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弁護士日記

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東海市の女性拉致殺害事件に関する疑問点

2012年03月01日

 最近、毎日のように新聞に書かれているのが、愛知県東海市に住む相川比奈江さん(48歳)という女性が、昨年11月7日に失踪後、今年になって岐阜県御嵩町内において死体で発見された事件に関する報道である。
 新聞各社の報道によれば、警察は、事件に関与したとして岐阜県各務原市鵜沼朝日町の会社「プロスワン」社長の市川孝之容疑者(45歳)と、岐阜県輪之内町の会社「東輪化学工業」の社長の小川卓美容疑者(53歳)を、それぞれ加害目的略取容疑で逮捕した。
 加害目的略取罪とは、刑法225条に定められている。犯人には、1年以上10年以下の懲役刑が科せられる。しかし、警察が立件しようと考えているのは、単に加害目的略取罪だけではないであろう。略取(日常用語でいえば、「拉致」を指す。)された相川さんは殺害されているのであるから、今後、容疑が固まり次第、犯人を間違いなく殺人罪で逮捕するはずである(刑法199条。死刑・無期・5年以上の懲役刑)。さらには、殺人罪による起訴を視野に入れていることも疑いない。
 新聞報道によれば、殺された相川さんが勤務していた愛知県東海市の会社「富田日中貿易」と、市川容疑者が株主を務める親族経営の金属会社との間で、銅粉の売買契約にからむトラブルが発生していたという(朝日新聞2012年2月27日付け朝刊。ただし、他の新聞社報道には、富田日中貿易とプロスワンの間でトラブルが発生していたとするものもある。)。そして、富田日中貿易は、昨年10月13日に、上記金属会社を被告として、2000万円の支払いを求めて名古屋地裁半田支部に提訴したという。
 その後、市川容疑者は、相川さんに連絡を取ろうとしたが、連絡が取れなかったといって不満を漏らしていたという。訴訟の当事者が、市川容疑者の親族経営金属会社と富田日中貿易であったとすると、なぜ、市川容疑者が出てくるのかという疑問があるが、上記新聞報道によれば、市川容疑者は過去に上記金属会社に勤務したこともあり、また、同社の担当者として富田日中貿易を過去に数回訪問したこともあるとされている。その際、富田日中貿易の窓口は相川さんであったという。
 ここで、一つの疑問が湧く。富田日中貿易は民事裁判を起こしたのであるが、果たして弁護士に事件を委任して同人を代理人として提訴したのであろうか?この点は、新聞報道を見ても全く不明である。
 地方裁判所では、「本人訴訟」といって、当事者が自分一人で裁判を起こす割合がかなり高い。したがって、富田日中貿易は、弁護士を頼まずに、提訴した可能性がある。しかし、商取引に関する民事訴訟を法的知識のない者が起こすことには、やはり無理がある。
 仮に弁護士を頼んでいたのであれば、その弁護士が富田日中貿易から全権を任されることになるから、その件については、弁護士だけが責任をもって処理に当たることになる。したがって、仮に市川容疑者が、上記民事裁判にからんで相川さんと話をしようとしたのであれば、それは通らぬ話であって、いわば筋違いのことをしようとしたことになる。
 仮に今回の民事訴訟に関して富田日中貿易に弁護士が代理人として付いていたのであれば、その弁護士から、市川容疑者に対し、「この件は裁判になっているから、連絡したいことがあれば、全部代理人である自分を通してもらいたい。」と警告することによって、今回のような悲劇の発生を未然に防止することができた可能性がある。残念というほかない。
 二つ目の疑問とは、なぜ市川容疑者は、小川容疑者に頼んで、東輪化学工業に相川さんを呼び出すように依頼したのかという疑問である。また、小川容疑者は、なぜ、市川容疑者の依頼を受けて富田日中貿易にわざわざ電話して「廃プラスチックを処分したい。」と嘘をついたのか?その際、小川容疑者は、市川容疑者からの依頼であることを富田日中貿易には隠していたという。また、逮捕前は、小川容疑者は、「相川さんは飛び込みで営業に来た。」と警察に説明していたという。なぜ、そのような嘘をつく必要があったのか?疑問だらけである。
 その結果、昨年11月7日、富田日中貿易の担当者であった相川さんは、単なる商談だと信じて東輪化学工業に一人で来た。いわば、小川容疑者に騙されて、愛知県東海市から岐阜県輪之内町まで誘い出されたことになる。新聞報道によれば、同日、午後3時半頃にやって来た相川さんに対し、「奥にみえます」と言って声を掛け、市川容疑者のいる工場敷地奥の駐車場へ行くように促したという。
 おそらく、相川さんとしては、ここで市川容疑者が待っているとは想像していなかったと思われる。しかし、突然、小川容疑者から、「市川さんがみえます。」と告げられ、大変驚いたものの、会わずにすぐに帰るわけにもいかず、警戒しながら工場敷地奥に入っていったのであろうと推測される。
 ところが、工場の奥で待っていた市川容疑者から、上記トラブルをめぐる恨み言を言われ、さらに脅されて、身の危険を感じて逃げようとしたが、市川容疑者のグループによって拉致されてしまったというのが事件の真相ではなかろうか。市川容疑者は、単独ではなくあらかじめ二人の仲間を雇って拉致に及んだのであるから、最初から拉致を狙った悪質きわまる計画的犯行と言って間違いない。
 なお、この件について、小川容疑者は、自分は略取には関与していないと自分が頼んだ弁護士に説明しているそうである。しかし、仮にそうだとしたら、なぜ、相川さんをおびき寄せる重要な役割を積極的に果たしたのか?また、相川さんが略取された際になぜすぐに警察に事件を通報しなかったのか?という疑問が残る(無関係であれば、普通は110番通報するはずである。しかし、現実にはしなかったようである。ということは、拉致に手を貸したことになるのではないのか。)。
 一方、市川容疑者は、略取事件が起こった昨年11月7日に、東輪化学工業に行ったことがあるかどうか記憶がないと供述しているとのことであるが、しかし、小川容疑者が、確かに市川容疑者が当日来たことを認めている以上、それが嘘であることは疑いない。
 今回、被害に遭った相川さんが受けた恐怖感はいかほどのものであったか。さぞかし悔しかったであろう。
 私には、相川さんを殺害した真犯人の、おおよその目星はついている。警察に対しては、真犯人を必ず検挙して、殺人罪で起訴できるよう最大限の捜査をお願いする。「悪い奴を必ず捕まえる。決して逃がさない」という精神で頑張ってもらいたいものである。

日時:16:43|この記事のページ

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