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弁護士日記

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委任行為と依頼者の事理弁識能力について

2016年05月23日

 交通事故の依頼者が、弁護士に対し事故の紛争解決を依頼しようとした場合、通常は、依頼者に委任意思があるか否かが問題となることはほとんどない。
 ところが、依頼者に重い障害等級などが付いている場合は、要注意である。事件の依頼は、法的には、委任契約の申込みであり、弁護士はこれを受諾するという関係に立つから、依頼者つまり委任者において、本当に事件の解決を弁護士に頼む真意がなければならない。
 通常は、そのようなことは問題にもならないのであるが、上記したとおり、重い障害を負った被害者が、弁護士に契約の申込みをするに当たっては、果たして真意に基づいてされたか否かが問題となり得る。
 例えば、事故の被害者に障害等級2級の重い障害が残っているような場合、仮に、その依頼者が、事理を弁識する能力を欠く常況にある場合(民法7条)は、同人が一人で委任契約の申込みをすることはできないのである。事理を弁識する能力を欠く常況にある者とは、例えば、重い認知症にかかってしまい、正常な判断能力を常に欠いているような者をいう。
 このような場合は、本人に代わって代理権を持つ者が、弁護士に対し、委任契約の申込みをすることになる。その代理人とは、成年後見人といわれる者である。成年後見人となるためには、家庭裁判所に対し、成年後見の審判の申立をする必要があり、普通は、申立時から2か月程度で、成年後見人の審判が行われるようである。なお、弁護士に対し成年後見の申立手続を依頼する場合は、事件によって多少費用は異なるが、弁護士費用として、15万円~20万円が必要となる(なお、申立に要する実費は、全額申立人の負担となる。)。

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