が出るかもしれない。しかし、エネルギー資源のない日本にとって、エネルギーの大半を海外から輸入する、つまり依存するということは、非常な危険をはらむ。また、太陽光発電は発電量に限界がある。
 第1に、今後、ウクライナ戦争の行方次第では、エネルギーの価格が、今よりも高騰する可能性がある。その場合、国内の物価は、ますます上昇し、国民の生活が圧迫され、政府に対する不信感が増すことになる。政治の不安定化は、国力の衰退を意味するだけである。
 第2に、日本は島国であるから、エネルギーは、基本的に船に載せて日本本土に運ぶほかない。仮に中国が台湾に侵攻し、一帯を海上封鎖した場合、民間の輸送船が付近を航行することが事実上困難となり、ひいては中東からのエネルギーの確保自体が難しくなる。あたかも昭和10年代後半に発生した太平洋戦争の当時に日本が経験した大苦難が、再度、日本を襲うことになるであろう。そのようなことになったら、たちまち日本は、現在の経済大国の一員から、経済貧困国に転落してしまうであろう。
 このような懸念に対し、2023年1月3日付けの岐阜新聞社説(共同通信社の人間が執筆していると聞く。)は、例のごとく政府の方針に対し否定的なコメントを付けている。「首相は拙速を慎み、国会の質疑には時間をかけ謙虚に対応すべきだ」としている。これは左翼野党の立場と同じ姿勢である。
 エネルギーは、人体に例えれば、栄養源(糖、タンパク質、脂質など)であり、また、水でもある。よく災害報道などで、「被災してから72時間以内に救出されないと生命に危険が及ぶ」と言われる。日本にエネルギーが入ってこないということは、人体に置き換えると、直ちに生命の危険が発生するということである。しかも、上記のような懸念は、現時点で「想定内」の話である(決して想定外の話ではない)。
重要なのは、海外からのエネルギーの供給がストップして日本経済が根底から破壊され、多くの日本人が悲惨な目に遭うかもしれないリスクと、再稼働した原発が重大な事故を起こすかもしれないリスクを比較し、科学的に検討するという態度であろう。仮に後者のリスクの方が前者のそれよりも小さいと判断できれば、原発の再稼働を積極的に推進すべきである。あるいは核融合による発電技術の開発などを国家をあげて進めるべきである。
 今後2年も3年も時間をかけて、小田原評定的な議論するという事柄ではない。岐阜新聞社説は、想定内の危険に対し、「首相は拙速を慎み」などと批判するが、このような、だらだらとした無為無策状況の継続を助長するような間違った批判は、日本の国益を本心から考えていない証拠と考えるのが相当である。いつものことであるが、話にもならない愚説の垂れ流しである。
 (追記)
 箱根駅伝で、駒沢大学が優勝した。この結果は予想通りであったが、正直、面白くない。監督が好きではないためである(ちょうど、私が中日ドラゴンズが好きで、巨人が嫌いであるのと似ている)。2位は中央大学であり、これは良かった。この大学は法曹界において大きな存在感があり、「文武両道」の精神が窺えるからである。3位は、青山学院大学であり、これは惜しかった。私は、テレビのコメンテーターとして時折発言する原監督の姿を見ているが、発言内容はまともであり、評価をしていたからである。来年は、青山学院大学にリベンジを期待したい。

 

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