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弁護士日記

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森友学園問題に関する野党とマスコミの間違った姿勢

2017年03月27日

 先週の木曜日は、国会に森友学園の理事長である籠池泰典氏が証人として出席し、与野党の議員からいろいろと質問を受けた。私は、そもそも、国家の重要問題でも何でもない国有地の払い下げ問題ごときについて、一民間人にすぎない籠池氏を証人としてわざわざ喚問する必要はないとの立場をとっていた。
 ところが、与党の側も籠池氏の証人喚問に賛成し、今回の事態が発生した。私は、この問題について籠池氏が何を語るのか、大いに興味があったので、事務所のテレビで証人喚問の様子を全部見た(正確には、一部の野党議員の質問時に「実に下らない」と感じ、ごく短時間だけ席を外したことがある。)。
 私が見た籠池氏は、発言に淀みがなく、率直に語っているように見えた。もともと、あのようにハッキリと物を言うタイプであったようである。余談になるが、過去に大手商社の副社長が証人として国会に出たときに、体やペンを握っている腕が震えて、なかなか書面に自分の署名捺印をすることができなかった光景を思い出す。その人物の態度と比較すると、雲泥の差であった。大手商社の副社長といっても、会社内では部下に対して威張りくさり、威厳をもってその地位を誇示していても、公の場に出れば、あの程度の小心者であるという証明が白昼にされてしまったのである。
 話を戻す。確かに籠池氏は、堂々と語っていた。しかし、証言の内容については、確たる証拠を示すことなく、一方的に自分の認識する事実を語るにすぎず、果たして本当のことを言っているのかどうかという点については、大いに疑問が残った。
 籠池氏が語った内容のうち、本件の核心部分とは、国有地の払い下げに関する点である。なぜ、評価額9億5600万円の国有地が、短い期間内に1億3400万円にまで大幅減額されたのか?この肝心の点について、籠池氏は、当時代理人であった弁護士に委ねていたため、詳細は分からない、ともかく大幅に減額されたことを聞いて「びっくりした」と証言している。
 おそらく、当時の代理人弁護士が腕利きの有能な弁護士であったため、財務局との交渉の結果、財務局つまり国が譲歩を迫られて、大幅な減額が実現したものと推察するのが最も合理的である。この点について、野党は、「忖度があったのではないか?」と追及をしているが、財務省の二人の局長は、国会の参考人質疑の際に、そのようなことはなかったと明白に否定している。また、安倍首相の側も口利きをしていないと否定している。したがって、安倍首相の方から口利きがあって、国有地の払い下げ価格が大幅に低下した事実は認められないのである。野党の考え方は、たんなる邪推にすぎないのである。なぜ、そのような邪推ないし言い掛かりを安倍首相側に対して行うのかと言えば、答は簡単である。次の選挙で、議席を増やしたいからである。動機は、単なる党利党略にすぎないのである。決して国民のことを真剣に考えて、わいわい騒いでいるのではない。
 国有地の払い下げの価格の相当性については、憲法上独立した地位と専門知識を有する中立的な機関である会計検査院に委ねることが適切であると考える(憲法90条)。
 多くの国民は、そのことを見透かしているため、直近の世論調査でも、安倍内閣の支持率がほとんど低下していないのである。私は、言いたい。「野党の諸君よ、馬鹿馬鹿しい議論はもう止めにした方が良い」と。仮に、野党が議席を伸ばしたところで、何か良いことが我が国に生じるかと言えば、何も生じないのである。過去の民主党政権のことを思い出すと、経済は低迷し、国民の内心に何か暗雲がただよっているような暗い時代だったのである。また、今後も絶対野党の地位にあろう共産党についても、口を開けば、「我が国の軍事費が増大しているのはけしからん」と、全く話にもならない妄言を唱えている。そのくせ、軍事予算を年々増大させ、近隣諸国に対する「力による現状変更」を何とも思わない姿勢を露わにしている中国に対しては、一言も言わない。共産党は、現状を正しく認識する能力が欠如しているのである。また、その他の野党は、議員数が数名足らずの「ミニ政党」にすぎず、国民の支持を受けていないことは明らかである。
 以上のことから、国民の大多数が、現在の安倍政権を支持しているのは理由があると考える以外にない。なお、籠池氏が国会で語ったその余の話(100万円を昭恵夫人から貰ったというような話)は、特に違法性もなければ、社会的にみて相当性を欠くような話ではないのであるから、国会で議論するような問題ではない。いわゆる、取るに足らない問題ということである。貰っていようといまいと、どっちでもよいことである。
 なお、民進党の福山氏は、国会での偽証罪の担保がある証言と、昭恵夫人のフェイスブックでの発言は異なると主張しているが、その理屈もおかしい。検察が、籠池氏を偽証罪で起訴するのは簡単なことではないからである。結果、嘘を述べても、現実には検察が起訴をすることは限りなくゼロに近いのである。
 そのことは、日頃行われている民事訴訟を見ても分かる。法廷で宣誓をして証言をする証人に対し、もし嘘の証言をした場合、偽証罪で罰せられることがあるとの注意を裁判官から受ける。ところが、現実に真っ向から対立する証言が出ることがしばしばある。その場合、論理的には、必ずいずれかの証人が嘘を言っていることになるが、現実に、証人が偽証罪で起訴されたという話は聞いたことがない。つまり、偽証罪の罰則があってもほとんど効果はないのである。したがって、籠池氏の証言と昭恵夫人のフェイスブックにおける釈明の間には、信用性の観点からは、ほとんど差がなく、昭恵夫人をわざわざ国会に呼ぶ意味は全くないということである。民進党の福山氏の意見は間違っている。
 私としては、野党及びマスコミに対し、今回のようなどうでもよい問題に多大の時間と労力を割くのではなく、我が国が直面する重要問題について十分な議論を行うことを期待するものである。

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