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弁護士日記

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法律相談のうまい受け方

2009年09月09日

 一般市民の方々が弁護士に法律相談をされる際に、どのような点に留意する必要があるか。弁護士サイドから見た留意事項を以下にあげてみるので、参考になれば幸いである。
(1)相談時には、問題点を記載したメモを持参する。
 法律相談を弁護士に頼む際に、口頭でいきなり相談内容を説明していただくよりは、書面に書いてそれを弁護士に見せた上で相談をしていただいた方が良い。さらに言えば、相談日の前に、あらかじめ事実関係および相談したい点を記載した書面を弁護士あてに送付していただくのがベストである。なぜなら、事前に相談内容が判明しておれば、弁護士としても時間的余裕をもって相談に関する問題点を整理した上で、十分な回答内容をまとめておくことができるからである。
(2)相談者は、あくまで紛争の当事者であることが望ましい。
 法律相談の場合、現に相談に来られるのは、ほとんどの場合、法的な問題を抱えたご本人である。しかし、ときどきではあるが、当事者ではなくてその親族とか身内の方が相談をされることがある。
 例えば、自分の息子とその嫁の仲が悪化して別れ話が出ているが、どうすればよいか、というような相談がこれにあたる。親としては、結婚した息子のことが心配で相談をされているのであろう。その気持ちは分かる。しかし、紛争当事者以外の第三者の話というのは、あくまで紛争当事者から聞いた話にすぎない。したがって、正確性に問題がある場合が多い。弁護士としては、正確な情報をもとに法的判断を下すことを基本とする以上、前提事実があいまいでは、明確な回答をすることもできない。したがって、紛争当事者ご本人が直接、弁護士に相談をされるのが一番望ましいと言える。
(3)弁護士の回答が期待外れの場合
 相談者の立場から言えば、自分の相談に対し、弁護士が自分の期待した回答をすれば、納得がいくし、気分も良いものである。反対に、相談者の期待に反した内容の回答が弁護士の口から出た場合は、気分が悪いし、素直に納得もできないであろう。それは、人間の心理として致し方ない。
 しかし、弁護士の立場から言わせていただくと、あくまでプロとして法律相談を行っているのであるから、「黒」を「白」ということはできない。例えば、交通事故相談において、相談者の方から、このような損害を請求したいという相談があったとする。その場合、弁護士である私としては、従来からの法律解釈や過去の判例から見て判断を行う。その結果、そのような請求をすることは、無理又は極めて困難と判断した場合は、率直に「それは難しいです。」と回答するようにしている。仮に、ここで、内心は無理と判断しても、事件依頼が欲しくて「もちろん請求できます。大丈夫です。私にお任せください。」と回答したとしたら、それは、相談者に対し、重大な背信行為を行ったことになる。そのようなやり方は、あってはならない。
 ただし、正確な回答をお話した上で、それでも相談者が、「難しいことはよく分かりました。でも、請求をしてみてください。」と言われた場合は、私としても、諸般の事情を勘案した上で、請求が認められる可能性が僅かでもある限り、裁判上の請求を行うこともある。
(4)別の弁護士の意見を聞く。
 最近は、昔と違って司法試験の合格者が急激に増加している。一昔前は、年間合格者はおおむね500人程度であった。それが最近では2000人を超える水準にまで行っている。これは、2001年6月に出された司法制度改革審議会の意見書が契機となって司法試験の合格者を年間3000人にまで増加させるという実に無謀な計画が実施されてきたためである。アメリカ流の法曹養成制度・司法制度を理想とする学者や財界人がこれを推進した。また、過去の弁護士会の最高幹部の中にもこの方針に賛成した者が少なからずいたと承知している。
 しかし、現在の多くの弁護士は、このような計画が完全に間違ったものであることに気が付いている。最近、弁護士に対するアンケート調査を中部弁護士連合会が行った。これによれば、司法試験合格者数を年間1000人以下とすべきであるとの回答が実に65パーセントを占めたということである。
 話を元に戻すが、このように弁護士が増加した結果、必ずしも経験と知識が十分に備わっていない弁護士が多く存在するに至った。そのようなヒヨコ弁護士に相談をして間違った回答をされるということもある程度覚悟しておかないといけない。
 そこで、「弁護士に相談したが、回答がおかしい。」と感じられた場合は、別の弁護士に相談をされることをお勧めする。別の弁護士も同様の回答を示した場合は、相談者の単なる認識不足ということになって、結果的に安心できるからである。

日時:13:26|この記事のページ

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