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弁護士日記

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東日本大震災と東京電力の賠償責任

2011年05月09日

 2011年3月11日に発生した東日本大震災から生じた巨大津波によって東京電力の福島第一発電所が壊れ、放射能の汚染の問題が発生した。放射能汚染を原因とする損害賠償責任について誰が負担するのかという問題がある。
 この点について、現在、国の原子力損害賠償紛争審査会が検討中とのことである。 
 問題の焦点は、東京電力が全部の損害賠償責任を単独で負うことになるのかどうかであるが、現在の政府の方針は、第一次的賠償責任は東京電力にあるが、東京電力だけでは賠償金をまかないきれない場合には政府が財政的な支援を行うという方向である。
 私にいわせれば、国が財政支援をするのは当然のことである。なぜかといえば、今回の放射能汚染は、大震災から生じた巨大津波に原因があるといえるからである。東京電力の人為的ミスによってこのような事態が生じたものではないからである。
 さらにいえば、東京電力は、自民党政府の時代から国策としての原子力発電に協力をしてきた。また、国の原子力安全保安院の示す安全基準を守ってきた。法律的にいえば、自分の落度がないにもかかわらず、賠償責任だけを負わされている状態であって、このような状態は尋常ではない。
 また、東京電力は民間企業である。しかし、電力供給という国民の生活又は企業活動に直結する重要な役割を担っている企業である。地域独占が認められていることをも考えると、公営企業の性格が色濃いのである。
 したがって、国民としては、東京電力が民間企業として今後も存続できる形を保証してやる必要がある。仮に、「東京電力はどうなってもよいが、電力の供給だけは確実にするべきだ」などという虫の良い考え方があったとしたら、考え違いも甚だしい。
 電力会社の経営がおかしくなるということは、電力の供給も不安定になるということなのである。例えば、真夏の昼間の高温時に電力の供給が急に途絶えて、地域の住民が大変な目に遭うということなのである。だが、そのようなことはあってはならない。
 そのためには、電気料金の値上げもやむを得ない。われわれ国民は、値上げされた電気料金を支払うという形をとって、放射能汚染による被害を受けた方々を援助するべきだと考える。
 ところが、テレビのニュース番組などをみていると、「国民としては電力の値上げに理解を示すことは難しい」などというおかしなコメントを聞くことがある。しかし、このような考え方は、間違いである。国民が、快適な生活を維持したいと希望するのであれば、それ相当の負担をする覚悟が必要であると私は考える。

日時:17:10|この記事のページ

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