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弁護士日記

弁護士日記

名古屋高裁で和解した

2015年04月21日

 以前、平成24年7月の弁護士日記に登場した佐藤氏(ただし、仮名です。)から、昨年12月に訴訟の代理人を依頼された。今回の事件というのは、前回、佐藤氏が自宅の所有地について時効取得を主張した事件で勝訴した一件に関連する。前回、岐阜地裁で勝訴したことは良かったが、勝訴後、隣地所有者A氏がコンクリートブロック製の境界塀を新たに作ったことが原因で、佐藤氏は、自宅から車で公道に出入りする際に、極めて困難を感じるようになった。
 そこで、佐藤氏は、別の隣人B氏と交渉して、自宅から車が出入りする際に邪魔になっている隣人B氏の所有する塀の一部を少しだけ後退させるよう頼んだ。しかし、交渉は決裂したので、平成25年の夏に、佐藤氏は、岐阜地裁に対し通行権の確認を求めて訴訟を提起した。その際、佐藤氏から、私に対し、代理人になって欲しいという依頼があったが、しかし、この事件は完全に負け筋の事件であると判断したため、弁護士費用が無駄になるという理由で依頼を断った。
 そのため、佐藤氏は、弁護士を付けることなく、いわゆる「本人訴訟」を起こした。その後、昨年の12月になって佐藤氏から私に連絡があり、「判決で完全に負けました。しかし、名古屋高裁に控訴して争うので、控訴理由書を書いて欲しい。また、名古屋高裁では代理人になって欲しい。」という要請があった。
 私は、本人が懇願するので、重い腰を上げて代理人に就任することを了解した。
 私の訴訟スタイルは、いったん訴訟提起を決意した以上、躊躇することなく迅速に準備し、かつ徹底した訴訟遂行を行うというものである(準備書面は、普通の2~3倍の量を提出している。)。
 そこで、私は、すぐさま現地を訪問し、佐藤氏が、車で自宅から公道に出入りすることが非常に困難であることを立証するためビデオ撮影を行い、証拠として提出するとともに、年が明けてから、数日間かけて控訴理由書の作成に集中した。
 ただし、佐藤氏には、受任時に、「この事件は99パーセント負けの事件です。」、「高裁で逆転判決が出ることはあり得ません。」と伝えてあり、佐藤氏もそのことをよく理解していた。
 受任と同時に、私は、佐藤氏にとって少しでも有利な解決ができないものかと頭をひねった。その結果、これは裁判の定石であるが、判決で負けた以上、高裁で和解を成立させるほかないという方針を決定した。その結果、名古屋高裁では、3回目の弁論準備手続きにおいて、佐藤氏が、岐阜地裁に提訴する前に、隣人B氏に要望していた内容とほぼ同じ内容の和解が成立した。和解は、本年4月17日に無事成立したのであった。和解が成立した後、佐藤氏は本当に安堵した表情を浮かべていた。私としても、40年来の友人である佐藤氏を助けることができて良かったと感じた。
 今回の事件を含め、佐藤氏から依頼があった事件は、全部岐阜地裁で審理されたが、全3件のうち2件が佐藤氏の完全勝訴判決で終了し、3件中の今回の1件は、地裁では完敗したが高裁で和解をまとめることによって負けの結果を帳消しにすることができた。つまり、過去3件負けなしということである。

日時:14:28|この記事のページ

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