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弁護士日記

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軽すぎる刑罰の見直しが必要だ

2023年02月06日

 今年に入ってから、全国で被害が出ている連続強盗事件に関するニュースが大きく報じられるようになった。特に今年の1月下旬頃からは、フィリピンの収容施設に入っている4人の首謀者について、日本への引渡しがいつになるのかという点が注目を集めている。2月6日午後の時点では、4人同時の強制送還は実現していない。4人の刑事責任を追及するためには、1日でも早い4人同時の日本への送還が望まれる。
 さて、なぜ凶悪な強盗事件が急激に増えたのか?テレビのワイドショーなどでは、オレオレ詐欺や振り込め詐欺については、国民への啓発活動などが次第に効果を発揮し、このような手口について国民が警戒するようになり、結果、犯罪の成功率が低くなってきたため、多額の現金を手に入れる方法として、強盗という荒っぽい手段をとるようになったという状況分析が行われている。おそらくその分析は正しいであろう。
 また、強盗事件以外の、過去に4人が関与したと推定される詐欺事件についても、一説によれば被害額は合計で60億円とも言われる。とんでもない金額である。かつて東京の府中で有名な「3億円事件」があった。未だに犯人は逮捕されず、事件は時効になってしまった。3億円事件の当時と、現時点では、物価が違うため単純比較はできないが、おそらく詐欺事件の被害額は、3億円事件の被害額を優に上回っているのではなかろうか。しかも、被害者は全国の多くの罪もない人々である。特に、高齢者がターゲットになっている。大事な老後の預金を騙されて、悪党どもによって奪われた高齢者の気持ちを考えると、絶対に許せない。
 では、日本のような法治国家では、犯罪者に対しどのような報復をすることができるのか?ここが重要な問題である。被害者個人個人が、めいめい勝手に犯罪人に対し仕返しをして憂さを晴らすことは許されない。すべては、国家に委ねられる。具体的に言えば、犯罪人は、刑事裁判を通じて刑に服するということで納得するほかないのである。
 では、刑法は、詐欺罪についてどのような刑罰を定めているかと言えば、「10年以下の懲役」である(刑246条)。また、詐欺罪をいくら数多く実行しても、まとめて刑事裁判にかけられた場合、基本的に15年以下となる(併合罪加重。刑47条)。60億円を稼いだ悪党どもは、最高で15年間の刑期を務めれば、釈放され、再び、悪事を働くことが可能となる。例えば、30歳で刑務所に入っても、45歳の若さで堂々と外に出られるということである。これはいかにも軽すぎる。被害額の大きさと刑罰の重さが全く均衡していないからである。
 また、強盗犯であっても、被害者を死なせない限り(強盗殺人でない限り)、たとえ被害者に大けがを負わせ、一生寝たきりの障害者にしたとしても、現行刑法では、「無期または6年以上の懲役」で済む(刑240条)。条文では、無期刑も入っているが、日本という国では、なぜか温情ある裁判官が多いため、余程のことがない限り無期刑を言い渡されることはないというのが実情である。
 しかも、有期刑は上限が30年までとされている(刑14条)。やりたい放題の無茶苦茶をして多数の被害者を出す結果を招いても、死亡させない限り、刑務所で30年間だけ我慢をすれば、刑事責任に関する限りすべて済みということである。例えば、30歳で刑務所に入っても、60歳で大きな顔をして出られるということである。
 これは、いかにも軽い過ぎる。凶悪犯罪を撲滅するためには、有期刑の上限を、現行の30年から50年程度にまで延長すべきである。
 そのように刑法を改正したとしても、不利益を受けるのは犯罪者(悪党)どもであり、犯罪に無縁の一般の善良な市民には悪影響は一切及ばないはずである。
 国から多額の歳費(給与)を貰っている野党議員は、国会において政府高官の些末な問題発言を追及することなどに全精力を傾けるのではなく、多くの国民が恩恵を受ける政策(法律)を実現するよう働くべきである。そうすれば、議席も多少は回復するのではなかろうか。

日時:15:48|この記事のページ

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