先週の日曜日(6月26日)に、NHKの朝の番組で日本共産党の藤野保史政策委員長が、信じ難い暴言を吐いた。このNHKの番組は、日曜午前9時から始まる「日曜討論」という番組である。
私は、昔から政治問題に興味があり、この手の番組はなるべく見るようにしている。この日も、フジテレビの新報道2001を見てから、NHKの日曜討論を見た。ただ、日曜討論では、各党の政策責任者などが顔を揃えて、いろいろと持論を展開するのであるが、私の場合、民進党や共産党の主張は、ほとんど無視している。理由は、主張内容が幼稚すぎるためであり、また、ごまかしが多すぎるからである。つまり、まともに聴く価値がないということである。
この日は、日本共産党から、今回の暴言を吐いた藤野保史議員が出席していた。私は、この人物は、最近になって知った。小池晃議員のように昔から顔を知っていなかった。私が藤野議員の顔を見たところ、何かの思想に洗脳されているような印象を受けた。何か危ない人間であるような気がした。
各党の責任者が、その後もいろいろと持論を述べていたが、私としては、「見る価値なし」と判断してテレビを切ってしまった。その後、藤野議員の暴言が出たようである。
報道によれば、藤野議員は、防衛費は「人を殺すための予算である」と発言した。全く国家政治のイロハすら分かっていない低レベルの発想である。世界の国のうち、周辺諸国から少しでも圧力や軍事介入を受ける危険のある国で、防衛のための部隊ないし装備を保有しない国はない。
我が国の場合は、動物に例えれば、周辺諸国は、いわば「危険生物」と言ってよい国ばかりの国家である。ここでいう「危険生物」とは、あくまで比喩であるが、自分の主義主張に反し、利害を異にする国は、軍事力(実力)を用いても支配下におこうという意思と能力を具えた国を指す。
具体的には、ロシア、中国、北朝鮮である。これらの国は、いずれも核弾道ミサイルを保有するまさに札付きの「ならず者国家」である。これらのならず者国家に対し、我が国に対する軍事侵略をあきらめさせるための対策・手段が、軍事力の保持・整備なのである。その軍事力を保持・整備するための予算が防衛費ということであるから、これは、国家の存立に必要不可欠の極めて大切な予算ということができる。
また、防衛費は、自衛隊を維持・運用するために使われるが、自衛隊は、我が国において自然災害が発生したときなどの緊急事態において、真っ先に災害発生現場に急行し、国民の生命・財産を守るための尊い活動をしている。そのことは、中学生でも分かっている常識である。ところが、日本共産党の藤野議員は全く分かっていなかったようである。
藤野議員の今回の発言に対し、日本共産党は、6月28日の夜になって、「党の方針と異なる発言をした」という理由で、党の政策委員長を辞任させた。しかし、これには違和感がある。建前と本音に食い違いがある。
党の政策委員長が、NHKの討論番組で党を代表して公的な立場で発言したものである以上、その発言は、もちろん日本共産党の方針を踏まえてなされたものと考えるほかないからである。「党の方針と異なる」のではなく、「党の本心をうっかりと公共の電波を使って話してしまった」という重大ミスを問われて辞任をしたと考えるのが正しいのではなかろうか。
日本共産党は、かねてより「自衛隊は憲法違反の存在である」という方針で一貫しているのであるから、仮に日本共産党が、今後もその方針を堅持する以上、憲法違反の組織を維持するための国家予算の配分など絶対に認められないということにならざるを得ない。自衛隊は憲法違反の(本来存在してはならない)組織である=自衛隊は人を殺すための無用の組織である、という考え方には、共通点が見られる。
参議院選挙を前に、野党第一党の民進党は、日本共産党と連携して多くの統一候補を推しているが、国家にとって極めて重要な防衛問題に関し、民進党は、果たして日本共産党と見解を同じくしているのであろうか?
仮に、「根本的に違う」とした場合、推薦した候補者が当選した場合に、その者(当選者)は、その後、民進党の決定に従うことになるのか、あるいは日本共産党の決定に従うことになるのか?また裂き状態に置かれることになる。したがって、選挙民としては、現時点で既に重大な矛盾を抱えていることが明らかな候補者には投票しないのが賢明といえよう。
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