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弁護士日記

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死刑廃止論の間違いを指摘する

2024年02月14日

 死刑は、刑罰の一種である。その歴史は古く、おそらく人間社会が成立した時代からあったのではないか?ただし、歴史的な分析は、その道の専門家に見解に委ねる。
 刑罰とは、一言で表せば、共同体の秩序(ルール)を破った者に科される制裁ないしペナルティの一種であり、これを科せられる者には苦痛が生じる(苦痛のない制裁はあり得ない)。制裁を科する必要があるのは、共同体の秩序と平和を維持するためであり、面白半分で科するものではない。
 国家・国民にとっては、日々、定められたルールに則り、各自が自由に活動することによって社会が維持され、発展することができる。ところが、そのようなルールを破って不当に利益を得ようとし、または目的を達成しようする者が出てくる。その最たるものが、殺人行為であり、強盗殺人行為である。犯罪人が出現することを未然に防止する有効な手段が刑罰であり、死刑は、その威嚇力から、一番優れたものといい得る。
 さて、死刑廃止論者の法的根拠とは、憲法36条であり、同条は公務員による残虐な刑罰を禁止している。しかし、もともと刑罰の一種類として死刑というものが存在し、その歴史は長いことを考えると、死刑が直ちにここでいう残虐な刑罰に該当すると解釈することには無理がある。憲法は、「死刑を禁止する」とは言っていないのである。
 そうすると、憲法が禁止する死刑は、例えば、磔(はりつけ)、火あぶり、ギロチンのように、罪人に対し、ことさら多大の苦痛または恐怖を与えるものを指すと解釈することが正当である。したがって、絞首刑自体は憲法が禁止するものではない。
 最近では、国際法がこれを禁止しているという点を指摘する者もいるが、憲法は、国際法に優越するものであり(憲法優位説)、日本国憲法が、我が国の絞首刑を禁止していない以上、このような理屈は通用しない。日本には日本独自の文化があり、その根本的精神を曲げてまで西洋人にこびへつらう必要などないのである。
 思うに、死刑廃止を唱える者たちから見て、死刑制度廃止を実現することが、どのようなメリットを社会にもたらすのであろうか?よく考えてみると、メリットは何もない。単に、凶悪犯罪人がこの世で生きながらえることが許されるということだけである。
 しかし、このような事態は、凶悪犯罪人によって生命を奪われた被害者(遺族)の心情または立場を考えた場合、きわめて一方的で不合理な結論というべきであって、とうてい支持できない。
 しばしば、刑事裁判においては、被告人が反省しているか否かが問われることがあるが、殺された被害者はもはやこの世にいないのである。仮に、法廷で100回謝ってもらっても、ほとんど意味はない。また、被告人の不幸な生い立ちも問題となることもあるが、そのような事情は、被害者遺族側から見れば、「関係ない」ということである。結論として、凶悪殺人犯は、自らの命をもって贖罪する以外にないのである。
 さらに、死刑が無くなれば、どのような凶悪犯罪人であっても、無期懲役刑を受けることになって、国家としては、その者を終身にわたって管理するための予算が必要となる。しかし、これは予算の無駄使いである。そのような無駄な金があるのであれば、より国民にとってためになる用途に充てるべきである。死刑廃止論は、間違った無用の議論である。
 
 
 

日時:18:24|この記事のページ

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