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弁護士日記

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人の評価について

2017年09月26日

 我々、一般国民は、日々、それぞれの社会生活を送っている。
 当然、多くの人間が集まって地域を構成しているのであるから、利害関係によって人間同士の親疎が生ずる。
 私は、ここで大きく三つに類型化してみた。
 一つは、親しい関係ないし良好な人間関係である。親しい関係や良好な人間関係が発生する大きな原因は、利害が一致するということである。ある人物Aと別の人物Bが、お互いに協力して何かの目標を達成しようとしている場合、AとBとの関係は良好ということになる。
 例えば、理事長Aが経営するB病院に、Cが看護師として雇用されている場合、病院経営者であるAとしては、従業員であるCに頑張って働いてもらう必要がある。かたや、Cは、Aが経営するB病院から給与を得て、生活しているため、B病院が存続することを願っている。ここで、両者の利害は合致し、従業員Cは、理事長Aの指示命令に逆らうことなく、原則として、Aから言われたままに行動する。
 二つ目は、毒にも薬にもならない一般的な関係である。B病院に入通院していない一般人にとっては、B病院の医療レベルが高いかどうか、あるいはB病院の医師が優秀で人間味のある医師かどうかなどの点は、全く関心がない。したがって、大多数の一般人にとっては、B病院は味方でもなければ敵でもなく、関心は薄い。
 三つ目は、敵対関係である。なぜ敵対関係が発生するかであるが、一番大きな原因は、利害の不一致である。例えば、患者Dは、B病院で手術を受けたが、B病院の医療ミスによって重い後遺症が残った。患者Dは、B病院に対し、誠意ある回答を求めて話合いを提案した。しかし、B病院は、いっさいミスを認めようとしない、また、話合いのテーブルにつくことを拒否しているような場合がこれに当たる。
 この場合、理事長であるAが、事務方の責任者Eに対し「今までよくやってくれた。今後、(患者Dから何か連絡があっても)対処しないでよい。」などという間違った指示を行った場合、患者Dとしては、涙を飲んで泣き寝入りするか、あるいは、弁護士に委任してB病院と徹底的に闘うほかなくなる。
 この場合、理事長Aと患者Dとは、敵味方の状態に陥る。人間としての当然の反応として、Dは、「もう対処しないでよい」と言い放った、誠意のかけらもない理事長Aを人間として憎むことになる。かたや、理事長Aは、事実を知る少数の執刀医や手術のスタッフと密談を行い、患者Dを、不当な要求を行う「悪者」に仕立て上げようとする。何も事実を知らない病院のスタッフに対し、「患者Dの要求は不当なものである。無理を言っているのは患者Dである。」という印象を植え付けようとする。これに、B病院の代理人となった弁護士が加わり、訴訟上の作戦を立てる。
 これに対し、B病院に医療ミスがあったのかどうかを判定するのは、提訴を受けた裁判所の裁判官である。医療訴訟の場合は、現実には、合議制で審理を行うのが当たり前となっているようであるが、裁判官の仕事は、あくまで、民法の条文に照らして、B病院に過失ないし注意義務違反があったか否かを審理するにとどまる。
 裁判官の仕事は、あくまで法的判断を行うことにとどまる。
 したがって、担当裁判官が、いくら患者Dが可哀そうだと感じても、B病院に法律違反の証拠がない限り、B病院の責任は否定せざるを得ない。
 逆に、B病院の執刀医がベストを尽くしたことが真実であったとしても、裁判官がそれを認めない限り、B病院の責任が肯定される。その場合、その判決結果が地元新聞紙に公表されれば、B病院としては計り知れない打撃を受け、下手をすると廃業に追い込まれることにもなりかねない。
 このように、一般論としていえば、他人の身体、生命、健康に悪影響を及ぼすことが紛争の原因となっているケースにおいては、他人に被害を与えている側が、事前に、できる限り十分な被害防止策を講ずる必要がある。
 また、心ならずも紛争が発生した場合は、紛争の芽が小さいうちに、双方で冷静な話合いを行い、それ以上事態が悪化しないよう、早期に解決するのが一番である。
 一番いけない態度とは、総責任者に当たる人物が、被害を訴えている人がいることを知っているにかかわらず、傲慢な態度に基づき、事態を見誤って、部下に対し、「これ以上対処しなくてよい。」という間違った指示を出すことである。この点において、まさに危機発生時におけるリーダーの資質が問われるのである。

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