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弁護士日記

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使えない弁護士特約

2011年06月21日

 最近は、交通事故の被害者の方々のうち、弁護士特約を使って訴訟をしたいという希望が増えている。
 弁護士特約とは、事故の被害に遭った方が損保会社との間で契約をしている自動車総合保険の中で定められている特約をいう。弁護士特約を結んでいるおかげで、被害者の方が加害者を訴える際に、自分が委任した弁護士に支払う着手金や報酬金がまかなわれることになる。
 例えば、事故の被害者は、自分で選んだ弁護士に着手金を支払う必要があるが、その着手金を弁護士特約で出してもらえるということである。つまり、自己負担分がなくなるということであって、事故被害者にとっては、訴訟を起こす際の経済的負担がなくなるという大きなメリットがある。
 しかし、この弁護士特約も万全なものとは言い難い。最近も二つの問題事例が発生したので、参考までに紹介したい。
 問題事例の第1は、弁護士特約を使わせない損保会社についてである。Aさんは、交通事故で後遺症を負ったため、自賠責保険に対し、後遺障害等級認定の手続をとった。
 ところが、自賠責保険は、Aさんの後遺障害を認めようとしなかった。そこで、当事務所では、Aさんからの依頼に基づいて訴訟を提起することになった。
 Aさんは、自分が契約していた損保会社であるSJ社に対し、以前から弁護士特約を使用したい旨の連絡をしていた。SJ社の担当者も、Aさんについて弁護士特約の使用を認めるかのような対応を行った。
 ところが、いざ、訴状を完成させ、すぐにでも提訴できる段階になってから、SJ社から、弁護士特約として、着手金20万円までしか出せないという回答がきた。Aさんの代理人である私は「そのような馬鹿なことがあるものか」と考え、SJ社の担当者と交渉を開始した。
 SJ社の支店の課長は、20万円までしか出せない理由として、今回の提訴額3000万円の勝訴判決が出る蓋然性が低いからというおかしな理由を挙げた。
 しかし、これは、誰が考えてもおかしな理屈である。裁判というものは、提訴時において、必ず訴えた金額が認められるものという前提では行っていない。そのようなことは、大人であれば大体は分かっている常識である。
 また、20万円しか出せない理由として、SJ社の支店の課長は、損保会社の同意を得る必要があると約款に書いてあるという理屈を挙げた。しかし、これもおかしな理屈である。
 ここでいう同意とは、被害者である契約者が、弁護士特約を使って弁護士費用を損保会社から出してもらうに当たり、損保会社の同意を要するということである。しかしそれは、当たり前の話であろう。
 損保会社が同意することによって、弁護士費用に相当する金額を損保会社が負担する義務が発生するのである。しかし、正当な理由もなく同意を拒むことはできない。仮に正当な理由がなくても、恣意的に同意を拒むことができるとしたら、弁護士特約の意味はなくなってしまう。
 このようなおかしなことが通ったら、正義は無くなると感じ、私は、Aさんの依頼を受け、SJ社の本社に対し電話し、かつ、質問を書いた内容証明郵便を送付した。
 その後、SJ社の支店の別の課長が私の事務所に来られた。私と課長が交渉した結果、結局、私が最初に請求した弁護士費用(着手金+印紙代・切手代)の満額を支払ってもらうという合意が成立した。
 その後、無事、Aさんから依頼のあった損害賠償請求訴訟を裁判所に提起することができた。近日中に第1回目の裁判があるが、裁判を通じて、SJ社の支店の課長の言った「勝訴判決の蓋然性が低い」という認識が間違いであったことを証明するためにも、今回の裁判には一段と力を入れざるを得ない。
 なお、弁護士特約にまつわる問題事例の第2とは、Bさんからの後遺障害等級認定事務の依頼に関するものであった。Bさんから、弁護士特約を使用したいと外資系のT損保会社の担当者に伝えたところ、「弁護士特約は、事件が終了してからでないと使えないことになっております。」との回答があったというものである。
 しかし、被害者は、事件の解決を求めて弁護士特約を使いたいと考える場合が圧倒的に多い。仮に、事件が終わるまでは使用できないということが約款の解釈として正解といえるのであれば、そのような弁護士特約では使い物にならない。
 この場合も、私がBさんに代わって、T損保会社の担当者と交渉して、後遺障害等級認定の手続に入る際の弁護士費用についても弁護士特約を使えるようにしてもらった。
 以上、弁護士特約をめぐって、他にも、契約者と損保会社との間で、約款の解釈の違いから生ずる紛争が今後発生する可能性があると思われる。

日時:17:13|この記事のページ

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